【後編】初めて塀の中に 〜「函館少年刑務所スタディツアー」に参加して〜
初函館2日目、Voicyパーソナリティ木下斉さんからご案内のあった「函館少年刑務所スタディーツアー」(*)(企画: 認定NPO法人育て上げネット)に参加しました。
*今回(24年9月)の函館訪問の主目的。
本稿は【後編】として、スタディーツアー当日、刑務所内の見学後に行われた「参加者による自己紹介&感想の共有、QA」について記載します。
【後編】
2.スタディーツアー当日の内容
③参加者による自己紹介&感想の共有、QA
・感想を聞かれて焦るオンババ
刑務所内を見学した後に感想を聞かれて、正直パッとおもいつくことがありませんでした。(またしても、木下さんのVoicy即レス練習不足?!)
そんなオンババ、(オンババの前に、10名程発表者がいたにもかかわらず!)「刑務官の方が気さくにお話ししてくださったことが印象に残りました」という、中途半端な感想しか述べることができませんでしたorz
中には、見学してショックを受けたという方もいたのですが、私には、そこまでの衝撃はなく...むしろ、少し拍子抜けした感もありました。
・パッと感想(伝えたいこと)が思いつかなかった一因
私が見たものは所詮「ハコ」であって、その中にいる「人」がほとんど見えなかった(知識・経験から紐づかなかった)ことが一因だったように思います。
【前編】に記載のとおり、受刑者とは目を合わせることすらままならなかったわけですが、そこにいる受刑者や刑務官の思い(刑を受けることになった理由や、刑務所での日々のリアル、感情)をもっと知ることができたら(知っていたら)、また違った思いや感想が出てきたように思います。
もっとも、今回は「施設見学」であり、「人」にフォーカスしたスタディツアーではなかったので、しょうがないのですが。
・同じ場所を見てきたはずなのに...
見学後に印象的だったことの一つが、見学後に他の参加者の所感&質問を聞いて、同じ場所を回ってきたにも関わらず、私自身と見えているものが大きく異なる(解像度が異なる)ということでした。
事前知識や興味・関心、見学に向かう姿勢、「想像力」によって、同じ場所を見学しても、見えてくるものが全く異なる、ということを改めて実感しました。
・後から改めて考えて、思ったこと
-もっと天候の悪い時期に来たら、また違って見えたかもしれない。
当日は、あまりにも天気が良く、青空が眩しいくらいでした。
→雨の日や真冬に来ると、また全く異なる環境で、違って見えるかと。
-私自身、所詮、「外の人」(見学に来て、すぐに出ていく人)であり、
そのような立場の人間が、予備知識無く初めて数時間のスタディーツアー
に参加して理解できることには(当然)限界がある。
*スタディーツアー参加の意義を否定するものではありません。
・反省点
今回のスタディーツアー参加にあたっての反省点の一つに、「刑務所に関する事前学習が足りなかった」ことが挙げられます。
今回、スタディーツァー参加後(後日)になって、刑務所の受刑者の処遇見直しの一環で、今年4月から受刑者を「さん」付で呼ぶことになっていたetc、と知る始末。(それ以前は呼び捨てにしていたそう。)
このことを事前に知っていたら、「ある日突然「さん付け」になって、現場で混乱は起きないのか?秩序維持が可能なのか?」といったことや、その他「受刑者の人権」に関する質問も、聞いてみたかったです。
観光名所(景観を楽しむような場所)に行くのであれば、事前リサーチはやりすぎない方が良いと考えますが(やりすぎると、現地での感動が薄れる可能性があるため)、社会見学の類については、事前に勉強した方が良い、ということを、今更ながら認識しました。
・(スタディーツアーに参加して)オンババの今後
今後について、(受刑者の更生や、関連する社会課題に)何か明確に関わっていくことを決めていないオンババですが、将来、刑期を終えて社会復帰を目指す方と出会った際には、何らかの形で応援していきたいです。
「加害者支援」には、疑問を持つ方もいます。確かに犯した罪は許されるものではありません。しかしながら、犯罪は、必ずしも特定の「個人の責任」だけで片付けられるものではなく、その方が置かれた環境(家族や社会とのつながり、経済状況等)も一因となっている場合もあります。
私が犯罪者になることなく生きているのは、たまたま運が良かっただけで、
家庭環境等によっては、私も犯罪者になっていたかもしれないのです。
社会としては、受刑者の社会復帰支援もさることながら、言うまでもなく、「犯罪者」を生まない社会(犯罪発生の予防)を目指すことも重要です。
今回のツアーを企画いただいた「育て上げネット」の情報によると、若者が働き続けるか、無業のままでいるかで、社会投資効果は最大1.5億円になるとのこと。
(25歳の若者が65歳まで働き続けた場合の試算。
働いた場合、一人あたり5,000万円の税収増になる一方、
生活保護を受けると、9,000万円~1億円が税金から支出される。)
生活保護を受けるどころか、罪を犯して刑務所に収容されるとなると、さらに社会的な負担が増加します。
近年は、経済的な理由から闇バイトに手を出して...というケースも増えてきているようですが、特に若者が、経済的に困窮しない・孤立しない社会をつくっていかなければならないことを、改めて認識しました。
私は、今回のスタディーツアー参加をとおして、「与えられたものとしての務めを果たしていく」という思いを新たにしました。
たとえオンババにできることが「焼石に霧吹き」だったとしても、
社会が良い方向に向かうバタフライエフェクトとなることを信じて、
コツコツ行動し続けていきます。
最後に、この度、函館少年刑務所でのスタディーツアー参加という、貴重な機会をいただいた木下斉さんおよび認定NPO法人育て上げネットの関係者の皆さまに、心より感謝の意を表して本稿を締めたいと思います。
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