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向日葵の咲かない夏/道尾秀介

少年×胸糞の真骨頂ミステリー

私、こんな凄いミステリー読んだことないです。面白すぎる。

道尾秀介は、「月と蟹」を初めて読んだ時から大大大ファンになりました。

「月と蟹」も少年が主人公の作品なのですが、「向日葵の咲かない夏」もまたそうで。十八番ですねもう。

道尾秀介、とことん心が鬼なんですよ。残酷な現実をためらいもなく少年に経験させるの。まるで楽しんでるかのように。少年という純粋フィルターを通すことで、より胸糞悪さに磨きがかかる。

私はそういった作品はあまり読みたくない質だったんですが、この人の作品は読んでしまうんですよね。なぜだろう、すごく陰鬱としているのにずっと美しいんですよ。これはもう道尾秀介の文章力に脱帽という感じ。

そして、今回はミステリーということで、その辺にも触れたいです。まんまと騙された身として。

読者はきっと、一文目から騙される。そして、作中に散りばめられた違和感や、現実では有り得ない事象ひとつひとつが、種明かしされた時にあるべきところに綺麗さっぱり当てはまる。えげつな。こんな不安定で賭けとも言えるような謎を納得させてしまうのは、やはり作中の人間が生き生きとしているから。文章力〜!(2回目)

この小説はもう誰が読んでも面白すぎるので、胸糞悪いのが苦手な人も是非読んでほしい。心がぐちゃぐちゃになるのに、続きが気になってページを捲る手が止まらなくなります。渾身のおすすめです。

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