日常を、生きていて良かった
7/23の髭男ライブレポです。
すっっっごい長いので、見出しつけて目次作りました。ご参考までに。
なぜ今日があったのか(前置き)
2019年の年末、COUNTDOWN JAPAN1920でOfficial髭男dismのステージを初めて観た。3列目。ぎゅうぎゅうに押され、今にも身体が破裂しそうな密集の中で、音に乗せて拳を上げ、聴こえてくるメロディーに必死に呼応した50分。 そのフェスで披露された『Stand By You』曲中に放たれた「2020年も一緒に行こうぜ!」という言葉を胸に、チケットを確保したツアー2020、『Arena Travelers』は、コロナの影響で延期に。
その後いわゆるコロナ禍に突入し、髭男は無観客でのライブ開催を余儀なくされた。
2021年6月に行われた1年4ヶ月ぶりの有観客、『Road to one man tour 2021〜2022(仮)』にて久しぶりに髭男のステージを生で浴びた。しかし、このライブは、コロナ対策により、全員マスク着用の上、歓声、C&R等の禁止、つまり声が一切出せなかった。
2020年ツアーの延期公演となったツアー2021〜2022『Editorial』、そして次に開催されたツアー2023〜2024『SHOCKING NUTS TOUR』。その全ての公演において、声出しができなかった。
歓声が無い中で自分の座席でそれぞれが踊る、という楽しみ方を見つけたコロナ禍、これはこれで良かった面もあるっちゃある。髭男がこちらに伝えてくれる熱量は、コロナ禍前と変わらなかったからである。
でも、我々はその熱に、声で、応えたかった。声援で、合唱で応える日を待ち望んでいた。
世間は、マスク着用が自由になったり、コロナが5類になったりしたものの、その中でも、ライブという日常が戻るのには、かなりの時間と努力を有したのだ。
2023年2月15日、『SHOCKING NUTS TOUR』日本武道館公演に行った。
ある曲の途中、ボーカル藤原聡さんの声が、聴こえなくなった。
その日のライブ終盤にて、藤原聡さんは「声が出ないことが悔しい」と言い放ち涙を流した。
その年の春、藤原聡さんは声帯ポリープを患っていることが発表された。
髭男がしばしの休養を発表。
ライブという、髭男にとっての日常が帰ってくることを、ただひたすら祈る約一年間であった。
そんな、チーム髭男と、髭団(髭男のファンネーム)御一行は、ついに今日という日を迎えた。
『Official髭男dism one-man live 2024 UNOFFICIAL』
場所は、東京。Zepp Haneda。
藤原聡、完全復活、である。
およそ4年5ヶ月ぶりの声出しOK。
そして、およそ1年5ヶ月ぶりの有観客ライブ。
その会場レポです。
とんでもなく長くなりますので、相当暇な方のみお読みください。
序章
てなわけで会場参戦してきました。ありがたき幸せ。
羽田に集まった約2000人、みんな何を思っていたのだろう。ただ、入場を待つほとんどみんな、とてつもなく笑顔だった。
タイトルを見て困惑しただろうか。私はめっちゃした。オフィシャル?なのか、アンオフィシャル??なのか。
どんなライブ構成、演出になるのか、誰一人として想像がつく者はいなかったであろう。
私も前日、セトリ予想を諦めました。
開場前に集まった髭団たちの、ソワソワとした緊迫感が、私の心臓の鼓動を速めていた。
開演5分前、髭男の出囃子と化している、マイ・ケミカル・ロマンスの『Welcome to Black Parade』が流れ出すと、手拍子と歓声が起こる。
すでに、手拍子のボリュームが、ライブ会場では過去一くらいの熱量。本編始まったらどうなってしまうんですか。
曲の終了とともにステージは暗転。
下手側より、4人とサポートメンバーが入場した途端、4年分をリベンジするかのように巻き起こった、とてつもない声援。声援というより、各々の叫び。
ピアノの前に立った聡さんが、初めの音を鳴らす。
ライブ本編
待ちに待った、復帰ライブは、ハイテンション高速ジャズチューン『ミックスナッツ』からスタート。
速いビートに置いていかれまいと、必死に手を挙げ、声を出す。あの日のフェスを思い出させてくれるような、ギッチギチのフロアで、肩がぶつかりながら、懸命に応える。
髭男さんよ、そっちも本気なら、こっちも本気だぜ。
2番Bメロのベースならちゃんこと楢﨑誠さんが放つピーナッツポーズも、もはや恒例。みんなで頭の上にピーナッツを作る少々異様な光景が広がるが、そんなユーモアも御愛嬌。
そして続いては、流れ出したらついつい踊っちゃう『ノーダウト』。前回のツアーでは披露されず、前々回のツアーではスカ&レゲエアレンジだったので、通常バージョン(といいつつ、ライブなのでテンポは速め)は久しぶり?
