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ほんとうのリーダーのみつけかた/梨木香歩
わたしの大切な人は、どうしてもはみ出てしまうわたしに、
おまえは自分の選択によって誰かが傷つくって事実を知ってる。それを知ってる人がする選択は間違ってない。
と言ってくれた。
心のなかに抱えている、おまもりのひとつ。
世の中には思っているよりもずっと多くの人が生きていて、その人の数だけ人生がある。
それは怖いことだけど、怖いと思うことは、他人を想像できる優しさへとつながっていると思う。
わたしたちは不確かな世の中を生き続けている。
だから、他人を想像しながらも、同調圧力に屈しない個である必要がある。
人に優しくすることと、考えなしに人の意見を肯定することとは違う。
揺るがないリーダーを己のなかに見つけるために、わたしたちはいまいちど言葉の重みについて考え、違うことには違うと言うべきである。自分の魂に嘘をつかないための、強さを保ち続けなければならない。
言葉は重力に勝てないとしても、けして無意味ではない。
言葉を信じ続けていたいし、正しく使い続けたいと改めて思う。