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じゃ〜む〜はババ(失礼)の味〜。の話。

(タイトル、ミルキーはママの味で思い浮かべて下さい。)

ばーちゃんちに行った時、仏壇に絶対ゼリーが置いてあんのね。
カップに入ったぷるぷるしたヤツじゃなくて、寒天で固められた硬めの、うっすい食べられる紙で包んであるヤツ。色んな味あって綺麗に色付けされてて。

ばーちゃんは私が家に行く度、コレ食べなさい〜つって仏壇からゼリーを持って来てくれたんよ。別にそのまま食べられるのに、私は紙をいちいち剥いでゼリーと別に食べてたんだ。好きだったんだよね、その紙。


パール・ジャムってバンドの名前の由来を聞くとちょっとビックリする。
ボーカルのエディ・ヴェダーのばーちゃんが作るジャムが美味すぎて飛ぶぞ。んで、パールばーちゃんのジャム、パール・ジャムらしい。

ここまで聞いたら、あれっメンバーおばあちゃん子なのかしら?ってほっこりすんだけど、実はその材料がペヨーテって幻覚作用のあるサボテンが用いられてるってウワサでホントに飛んでんじゃねーか!と言う。何そのほのぼのからのねるねるねるね。(字面)

そんなコンピューターおばあちゃんも真っ青なパールばあちゃんのジャムを食べて育ったエディは、立派なグランジ3大巨頭の一角として今まで君臨している。
ソレを支える一片にエディのグランジっぽい声の使い方が有ると思う。

エディの喉はめちゃくちゃ良く震える。

私の話で申し訳無いんだけど、ビブラートをかける時どうやってるかってーと舌の奥を上げ下げする感じ。なんだけど、エディの歌い方はそれじゃ絶対出せそうに無い細やかな振動。薄い紙を唇に近付けて拭くとヴェー!って音がなるじゃない?ああ言うイメージに近いんだよね。だから声の出る仕組みのどこかを紙と置き替えて振動させてるんだと思う。

パール・ジャムの楽曲は、荒野っぽいと言うか、西部な感じがする。無骨で田舎特有のほんのちょっとの諦めが着いて回るよーな、乾いてる空気感。
砂が舞い皮膚を切るような風がダンブルウィードを押し転がしてる風景。ソレにピタッとハマるエディの歌。

普通声が震えてるのって、不安とか、恐怖とか、そう言うモノを想像させると思うんだけどエディ・ヴェダーの元来力強い声は曲に因ってちゃんと聞こえ方が変わってくる。いつでも空っ風の空に草笛が響くようにビリビリ来るんだ。

(コレは7枚目のアルバム「ライオット・アクト」既出のアルバムを聴き比べてみたら、この辺りから声の揺れが顕著になってる気がする。)


ある夏の日、私はばーちゃんちに行ったんだ。
おばあちゃんは母と野菜を採りに畑に行って、家に1人になった私はゼリーを貰おうと向かった仏間で見つけてしまったのだ。
缶に入った直径10cmくらいの丸い形のオブラートを。

一枚摘むと直ぐに例のゼリーを包んでるアレだと分かった。
えー、アレっておばあちゃんが包んでたんだ!
子供の浅知恵はソコに有る矛盾に気付かずに、大好きな「ゼリーの包み紙」をたくさん食べられる!
(そもそも他人の家なんだから勝手に食べてはいけない。)と大喜び。
祖母と母が畑から帰って来た時にはオブラートはすっ空缶になっていた。

ばーちゃんは「いいんだよ。ゼリーの紙食べたかったんだね。」と許してくれたが、オブラートをブーブー鳴らす私に、母は大目玉をくれた。コレはゼリーの包み紙じゃない!おばあちゃんが薬を飲む時喉に詰まらないようにする紙だ!と。
全部食べたバツとして、ちょっと遠くの薬局にソレを買いに行く刑に処せられたのだった。

ゼリーの紙よりちょっと厚めで食べ出があったんだ。全部食べちゃってゴメンねばーちゃん。
と、薬局にあったサトちゃん人形に懺悔した。

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