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そもさん・せっぱの関係性の話

子供3人の子育てが、後数年でひと段落する。

でも全然、慣れたとか、こう言うモノよ、とかそんな子育ての秘訣的なアレはいっこも習得出来てない。
元来がスキルの低い人間なので、ただ目の前の子達の出す課題を必死に解いて来ただけだ。

子供のコトで、つーか、母としての出来なさ具合にいつも悩んでた。なにせ掃除苦手で部屋が完全に片付いてる状態を秒で保てない。提出物を直ぐ忘れていつもギリギリ、子供の病院の日を忘れてしまう。これ自分で言うのもなんだがホント酷いな。




フー・ファイターズのフロントマン、デイヴ・グロールは母親と物凄く仲良しなので有名なんだけど、お母さんとのエピソードは、インタビューや映像作品の中で度々登場するので勝手に親近感を抱いていた。
そんで、この音楽だけじゃ無く人柄の良ささえも世界規模で有名な男は子供時代どんな親子関係を結んできたんだろう。と思ったりしてた。
聞いてみたいじゃない?どうやったらグローバルに活躍出来る子供が育つのかって。ソコにはどんなコツが有るんだろって。

2022年の冬に発行された、「デイヴ・グロール自伝ストーリー・テラー」によるとデイヴは高校生の頃、憧れのバンドにドラムの欠員が出た事に因って起こったメンバー募集に年齢を誤魔化して応募し合格する。

世の中には神の采配って有るんだな、って思わせる、デイヴに取っちゃ千載一遇のチャンス。

でもホントにバンドに加入するとなると、世界的に認知されてるバンドなので大規模のツアーに参加したりして学校中退するしか無い。迷いに迷って、また引き返したりしながら、やっとお母さんに打ち明ける。

子供の才能を信じるって、言うのは簡単だけど実際本当に高校辞めて芸能界行く!なんて中々許せるモンじゃ無い。後1年半通えば卒業じゃない。そうなったら貴方の好きにしなさい、ってのが普通の平均的な反応だと思う。

でもこのお母さんは許したんだ。多くを語らない、ホントそれしか無いって完璧なアンサー。最高のタイミング。


(私は私の好きな歌を話す時、伝わり易くなるようにメロディや声をイメージに近いモノに例えるようにしてるんだけど、このデイヴ・グロールの声だけは何にも例えられない。私にとってデイヴは理想の声の完成形のひとつ。低めでクセの無い声。
改めて考えると、デイヴは特徴めいた声はでは無いんだ。生活によく馴染んだ、そこいらのお兄ちゃんやオジさんの声だ。(それにしちゃイイ声だけど)でもだからこそ、デイヴの声を嫌う人は少ないと思う。)

(でも勘違いしちゃいけない。「普通の声」と言ってもその屋台骨を支えてるのはデイヴの柔軟な歌唱力だ。
どんな曲でも歌い方でも対応してしまう。私はデイヴの鋭いシャウトも子守唄みたいなウィスパーも大好きだし、ホントーーーに長いロングボイスには溜息が出る。
デイヴの歌声はフーファイの初期から既に完成されていて、新譜の発売前に今までリリースされたアルバムを一通り聞き直したけど、ひとっつも衰えていないし、逆に今と比べて昔の方が下手だったなんて事もいっこも無い。)

(新譜の最後から2番目に入ってる曲。ラスト、ギター3枚のフーファイらしい弦の音の重なりが力強くて美しい。タイトルのザ・ティーチャー、デイヴのお母さん学校の先生なんだよね。)

このお母さんが居なかったら、デイヴは世に出ずにペンキ職人になって故郷の小さな街で一生過ごしていたかも(デイヴの親しみ易さが結構違和感なく想像出来てしまうの怖い)知れないし、もしアーティストとしてデビューしたとしても、今みたいな大きなムーブメントにはならなかったかも知れない。

(もしかしてココまで記事を読んだ人の中には「デイヴ・グロールってマザコン?」って思っちゃった人も居るかも知んない。お母さん大好きな人だからね。
でも違うんだ。マザコンって母親が望む望まないお構い無しでその役割を降りるのを許さない人間のコトだから。デイヴはそうじゃ無い。
バージニア(お母さんの名前)がこっそり出していた問いにちゃんと気付いて答えを出してる。高校中退と少し早い巣立ちを許した理由を自ら結論付けた上で自分の中で落とし込んでる。リスペクトと同時に対等の大人で有りたい気持ちを持ってると思う。)


デイヴの自伝には今からじゃ知ってもどうにもならない幼児教育の話は出て来ない。
代わりにお母さんがやってきた事は、毎日子供が出す宿題を感じ取り、時折青い鳥のパンくずのように落とされるヒントを拾い集める日々だったのだろうと思う。
「そこいらに居る」「普通の親」が、毎日やっている事を丁寧に丁寧に長年繰り返して積み重ねた結果、音楽的直感や特出した感性を持った子に勤勉さや物事に対する真摯さのパワーポイントが加味されたんだと感じた。

モンテッソーリもしまじろうもやってない(前者は知らんかった、後者は子供が興味示さんかった。)と残念に思わなくて大丈夫。ちゃんと子の姿に注視して声を聞き、常に誠実に応えていれば、非凡で頭抜けたロックスターを故郷の青年団でニコニコ活動してそうな優しい人柄に育てる事は可能なんだな。



自伝の内容、ココに取り上げたトコだけでも本1冊になるだけ内容濃いのに同じレベルの大きい章が後4つ有ります。
洋ロック好きなら読んで損無しだし、1人の青年のサクセスストーリーとしても面白いです。
また訳者がずっとデイヴを見続けているロッキングオンの中村明美さんと言うトコも安心感大!

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