地元とオタク

私の住んでいるところは至って普通の田舎。バスは1時間に1本が普通だしなんなら土日祝とか動いていないものもある。遊びに行くのは金沢駅か片町かイオンか、イオン。イオン。イオンは優秀だし学生にとって手軽に行ける。
 何があるのと聞かれれば金沢城公園?ひがし茶屋街?金箔?いいや、そんな石川県は優美ではないし、そんなの石川県金沢市のほんの一部に過ぎない。石川県の魅力は、ご飯が美味しい、水が綺麗、魚がとれる、山もある、と言ったところだろうか。金沢市民の台所なんてうたわれている近江町市場だって、地元の人はあんな街中じゃあなくて、近くのスーパーに行くのが普通だ。石川県が推している所なんて全力で観光者向けである。

 ウインドボーイズというアプリゲームをご存知だろうか。舞台が石川県金沢市、とある高校に入学した男子高校生達が廃止されてしまった吹奏楽部を立て直そうと奮闘する王道青春ストーリー。
 石川県出身で中学高校と吹奏楽をしていた私としてはとっても嬉しいコンテンツである。先行予約までして楽しみに待っていたウインドボーイズ。受験生なこともあり少ししか進められてないのだが、地元民だからこそ、かなりツッコミどころが多かったため、少しここで吐き出させて頂こうと思う。

 石川県、と言うよりも北陸、そう北陸の気候はとても厳しい。そもそも年中を通して比較的ジメジメしているので夏はじっとりとした暑さ、冬はちょっと水の割合が多い雪が降る。それも大量に。よくテレビで都会が積雪3センチだの普通タイヤで事故を起こしただの大騒ぎをしていると「何をそんな、騒ぐ程じゃないし、つか冬に普通タイヤって有り得ん」と毎回思うのだ。数センチ積もったくらいで学校は休みなんかにならないし、脛の辺りまで積もった雪を全力で踏み締めながら学校まで歩く。ブーツは水を含んで重くなるし足は冷えきるのなんのなんの。でも日常茶飯事だ。
 石川県は冬はめちゃくちゃ雷がなる。これは最近初めて知ったのだが、太平洋側は冬に雷が落ちないらしい。知らんけど。雷の音が嫌いな私は夜とか眠れたもんじゃない。風がごうごうと吹いて家が揺れるし、雷の音で起きることもしばしば。でも日常茶飯事だ。

 石川県はよく雨が降る。季節風の影響でからりと晴れるはずだけど、普通に降水量が多い。しかも遠足の日に限ってどんより曇り空なこともある。昨日は晴れとったやん、と突っ込んだって空は返事なんかしてくれない。そして、遠足に行くか行くまいかの先生会議がある。私の妹は3年連続遠足が中止になった。運が悪すぎる。
 ウインドボーイズではこの描写もしっかりとされている。石川県の合言葉「弁当忘れても傘忘れるな」のとおり、お前傘持ってきてないのかよ!とか、大丈夫、折り畳み傘あるから、みたいな会話をしているのだ。さらに、ホーム画面が教室の窓際の絵なのだがそれがなんとどんより曇り空。芸が細かい。他にもプレイヤーは吹奏楽経験者の都会から戻ってきた新米教師という設定で、冒頭にプレイヤー自身が、「久しぶりにこの曇り空見たな」的な発言もかましている。そろそろ雨いじりやめていただけないだろうか。石川だって晴れる時もある。それもスッキリ快晴な空。