イントロと間奏のコーラスは、全員参加で。そして、さすがはライブ定番曲、とにかく大合唱。4年を取り返して、あわよくばお釣りをもらってやるぜ、という2000人の意地を感じました。意地です、意地。意地っ張りの叫びです。
すでに喉が枯れた私に、続いて襲ってきたのは、『ホワイトノイズ』。空気をズッタズタに切り裂くような小笹大輔さんのギタープレイにて開幕。
私はふと、思った。
疲れた……。
3曲目だけど。私の疲労はピークでした。
じゃあ、ここから先はどうやって動いていたのか。アドレナリンと意地です。昨日の私は非常に意地っ張りでした。
疲労の中で投げやりに、でも本気で突き出した拳に、藤原聡さんがスマイルで返してくださったこと、一生忘れません。そして、その後意地悪に舌を出し、テレペロフェイスをされていたことも。ぺこちゃん超えてた。とてもロック。かっこよい。
ライブだと髭男のファン静かそう、と友達に言われたことがあるけれど、逆です。髭男のライブは尖りすぎていて、観ているこちらもテンションにまかせて暴れすぎている。
決して受け身ではなく、文字通り、参戦しています。戦に参加しています。
Zepp Hanedaの天井をつんざき、上を飛ぶ飛行機まで届きそうであった聡さんのミックスボイス。そして伸びやかなロングトーンも。大復活を感じました。
MCにて、「(観客が)想像の5億倍声が出てる」と言っていた聡さん。分かる。こんなに出ると思わなかったり周りも自分も。
今日も、「伝え漏れのないように」。そんな思いで始まる久々のワンマンライブ、UNOFFICIAL。何が待っているのやら。
次に、『Choral A』そして『フィラメント』が演奏される。前者はベース楢﨑誠が作詞作曲、後者はドラムス松浦匡希が作詞作曲に参加している。
意外と知られていないが、髭男は全員が作詞作曲できるバンド。サバンナの高橋さんが、2019年放送のスペシャの特番にて「あなたがたもうクイーンですやん」と発言していた。めちゃくちゃ分かる。
それでいて、全員の曲にそれぞれの個性が光る。ライブアレンジや演出も、その個性を根っこから引き出すように輝くのである。最高じゃんか。
『Choral A』では、穏やかなテンポに、観客の暖かいクラップが響く中、楢﨑さんがサックスを演奏。
『フィラメント』では、ちゃんまつ(松浦匡希の愛称)さんが軽快にリズムを奏でる。全力で走っているような曲調に、手拍子も思わず力が入る。
そして、『日常』が始まる。
コロナ禍と治療期間を経て、聡さんの心の内を真っ直ぐに綴った繊細な1曲。
ラスサビの転調が高揚感を煽るが、私は個人的に、このラスサビの、
という一文がとても好きです。
現実と理想の狭間で葛藤し、強がっている自分を、それでも少し肯定してあげたくなる、素敵な歌詞です。帰りの電車でよく聴いて、ひとり泣きそうになっています。
ライブ中も、何度も目頭が熱くなりました。
続いては、『Rowan』。ギター小笹大輔の作詞作曲。高橋さんのお言葉をお借りして、改めて。あなたがたクイーンですやん。
大輔さんの作る曲は、大人の色気漂う、普段の髭男では味わえないグルーヴ感が最高なのです。
ムーディーなピンク色に照らされて、きらめくステージ。ただただうっとりしてしまうひとときだった。
ファンクラブ限定のライブであったため、サプライズ的な展開が多かった今回の公演。「珍しい曲をやりたい」と聡さんが言った後に、始まったのは、『たかがアイラブユー』。
隠れた大大人気曲です。身も心も踊っちゃうファンクナンバー。
個人的に、「サイケデリックで やっぱり怖くてでも〜」の部分、ボーカルを食っていくような強めのコーラスを響かせるギター大輔さんが好きです。そのコーラスに負けじと声を張り上げる聡さんに、もう脳内はパラダイス。
各々自由に踊って、1階スタンディングはハチャメチャダンスフロアに。心地良すぎる。大人たちの全力って、楽しい。
この曲が終わると、聡さんは一度下手へ退散。
ここから、サポートメンバーよっしーさんのキーボードソロと、大輔さんのギターソロをまったり堪能。
うんまぁ。
