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図解で読み解く「本と世界」

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本を読みながら、考えながら、ついつい物事や概念の関係性を頭のなかで立体的に構造化してしまいます。それらを図解して、文章として紡ぎだしたものたちです。
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2022年9月の記事一覧

【図解】『関係性の構造』で考える人類史 ~EP3「脳の進化と<神>の発明」~

我考える、ゆえに我なし!?「即今・当処・自己」という禅語をご存知だろうか?簡単に言えば「いま・ここ・じぶん」。つまり「いまこの瞬間に、他ならぬこの場所で、自分が為していることに目(思考)を向けよ」という教えだ(と私は解釈している)が、逆に言えばそれだけ人間は「いつかの、どこかの、誰かとの、ことについて考えてばかりいる」ということだ。 もちろん、自分に関係する出来事が中心ではあるのだが、それにしてももう過ぎ去ってどうしようもないことを悔いたり、あるいは思い出し笑いしたり、まだ

【図解】『関係性の構造』で考える人類史 ~EP2「人間の自然状態」~

「立って歩く」⇒「共同保育」?各自いろいろと答えはあるだろうが、実は道具が出現したのは600万年の長い人類史のなかで比較的最近のことのようだ(といっても250万年前だが)。 では、直立二足歩行で何がもたらされたのか? ひとつは「共同保育」である。 人類は食物が豊富にあった森林からサバンナに出たことで、大型獣による捕食リスクや採食が困難なことによる飢餓とつねに背中合わせだった。そこで集団規模を拡大し、同じ血縁関係にない他者とも積極的な協力関係を築かなければ、厳しい生存環境を

【図解】『関係性の構造』で考える人類史 ~EP1「生物の自然状態」~

社会秩序はいかにして可能か2020年8月、コロナ禍における日本人のマスク利用に関する意識調査について衝撃的(!?)な研究結果が発表された。「あなたがマスクをしている理由はなぜですか?」という問いに対して、最も多い回答が「誰かを感染させないため」でも、「自分が感染したくないから」でもなく、「皆がマスクをしているから」だったのだ。それも圧倒的な比率で。【1】 実感として、同意できる方も大勢いるのではないだろうか。正直に言えば、この結果については「あぁ、やっぱりな」という納得感の