社会を知ること、生きること。
レターポットのサービスなどが出始めた時によく耳にした「恩送り」。Wikipediaによると、「誰かから受けた恩を、直接その人に返すのではなく、別の人に送ること」という意味。
そんな「恩送り」が描かれた、“PAY IT FORWORD”という映画を観ました。
この映画、メインストーリーも素晴らしいのですが、私が一番響いたのは冒頭15分のシーン。物語のメインパーソンの社会科教員と、主人公の男の子のクラスの出会い。社会科の授業の導入部。
教室にいながらも生徒に社会のリアルを見せる教員の語りに、あああ!こういう授業を受けたい!したい!と、そんな風に身体を熱くして思いました。(教員ではありません。)
自分が誰かを育てる立場になったとき。この教員の言葉と、熱くなった自分の気持ちを忘れたくないと思い、ここに書き残します。以下、映画冒頭シーンのネタバレです。
***
場面はアメリカの新中学1年生の社会科の授業。
社会科の教員と生徒の初めてのクラス導入期。
教員は生徒に対し、社会科とは「君たちとその周りの世界について考える時間だ」と語る。
しかし、生徒たちはニュースを見ている様子もなく、戸惑った反応。
教師「なぜ君たちは世界について考えないのか。いったい世界は何を君たちに何を期待していると思う?」
生徒「なにも(期待していない)」
教師「なにも。そうだ。君たちはまだ何も出来ない。免許も持っていなければ、選挙権も持っていない。ただの中1であることに縛られている。でもそれは永遠ではない。」
「君たちはいつか自由になる。『世界』はきみたちの周りに存在し、望まずとも、容赦なく立ちはだかる。」
「その時が来たとき、何も準備なしに自由になったとしたら、どうする?」
「自分の周りの世界が好きになれなかったらどうする? 大きな失望でしかなかったらどうする?」
「嫌な部分、嫌いな世界をクルリと変えてしまえ!それを今日から始めてみよう。」
そこで
"Think of an idea to change our world and put it into Action."
(社会を変える方法を考え、それを実行してみよう。)
という課題を出す。
「君たちには出来る、可能性がある。それとも何もせずに可能性を委縮させるか?」
***
そんな煽りで教師の社会科の授業の導入は終わる。
なるほどおおお!これか、「社会」を知る意味。勉強する意味。なんとなく5教科の中でも最も必要性を直感で感じて勉強していたけど、この映画の中の教師の「社会科論」は、直感が言語化された感じでした。
「君たちはいつか自由になる。『世界』はきみたちの周りに存在し、望まずとも、容赦なく立ちはだかる。」
だから、世界を知っておく必要がある。嫌な世界構造は、変えてしまえばいい。どちらにせよ、「周りの様子」をよく観察する必要がある。
これって「社会」だけに終わる話ではなく、どんなスケールの話にも役に立つし、ずっと新鮮だ。自分の恋人/家族にも当てはめて考えることも、難民といった社会問題の話にも当てはめられられそうだ。
授業と身近な話と社会を結ぶ付けられる教師の話は、やっぱ最高に面白い。
上にチラッと書いたシーンは映画の冒頭15分なのですが、あまりにも教師の発言が心にしみて、涙が止まりませんでした。その後のストーリーが「恩送り」の本題なので、是非気になる方は見てみてください。メインストーリーも素敵で、ヒーリング効果ありです。
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