アイデンティティ
私の眉は垂れている。
ちょっととかじゃなくて、割と垂れている。
自画像なんてお手の物だし(とりあえずタレ眉を描いておけば似る)、
授業中、問題を解き終わっているのに、先生が巡回してきて「困ってる?」って助けようとしてくれるし(真顔なのに!)、
高校の容儀検査では、眉にペンを当てられて「剃ってるのかと思った(笑)」って言われるし(剃ってるわけないだろ!)、
眉毛に関する思い出は人より多いはずだ。
眉は整えた方がいい、とは思うし、言われたこともあるけど、なんだかんだで整えずにいた。
なんかもうここまで来ると愛着が湧くと言いますか、この方が自分には似合っている気もすると言いますか、アイデンティティみたいなものをこの眉毛に見出しているまであるのだ。
だけど今日、眉毛を剃った。
以前、就活の時に眉毛を整えたという先輩の話を聞いて、「この眉じゃダメですかね〜」と尋ねたところ、困っているようだったり、自信が無さそうに見えてしまうかもしれないねと言われた。
そうか、この眉だと就活には不利に働いてしまうかもしれないのか。
中身がもちろん大事だけど、それはそうだけど、見た目も大事なんですよね。
現に就活での身だしなみについて、容姿に関する細かい指摘が「マナー」としてまとめられているのをよく目にする。
これに対して何か主張がしたいというわけではないし、そこまでの熱意もない。けれど、ちょっとした違和感や疑念が胸に引っかかる。
先輩のつりあがった眉を見ながら悶々とする。
なにくそ、私は就活のためにアイデンティティを失ってたまるものか!中身だ、中身で勝負するんだ!と心に誓った。
あれから随分と時間が経ち、いざ就活を始めると、簡単に揺らいでしまった。ウケる。
不安でしょうがないから、出来ることなら何でもやろうと思った。
でもちょっとした反骨精神も残っていて、現状、ちょっと垂れている。ウケる。
中途半端が一番恥ずかしいですよね。
でも完全に整えてしまうのは気が引けた。
この日記を書きながら、なぜか眉周辺の筋肉が痛い。眉の筋肉痛?なんだそれ。
眉周辺の筋肉が悲鳴をあげている。
私は眉を剃らない方がいい星の下に生まれたのかもしれない。…剃らなくてよかったのかも。
筋肉痛なのでそろそろここら辺で今日の日記は終わらせることにしよう。
早いところ決着を付けて、元の私に戻りたいな。
ただ眉を剃っただけの話に付き合ってくださり、ありがとうございました。
あなたは、優しい。
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