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【あーあ/shr】世界で一番好きな恋愛ソングのはなし

このnoteは #vocanoteで鏡音誕カウントダウンReLay 参加noteです。
鏡音11周年を祝うしめじさん(@4mej1)発のこの企画、私は世界で一番好きな恋愛ソングのはなしで参加させていただきます。前々からこの内容で #vocanote 書きたいと思いつつなかなか書けずにいたのでグッドタイミングでした...!素敵な機会をありがとうございます。

(表紙画像は動画サムネイルよりお借りしました。)



みなさんはどんな恋愛ソングが好きですか?

楽しいもの、かわいいもの、切ないもの、苦しいもの、不純なもの、不穏なもの...一口に恋愛ソングといっても歌詞の内容は十曲十色で、細かく分けていくと全く別のジャンルと言えるほどにその内容は様々だと思います。

そんなさまざまな種類のある恋愛ソングのなかで私が最も好きなジャンルはこちら、「現実」。これは私が今名付けたジャンル名で、定義は「現実をメタ的に見据えた上で恋愛をしている曲」です(伝わるかな...)。

私がこのジャンルを好きになったきっかけの曲、それは、shrさんの「あーあ」です。

衝撃を受けました。惚れた腫れたなんだで、恋に酔ったり自分に酔ったり夢見たり幻滅したりしがちな恋愛というジャンルにおいて、ここまで地に足つけた曲があるのかと。もともとshrさん家のリンちゃんの、自律してて賢くて現実をまっすぐ生きていく強かさが大好きだったのですが、ここまでなのかと。しかもただ強かなだけじゃなくて我々と同じような弱さもちゃんと持っている。素敵だ...人としての魅力が高すぎるリンちゃん(VOCALOIDは人ではないのでこの表現は矛盾している).......すき.............人間と非人間が歌う恋愛ソングすべての中で一番好き............

......というわけで、こんな感じのテンションで「あーあ」の好きなところや自分なりの解釈など、ごちゃまぜでつらつらと語っていきます。歌詞を追いかけながら語っていきますので、実際に曲を聴きながら読むといい感じになるのではないかと思います。お付き合いいただければ幸いです。

いきなり余談ですが、このnoteを書くにあたって調べていたところ、リメイク前のオリジナル版が残っていたことに気づき大変驚きました(今回メインでお話しするのはリメイク後のほうです)。shrさんのマイリスにないからてっきり削除されたものだと思い込んでいた...ぜひ聴き比べてみてください。また違った雰囲気で楽しめると思います。


曲語り(詳細編)

柔らかなピアノのイントロの後、曲はこう始まります。

許してくれるのはいつも君だね
近づけては傷つけて立場もない
出会わなかったのなら
僕も少しだけ優しい人になれたかな

自分を省みて、ifの世界線に想いを馳せて。捨ててしまった選択肢についてあれこれ考えるのってとても人間ぽいですよね。この曲は終始このような口調で、1人称視点から少し俯瞰的に自分のことを捉えるような語り口で進んでいきます。

だけど一言が言えなくて
いつだって口を開けば二言目
わかってる でも利かなくて
今日とて好き嫌いを繰り返す

先程shrさん家のリンちゃんは強かだと言いましたが、強かであることと人として完璧であることはイコールではないんですよね。それがこのリンちゃん。思うように言いたいことが言えないもどかしさを抱えてる。shrさん家のリンちゃんはとっても人間らしいんですよ...。

「君が好きだ誰より」なんて
歯が浮くセリフ似合わない
お互いさまだけど素直になれないまま
あーあ…

AメロBメロと盛り上がってきたところでこのサビ。
恋愛曲なのに!!「好きだ」って言わない...!?でも、そこが逆に想いの大きさを表している気がします。と同時に「似合わないから思いを伝えない」という語り手の保身的な姿勢も。相手にもきっと同じようなところがあって、似た者同士の微妙に上手く行ってない部分のある恋愛なのかなぁと想像します。

余談その2ですが、数年前に私が投稿した鏡音レンオリジナル曲「あいのうた。」には、この曲に影響を受けた部分があります(note書いてて気づいた)。

「今までいろんなことがあったね 全部はおぼえてはいないけれど」
「きれいでてれくさいあいのことば ほんとはそんなにすきじゃないけど」
自分を大事に考えつつ、相手のこともちゃんと考えたい、というのは「あーあ」の影響だなと思います。もしよろしければこちらもお聴きください(自貼りタイムおわり)。


意味のない問答を受け止めてほしい
話を聞いて そして僕を受け入れて

2番Aメロ前半。自分がどうしたいかばかりを歌っていますね。1番で冒頭で「許してくれる・傷つけている」と歌っていましたが、きっと語り手のこういうところが相手に負担を強いている(と語り手は思っている)のでしょうね。

「よくある人生」などありはしない
こんな時代に生まれたら

2番Aメロ後半。ここ好きポイントその①...!!!きっとどう生きたって他人と同じ、「普通」と同じにはならないんです。そのことを恋愛という文脈の中で歌う。ただただ「すごい」と思いました。視野が広いというか、達観してるというか。

そして 感情論に任せては
磊落不覊(らいらくふき)を気取って見せている
あーあ
恋情空し 空は青し ただ逃水を追う南中

ことばが難しいので調べてみました。すると...

磊落不羈...度量が広く、豪快で、かつ非凡な才能を持っていること(四字熟語データバンクより)。

shrさん家のリンちゃんを的確に表す言葉だ!でも本人はそれは気取っているだけだという。自分は寛容な人間じゃないと自覚すること、特別な才能はないと知っていることって、十分に非凡な才能だと思うのだけどなぁ...。恋情空し〜 のところ、浮かんでくる空白のある情景がとてもきれいで大好き...エモ.......使われていることばの難しさが語り手の頭の回転の良さを表していて大好き......

