パジャマで暮らす
私は見た目に頓着があまりない。
どのくらいないかと言うと、毎日の仕事も彼 氏とのデートもほぼノーメイクでスニーカースキニースウェットで行けてしまう。
缶チューハイ30本と4000円のニットで悩んだら缶チューハイを買ってしまうだろう。
見た目にお金をかける気がないので化粧品は軒並み3桁で買った。
節約するときは、家計簿の項目の中で[衣服][美容]の欄を真っ先に確認する。
もしも見た目頓着ランキングなるものがあったら、きっと同世代の女の子たちの中では下から数えた方が早いだろうし、男の子の中に入ったとしても平均より下かもしれない。
まあとにかく、私は見た目に頓着があまりない。
私が見た目について考え始めたのは物心ついた幼稚園の時だと思う。
小学生の時、友達らが可愛い子供ブランドの服をよく持っていて、ヨーカドーで買ってもらったパーカーがとても恥ずかしくて、鬼ごっこをしながら劣等感を感じた。
中学生になると制服に救われたけど、休みの日にも制服を着られないのが嫌だった。
鬼ごっこも卒業したのでスカートを買ってもらったけど、久しぶりに会った叔父に「おお立派になったな」と、ふくらはぎを笑われて、スカートを履いていることが恥ずかしくなった。
初めてブラジャーを買ってもらって付けて行ったら、制服のシャツも体操着も白くて透けたので、同級生の女の子たちの話題にされた。
大学生になると毎日の服装を考えるのがとても苦痛になった。
ある時同じサークルの男の子に「もっと女の子らしい格好しなよ」と言われたのをよく覚えている。
だから私はタイトスカートを基本にして私服をパターン化した。
同じようなシルエットなら大抵どの組み合わせも変にならなかった。
出番はなかったけど、何か言われたらVogueのアナ・ウィンターと同じやり方だと言おうと思っていた。
お洒落の楽しさがいまいち分からないまま大人になった。
全く興味がないと言えば嘘になるし、服を見て「かわいい」と思う瞬間もあるけれど、それよりも嫌な気持ちが大きいのだ。見た目のことにはとにかく腰が重くなる。
もはや今では、見た目に頓着がないのが何故なのか分からない。
私が元々持っていた性格的問題なのか、性別によって投げかけられた言葉への反発心なのか、はたまたダサいと思われたくなくて見た目に興味がないフリをしていたら本当にそうなってしまったのかもしれない。
「お洒落や化粧は男のためじゃなく、自分が好きだからやってるんだ」という意見は見聞きしたことがあるけど、私は完全にその逆だ。
私は人の目を気にして化粧をして、服を選んでいる。
幸い今の彼氏は、見た目に頓着がない私を責めたりしないでいてくれて、本当はパジャマで出かけたい私と世間の目の間を求めて今のスタイルに落ち着いた。
大人の女性として、身なりに気遣ったほうが何倍も得なんだろうけど、周りの目を全く気にせずに出かけられたら、どんなに気が楽になるだろう。