しか言えない。上手い。ひとつひとつの音粒が星のように降り注ぐ。骨の髄まで染み込むようなうっとりする演奏。よっしーさんが途中『Pretender』の一節を演奏し、拍手が上がる一幕も。てっきりその後『Pretender』やるのかと思ってしまった。やらず。でした。
段々と他のメンバーも演奏に加わり、ギラギラと音粒の星が瞬きます。
聡さんがステージに帰り、始まったのは、髭男史上1番燃えたぎるロックナンバー。
その名も『FIRE GROUND』。
ステージが真っ赤な照明で染まり、大輔さんがギターをかき鳴らし始めます。イカツい。
ウォイ!ウォイ!と観客を煽る楢﨑さんや聡さん、そしてサポートメンバー。
お客さんも、それに応えて拳を突き上げ叫びます。イカツい。
久々の声出しC&R(コール&レスポンス)ができた『FIRE GROUND』。会場のボルテージはマックスに。音楽ができる喜びを全身で表現するように、聡さんが熱血に、時に声を荒らげて歌い上げます。
そして、もう1つ注目ポイント。この曲には、ライブでしか披露されない間奏があります。
「これが、うちの、聡と、大輔じゃ〜!!」
楢﨑さんが叫ぶと、ギターを持った大輔さんとショルダーキーボードを持った聡さんが、舞台センターのお立ち台にて、熱すぎるセッションを披露。
今回は、サポートメンバーのレフティさん、楢﨑さんも加わり、ガシガシと弦を弾き鍵盤をギャンギャン押しまくる4人に、圧倒されっぱなしになりつつ、こちらも必死についていこうと頑張ります。
あちらが本気なら、こっちだって頑張っています。という謎の意地を張り、最後まで全員で走り切りました。
初めて髭男のライブに行く方へ。髭男のライブは、ウォイ✊️、や、ウォイ🤘🏻、です。(伝われ)
天に突き上げて叫ぶ準備をしっかりとお願いします。
そして鳴り止まぬ歓声。
その中で大真面目に始まった『Laughter』。
前の曲との温度差がすごすぎて、笑いが起こってしまい、聡さんも少々笑ってしまっていた。
思い出す。コロナ禍を。
コロナ禍のオンラインライブで観た頃と違う点、それは、大サビ前の合唱パートを、全員で声を合わせて歌えること。本当に、待っていてよかった。
再び、聡さんが下手側に退散すると、楢﨑さんによるMCがスタート。終始ゆるゆるなペースで進む会話に、会場もほんわか。
『好きな食べ物』を叫ぶパートでは、2階席にいた男の子が、「お母さんの唐揚げ」と叫び、会場から暖かい声援と拍手が。
そこからなぜか全員で声を揃えて「お母さんの唐揚げ」と叫ぶ一幕も挟みまして。
その後次の曲でのC&Rを練習し、そのまま『ESCAPADE』へ突入。
おそらく有観客ではとんでもなく久しぶりな1曲。練習したコーラスも皆さんバッチリ。
ホーンセクションと、美しいボーカル、そして観客のでかすぎるコーラスが響き合い、気分は超高揚。こんな最高な火曜日、いまだかつてあっただろうか、いやない。高ぶりすぎて反語で失礼。
声出し解禁になったからこそ、より輝く楽曲がもう1つあることを、忘れてはいけない。
『Stand By You』。
ライブの定番となった、髭男にとっても髭団にとっても大切な1曲。
Bメロの全員で息を揃えて鳴らすクラップと、サビで声高らかに歌うコーラス。これが、フルパワーでできる日が、帰ってきた。
2019年、手を挙げて声を出して盛り上がった、あの日よりも、私の感情は高ぶっていた。
声出しができるまで4年。高校1年の音楽好き野郎は、大学3年の変わらぬ音楽好き野郎になりました。ステージに向けて、ギラギラの目を向けて歌っている私は健在でした。いやぁ……楽しかった。ただそれだけです……。
曲の終わりに、聡さんが叫んだ一言。
「生きててよかったあああっ!!!」
聡さんからライブにて、こういう言葉がでてくることは、個人的に意外だった。コロナ禍と療養期間中、どんな苦しみがあったかは計り知れないが、聡さんに生きてて良かった、と思わせるような"日常"が帰ってきたこの幸せを、最も噛み締めた瞬間であった。
ほぼ濁点ついてた。心の奥底からの叫びでした。「生゛ぎでで良゛がっ゛だあ゛あ゛!!!」って感じ。震えましたね。