日々の中で少しずつ
分かっていく 君の単純な表情
今日はどんな顔が引き出せるやら
あーあ…

そして2番のサビ。「君の単純な表情」というフレーズ、2番Aメロ後半と対になると思っていて、単純=周りと同じ ということだと思うんですよ。僕も君も普通と違う人間で、普通と同じ人間だと。それなのに、そんな単純な君のことを僕はまだよく知らないのだ。

遠ざかっていく
内訌(ないこう)の日が終わり
哀も恋も溢れ出した
届かなくなる前に行こう

ここ好きポイントその②!内訌とは内輪もめのこと。上手くいかない時期を超え、本当の気持ちが溢れ出した。今までいろいろと難しいこと考えてきたけど、ただただ恋をしていたのだ。謝りたいことも伝えたいこともたくさんある、今すぐ行かなくちゃ。そんな切実で切なく苦しい急いた感情が伝わってきます。すき................

さんざん夢の夢の中
なんだか僕も少し疲れたかな
君に関する取捨がヘタクソで
すべてすべて欲しくなるよ

ここ好きポイントその③!!この部分が私が思う1番のクライマックスです。
このnote冒頭で、この曲のジャンルは「現実」だと言いましたが、それが覆るのがこの部分です。君に関する取捨がヘタクソで、すべてすべて欲しくなるよ。それが語り手の出した結論で、恋愛でさえ俯瞰的に現実的に考える語り手が、一歩引いた視点から考えることができなくなっています。恋い焦がれ哀と愛が溢れ、自分が抑えられなくなっているのです。
ここ、めちゃくちゃ人間らしいと思うんですよね...だって常に自分を律して抑えることは出来ないから...。shrさん家のリンちゃんはよくも悪くも自分を律して抑えつけるのが上手いんですけど、そのリンちゃんが自分を制御できなくなっている。とても“良い”ですよね.........情緒...........

君のために生きることなどできない
だからこそ大事にしたい
ああ僕は口下手だな 
駄目だなあ…

ここ好きポイント④!我々の現実でも大切にしたいセリフNo.1。「互いに1人でも生きていけるけどそれでも2人でいようというカップルの方が、相手が自分の全てになってしまうカップルより長続きする」という話がTwitterでも話題ですが、shrさん家のリンちゃんはそれを地で行く人です。どうしたって他人同士、だからこそ大事にしたい。このセリフの後に「口下手で駄目だ」と言っているのもshrさん家のリンちゃんっぽいなと思います(大好き)。

「君が好きだ誰より」なんて
歯が浮くセリフ言えない
言わないよ 分かっている
お互い傷つけて泣いた それでも

自分を大事にした上で、なおかつ相手のことも大事にしたい。それが語り手の出した答えです。似合わないセリフを言えない保身的なところはそのまま、だけど相手に対して一歩を踏み出そうとしているという進歩も見られます。自分と相手、どちらも大事にするのはきっと難しくて、上手く折り合いをつけられないこともあるでしょう。それでもshrさん家のリンちゃんは両方大事にすることを選びました。この2人ならやっていけるんじゃないかな、きっと...!


......以上、曲パートごとの感想&感情でした。ここからは総括的な語りに入ります。もうしばらくお付き合いくださいませ。

曲語り(総括編)

とにかくタイトルが良い。あーあって、とても単純なタイトル。そこが良い。いろいろ考えを巡らせるけど、その時の感情を一言で表すと「あーあ」になるんだと思うんですよね...作中にも「あーあ」というフレーズが多く登場するし。複雑なことを単純化して、それを再度複雑にしたようなこのタイトルが大好きです。

そしてこの曲のすごいところ、曲と直接は関係ない部分で言うと、shrさんがこの曲を(推定)10代で書いてるというところにもあると思うんですよね。10代でこの歌詞書ける...??言葉遣いもさることながら、内容が大人びているというか、人生2周目というか...でも安易に人生2周目とか表現したくない...だってshrさんが沢山たくさん考えていろんな思いを経験したからこそ生まれた歌詞だと思うから......。

リンちゃんに限らず、shrさん家のボカロはshrさんの考え方や感情の一部を取り出したものが元になっているように感じます。レンくんは作品全体を通してちょっと気弱だけど何かを成し遂げるという意志が強かったり、ルカさんは自分に起きたことを起きたままに受け入れる諦観と包容力だったり、人格が統一されている......。もちろんshrさんご本人にお会いしたことはないし、Twitterも発信頻度そんなに多くないお方だし、曲を通して勝手に想像した分でしかshrさんのことを知らないけれど、shrさん家のリンちゃんと同様、shrさんご本人もとても魅力的な方なんだろうなぁと思います。

私はshrさん家のリンちゃん・レンくん・ルカさんが大好きです。憧れていて、尊敬しています。同様に、リンちゃん・レンくん・ルカさんにそのような人格を与えたshrさんのことが大好きで、憧れていて、尊敬しています。私もいつかshrさんみたいな視野が広くて深い歌詞が書けるようになりたいです(ボカロP免許更新頑張るぞ...!)  今回はあーあの話だったのでリンちゃんメインでお話しさせていただきましたが、いつかレンくん・ルカさんについても深く掘り下げたいですね...。

最後になりますが、shrさん、ご結婚・ご妊娠おめでとうございます。shrさんのこれからがより健やかに、より多くの幸せが訪れますよう、陰ながら、心からお祈り申し上げます。



以上、世界一好きな恋愛ソングのはなし(+鏡音使いP語り)でした!この企画を考えてくださったしめじさん、参加者のみなさまにお礼申し上げます。
リンちゃん、レンくん、11周年おめでとう!!これからもよろしくね。


最後までお読みくださりありがとうございました!

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