言語活動家
言語活動家を肩書きとして名乗ることにした。
私は言語芸術家だったのか?
2024年2月24日に副代表としてポエデイを主催し、同年3月31日にみそのの詩歌賞公開選考会を開催した。それらのとき、言語芸術家の肩書きを名乗っていた私はまったく言語芸術家としての活動をしていなかったという事実に気づいた。それらでは、私は言語芸術作品を創造せず、社会のなかにおける詩歌の立ち位置を模索したり他人の詩歌作品を薦めたり評価したりしていた。
そのため言語芸術家を名乗るのはやめ、肩書きを名乗るときの活動にふさわしい肩書きを探した。そして、どういう経緯かは忘れたけれど、言語活動家という肩書きを見つけた。一連のイベント運営を私は活動と呼んでいたため、言語活動家という肩書きに違和感を抱かなかった。
言語活動家とは?
本来の言語活動家 a language activist / lingva aktivuloは、言語の多様性の維持と促進に向けた精力的な活動をしている人を指す。例えば、アイヌ語やサーミ語など絶滅危惧言語や少数言語の復興や保存といった活動をしている人や国際補助語エスペラントを普及させているエスペランティストなどだ。日本語話者でもそういう活動をしている人はいる。でも、言語活動家という肩書きを積極的に名乗っている人はインターネット上では見つけられなかった。その一因として学習指導要領にも記載された教育用語としての「言語活動」が挙げられる。これを踏まえると、言語活動家は会話する日常生活者をも指してしまうからだ。そこで「捨て城ならば拾わん」の精神で言語活動家を名乗ることにした。なにしろ私は15年来のエスペランティストでもあるし、それに指導要領における「言語活動」の日常性をおもしろい、と捉えたからでもある。
革命家と活動家
そういえば、そもそも言語活動家の活動家とは何だろうか? 辞書的な意味は下記の通りだ。
活動家を考えるとき、革命家と比較するとわかりやすい。千坂恭二は革命家と活動家の違いについて
と述べている。独裁は革命家、自由は活動家だ。
革命家も活動家も目的の名を冠している。つまり、活動家は革命を目指さず活動そのものを目的とする。政治で言えば、選挙や暴力革命による結果としての権力に頼らず、ジャーナリズムや文化芸術の諸分野における活動によってヘゲモニー(覇権)をとることで合意と共感により国や社会へ影響力を及ぼし変革をもたらそうとするのが活動家だ。
このような活動家の働きは、詩歌イベントにおける私の活動原理の近傍にある。
言語活動家の使命
私は言語革命家となって言語改革を断行し、Dil DevrimiにおけるAtatürkのように、新しい言語社会において指導的権力を握ろうとは、つまり言語独裁者になろうとはまったく考えていない、まったく。もちろん才能ある革命的詩歌人は若いうちから詩歌の諸分野において象徴資本を蓄積し、核となる中心作家となって言語独裁者然とふるまえるだろう。非才である私には、それはできない。でも、彼らのふるまいを妨げる意図は毛頭ない。というのは彼らの革命的作品群は、心証はどうあれ、詩歌と言語の発展と多様性に寄与するからだ。
言語革命を起こせるほどの才能も、顕示欲もない私は、言語活動家となって言語における多様性の維持に努めようと思う。それは革命的作品群に対する反動的作品群の保存、強者の理屈に対する弱者の論理の保存、経済言語に対する詩歌言語の保存、現代詩歌に対する近代詩歌の保存、政治的に適正な単語に対する不適正な単語の保存、責任を追及する口調に対する無責任な口調の保存、時節に合う表現に対する時節に合わない表現の保存である。
とほうもなく地味で、誰からも感謝されないどころか、ときどき恨まれる仕事だ。ただ、黙殺されようが恨まれようが、言語活動家は会話する日常生活者でしかない。だから「言語活動家宣言」は存在しない。
今後
詩幣
新紙幣発行日である2024年7月3日(水)~7月6日(土)の10:00-20:00に鴨エアートセンターでつじむらゆうじさん主催のインスタレーション展示「詩幣」(もしくは詩弊)が開催される。そこに詩創造者(POETRY CREATOR)として招聘された。3日と6日に在廊予定。
詩丼
2024年8月24日(土)に詩歌のZINEや個人誌やオブジェを展示・販売できるイベントを静岡県浜松市のはままちプラス(新浜松駅高架下)で開催する。静岡県内外から10ブースが出店予定。ZINE・冊子・読書会・オブジェ・パフォーマンス・インスタレーション展示などさまざまな詩の表現形態が展示販売される。
短詩からひろがる賢治の空
2024年9月22日(土)14:00-15:30に谷川雁の弟子筋にあたる浜松ものがたり文化の会を事務局としてちいさな賢治祭in浜松2024がクリエート浜松1階ふれあい広場で開催される。賢治トーク「短詩からひろがる賢治の空」と題して、宮沢賢治がおもに青少年期につくった短歌や俳句について展開するつもりだ。
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