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【えいがのおそ松さん】高校時代を思い出したくない人へ【ネタバレなし】


あなたは自分の高校生時代を覚えているだろうか?

楽しく過ごしていた人も、退屈に過ごしていた人も、何かしらの思い出があると思います。
例えば、教室の端っこで数少ない友人と何でもないような話をどうにか頑張ってしてたとか、教科書忘れたとき隣の人に「貸して」って怖くて言えずにいたら先生に教科書音読しろって言われて詰んだこととか!ちょっと面白いこと言おうと頑張ったら想像以上に無反応で心臓キュってなったとか!!記憶を掘り起こしてみれば、他人に知られたくない、思わず顔を覆いたくなるような過去がきっとどこかにあったと思う!
現在進行形で学生の人は、もっと上手に学生生活を送れたら...と心のどこかで思ったことがあるんじゃないでしょうか?

そういう心の押入れにしまい込んだろくでもない記憶にもう一度目を向けて、ちょっと大事にしてみようかな、なんて思わせてくれる映画があります。それが、


えいがのおそ松さん

”クズ”で”ニート”で”彼女ナシ”で”童貞”の6つ子たちが、自分たちが高校生だった時の過去の世界に迷い込み、この時代に残した「大きな後悔」とは何かを探る、というストーリー。

もっと大枠で捉えるならば、「世間に胸を張れる要素を持たない大人たちが、今の自分になる前の『未熟な自分』に逢いに行く」というお話です。


自分に胸、張れていますか?
人生は選択の連続です(いきなり意識高いみたいなこと言ってすみません)。あの時こうしていれば...と思ったことはありませんか?



6つ子たちは過去の世界で高校3年生当時の自分と出会うんですが、まぁ〜これが酷いんですよ。

例えば、小学生メンタルのバカな長男は今と全くおんなじのバカ(つまり過去から全く成長していない)だし、真面目系クズな三男は度をすぎたいい子ちゃん顔をするヤベーやつだし、クソ根暗で友達がいない四男は、今と違って人付き合いとかしてる“頑張っちゃってる”やつだし。現在の自分からしたら恥ずかしくて直視できないような存在なんですね。“誰が誰でも同じ“な6つ子という家族構成が、アイデンティティの迷走に拍車をかけている。今の自分もわからないのに、将来なんてもっとわからない。

そんな見たくない過去の自分たちと出会う場面を見ながら、
「アイタタタタwww」って、迷走してる過去の6つ子たちを笑いながら、
それを見てる我々自身も、頭の片隅で自分のしょうもない過去を振り返ることになる。高校生の6つ子の後ろに、映画を見てる自分の思春期だった頃の姿が浮かび上がる。


今も大した人間じゃないけど、昔も大概だ。
6つ子たちが高校時代の自分を見て「俺たちはそういうやつだったな」と笑い、過去に残した後悔をどうにかしようと奮闘する。その姿に、今この映画を見てるろくでもない自分のろくでもない過去も「これでいいのだ」と肯定されるように思える。えいがのおそ松さんは、”あるべき姿”のハードルが上げられた現代人の「観るカウンセリング」なのだ。


if の世界はいろいろあり得ただろうけど、
過去と地続きの今の自分をちょっぴり愛おしく思える。
思春期っておもしろい。
歳を重ねるって悪くないかも。


「えいがのおそ松さん」を観ると、きっとそんな風に思えるようになります。

上映時間は108分。仕事帰りに、学校帰りに、6つ子たちと過去の自分に会いに行ってみませんか?



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