そして、ドラマ『恋はつづくよどこまでも』内でのアレンジイントロver.であった『I LOVE…』。これ伝わるかな……ドラマ内で、この主題歌が流れるときに、ピアノのイントロがついていたのですが……あれです。皆様思い出してください。
2番Bメロの全員参加クラップは恒例。だが、そこに力強い観客のコーラスが加わり、さらにパワーアップした『I LOVE…』。ライブ定番となっていますが、毎度毎度違った景色を見せてくれる楽曲です。
その後、「一旦、しめます。一旦。」と某アンコールを匂わす発言をしつつ、最後の曲へ。
ラストを飾るのは、『ラストソング』。
「もっと歌いたいのにな」という切実すぎる願いを歌うこの曲、私めっちゃ好きなので、嬉しかったです。夢のような時間が終演することを嘆いた切ないナンバーです。
ひぃん…終わりたくない……。
と、思って泣いていたら……。
終わらなかった。
最後の最後に1曲やっていいですか、とのことで『SOUL SOUP』が高らかなホーンセクションの音と共に開幕。
髭男『最後の曲』詐欺。これあるあるなので、ライブ行く方ご注意を。前のツアーでもあったんですよ、最後の曲のあとに本当の最後の曲が来るっていう。さすがに嬉しすぎるだろ。
「この曲は、映画のエンドロールで流れた曲です。ですが、ここから僕らの、未来のオープニングテーマにさせてくれませんか!」
ええこと言うやん(雑な感想ごめんなさい)。
未来のオープニングテーマって良い表現。
髭男のフェーズ2を確かに感じさせるライブだったからこそ、これからのバンドの成長がより楽しみになる。ここで、この先もずっと応援し続ける宣言しておきます。
大合唱の中で幕を『一旦』とじたところで。
鳴り止まぬ拍手と、髭男コール。この髭男コール、ライブハウス時代以来の出現。簡単な言葉で申し訳ないが、これぞエモ。
アンコール
そして、予告通り、と言ってはアレですが、期待に応え始まったアンコール。1曲目は『Anarchy Rejoice ver.』。前回のツアーから引き続きの魔改造レベルでアレンジされた『Anarchy』。
落ちサビが原曲からは想像できないくらい盛り上がります。こちら、新アルバム『Rejoice』に収録されておりますので、皆さまぜひ、元楽曲と併せてご堪能ください。
パンクでロックなギターサウンド、非常にイカツい。アンコールなのに、ライブ1曲目のような騒ぎ方を取り戻し、この日の終わりへ向かっていきます。
最後の最後、泣きの最後は、聡さんの療養期間発表後に解禁された楽曲『TATTOO』。
この歌詞がとても好きで。大丈夫、という言葉の後に、急に内面と向き合うような意表をつかれる一言が付け加えられていて、初めて聴いた時、ヴッと胸に刺さった。まじで、ヴッて声出た。
1音1音を抱きしめるように、大切に演奏されていた。
こちらも、サビのフレーズを大合唱し、それに応えるように聡さんが美しいロングトーンを響かせる。
総括
こうして、なんやかんや、本当になんやかんやあった復帰ライブは終演。
コロナ禍と休止期間を越えた先に、今日という日があって、そして、バンドのフロントマンに「生きていて良かった」と思わせるような空間を味わうことができて、本当に本当に幸せだ。
髭団のみなさん、そんなにパワーを秘めていたなんて、というような、でかすぎる歓声。そしてその歓声を引き出した、髭男の音楽の力。
これからも、大変お世話になります。
また、気分が落ち込むような日々が続いたときには、髭男のライブにすがらせていただきます。その日まで、また懸命に生きます。
髭男!懸命に生きたいと思える理由をくれて、本当にありがとうございます!いつまでも救われっぱなしで申し訳ない!!
また、アリーナツアーで!!お互い元気で音を楽しみたい!!わああ!生きる!!!
終演後にお会いして、たくさんお話した皆さんも本当にありがとうございました。一生の思い出です。
長々と。本当に長々と書いてしまいました。ダラダラでごめんなさい。ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
宣伝
【参考】特設サイト↓↓
※配信は8/1 23:59までです。ファンクラブ会員限定で購入&視聴が可能です。
言っておくと、超破格です。観たほうがいいです。