人の人生を1430円で購入した話。
みなさんは、122種類166個の資格(国家資格含む)を持つ、都内在住の嘘みたいなえげつない事務OLさんのことはご存知だろうか?私は先週知りました。
お名前は「miwa」さん、「30's 資格論」というブログを運営されている。
漢検や簿記などのオーソドックスなものからマンション管理士や海事代理士などのニッチなものまで幅広く資格を取得されていて、その合格体験記や勉強法を発信してくださっている、効率主義な現代の若者の母だ。
miwaさんのブログとの出会いは、遡ること1週間ほど前。体調も天気も絶好調で、嗜んでもないサンバを踊り出したい衝動にかられるくらい気持ちが高まったその勢いで、なぜかふっとこう思ってしまったのがきっかけだった。
「気分が良いので何か勉強してみよかな」
もともと可愛いシャーペンを買っていたこともあったので(※過去記事)、今なら勉強嫌いの自分の本性を騙して何かしらの勉強を始めさせることも可能なのではないかと思い、明確なゴールがありとっつきやすい「資格」の取得を目指すことにした。
計算は苦手なので数字は出てこないのがいいし、英語もなんか無理なので見たくない。そんなワガママOLを満足させてくれる縛りで選択肢を洗い出したところ、コスパや難易度的にも「漢検」が一番妥当そうなので、とりあえず漢検を受けることにした。
せっかく受けるならちょっと難しそうなのを取得して自慢とかもしたいので、受ける級は準一級に決めた。
ここまでが第一段階で、「とりあえず妄想する」というだけの一番楽しい状態だ。
次に「受験のためには何をすればいいのか調べる」の第二段階に入るわけで、miwaさんのブログとのエンカウントはここだった。
そもそも、漢検準一級は合格率が15%とまぁまぁしっかりふるいにかけられる上、2級までと異なり「聞いたことはあるけど漢字では見たことないんだが(焼け木杭、優曇華、雌黄など…)」という漢字がベースになっているので、初見では10問に1問程度しか当たらない。難しすぎて全ページお手上げなので、もはや逆に楽しい。
出来ないことを楽しむ余裕がある、とかでもない。
とりあえずそのブログでオススメされていた過去問と漢検用の辞書をネットで買うことにした。辞書なんて活用できるかどうかわからないけど、やっぱあったほうがかっこいいので。
あとAmazonでサジェストされた青いドクターグリップのシャーペンも買った。800円のやつ。
(※ここで一旦この記事の上の方を読み返していただきたいんですが、)
可愛いシャーペンを買ったから、勉強したくなったから、漢検受けることにしたから、辞書とシャーペン買ったのだ。
自分が何を考えているのか、自分が一番わからない。
しばらくして届いた過去問は開いてみるとやっぱり全部わからなくて、日常で目にする漢字とかでもないので、今は「え、なんでこれ勉強するんだろう」と純粋な疑問を持つ自分から目をそらしつつなんとなく付き合っている。学園祭とかのノリでなんか付き合っちゃったけど実際お互いにそんなでもなかったカップルくらいの、ギリギリで微妙な関係性。
ただ一点、漢検に興味を持ってよかったのが、購入した過去問の「はじめに」の中で「この問題集は私たちが何十年もかけ全ての問題を分析しその傾向と対策を頻度順にまとめたものです」という旨の文章を目にしたことだった。
当然だけど、この問題集は誰かが自分の人生をかけて膨大な時間と労力を割いた結果なのであって、そんな他人の何十年の努力を、私はたったの1430円で購入させていただいているのだ。「なんでこれ勉強すんの?」なんて言ってる場合じゃない。とんでもないことだ。
自分で過去問全部集めて一から傾向を調べることを考えたら、チートとも呼べるレベルのショートカットをさせていただいている。これだけは忘れちゃあかん。
誰かの人生の成果を、たったの1430円で、手に入れられる優しい世の中。私だったら6000円くらいは取りたいよ。
第三段階の「合格のために勉強する」に入ってからちょっとなかなか先に進まずで、この怠惰と見栄との大勝負がどういった形で決着がつくのか全く見えないのだけれど、とりあえずあとでAmazonにオススメされた可愛いノートも追加で買いたいと思う。
書いてあることは全部、冗談とユーモアです!