 石川県出身の有名人といえば、浜辺美波さんが挙げられる。歳も自分と割と近めで親近感もある。色んなところでご活躍されていて同じ県民として嬉しいところ。
 私は声優さんが好きなので声優さんも挙げておくと私の知っている方では寺島拓篤さん、能登麻美子さんなどがいらっしゃる。寺島さんは観光大使もされていたそうで嬉しい、とても嬉しい。こうやって地元繋がりで共通点があると結構ニッコリ嬉しくなる。
 石川には金沢弁という方言がある。「今日友達と遊びに行くげんて〜」とか「今日雨降るし傘もっていきまっしね?」と言った感じだ。加賀の方はそんなにキツくないが能登の方だともっと訛っている印象がある。東京から引っ越してきた友達に「エセ関西弁みたい」と言われてすごくショックを受けた。「え、これ関西弁じゃないんやけど。普通にみんな言っとるし関西弁じゃないねんけど。」と答えるもあまり納得のいかない顔でそうなんだ、と返された。よくよく考えてみたら石川県は西日本と東日本の狭間みたいなところにいる。ちょうど本州の真ん中らへん。だから方言が関西よりなところもあるし東北よりなところもある。
 先程の能登麻美子さんの金沢弁が最強だ。別にどういったこともない方言が格別に可愛く聞こえる。羨ましい。能登さんに「あんたほんとだらやね〜。(あんたは本当に馬鹿だねみたいな感じ)」とか言われたい。超言われたい。
 つまりはウインドボーイズでも方言が出てくれるのかととても期待していたのだが、、、普通に標準語だった。イケボで金沢弁を話して欲しかった。欲張りだと私も思う。

 石川県の郷土料理は治部煮らしい。家では食べたこともない。そんなのお高い旅館でしか出てこないと思う。でもウインドボーイズはひと味違う。治部煮が好物のキャラクターがいる。(能登原 光雪  CV天月)いいとこでなんだなこの子。それに内灘出身のキャラもいる。いや、ローカルすぎて石川県の人しか分からないだろ、と突っ込まざるを得ない。

 ここからはウインドボーイズ関係なくくっちゃべっていこうと思う。
 みなさんはご存知だろうか、金箔ソフトという代物を。バニラアイスにただ金箔が巻き付けてあるだけなのだが「いんすたばえ」するらしく私たちの中では有名だ。そして金箔ソフトが話題に上がったら締めには必ず「ただの無機物貼っつけただけなんに何がいいんかわからん。」と誰かがこぼし、それなー!とか言って共感して終わる。無機物巻き付けてあるだけで普通のソフトクリームの3倍高い。意味がわからない。
 たまに金沢が「小京都」などと言われているのを耳にする。「小京都」というのは全国京都会議で
①京都に似た自然と景観
②京都との歴史的な繋がり
③伝統的な産業や芸能があること
を条件に総会に承認されてやっと加盟できるというものらしい。京都は公家文化が栄えた場所であり囲碁版のような通路になっているのは小学校の教科書にも載っている。金沢は加賀百万石と言われるようにガッツリ武家社会の町である。江戸時代に百姓が自治をしていたところを前田家が支配するようになった金沢は、お茶好きな前田様のおかげでお茶の文化が栄えただけ。城を守るために城下町はぐにゃぐにゃと入りくねった道で本当に迷子になるし車で迷えばもう抜け出すことは出来ない。私が思うに金沢が「小京都」などというのは歴史が深い京都に比べればとてもおこがましい事なのだ。
 金沢に観光に来た際には「小京都」は禁句だとすら思う。京都に失礼だ。まぁ、そこまで言う必要も無いが、ぜひ観光に来る時は少し前田家のことも知っておくと金沢城公園も楽しめると思う。利家とまつという大河ドラマを見るのがおすすめ。(冬に来るのはやめた方がいい。バカ寒いし風が強すぎる。ぜひ秋に紅葉を見に来ていただきたい。)

 石川の人はのどぐろなんて高級品、あまり食べない。ご馳走である。私は去年の年末に初めてのどぐろのお寿司を食べた。でも、石川県民の冷凍庫には年中アイスが完備されていることが多い。寒い冬にコタツに入って食べるアイスは格別に美味しいと思う。コーヒーの消費量も多いらしい。完全に前田家の努力が失われているが、確かに私の家にも必ずインスタントコーヒーのストックがいっぱいある。どこの人もそうなのでは、と思うが。

 最早誰得?なことばかりつらつら書いているが私は地元が割とすきだ。特に冬は太平洋側ほど乾燥しないのがいい。田舎の方だとおじいちゃんおばあちゃんがとても優しいしすれ違うだけで「学校頑張ってね」なんて声をかけてくれる。こじんまりとしていてほかの県から帰ってくると安心するのだ。

 ウインドボーイズ、全然進められてないけどちまちま出来たらいいな。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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