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人口320人の集落にサロンをつくる ①

 高知県の山の中、人口320人の『いしはらの里』という集落に、解体される予定の古い郵便局がありました。昭和初期に建てられたレトロで趣のある建物は、壊すにはあまりにももったいなく、所有者の方と話をして、2020年に譲り受けることになりました。その時から、この場所を様々な人が集まり交流する『サロン』にしたいと考え始めました。

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 サロンが目指すもの。それは、地域の中と外との交流が生まれ、多くのつながりを作る場所になること。そして、たくさんの方に、山の暮らしの魅力、そして、集落に暮らす人々の魅力を知ってもらうことです。集落の人々が交わすなにげない会話の中には季節を感じるセンテンスが盛りだくさん。「田植えは終わったかよ?」「そろそろタケノコが出てきゆうねぇ。」「今年も梅酒をようけ漬けたで。できたらまた飲もうや。」「鮎が解禁になったき、行ってくる。」普段の暮らしの中にたくさんの気づきがあります。都会に暮らす方からすると、これまでの価値観がぐらんぐらんになってしまうようなことが起きたりします。この集落に暮らす人々にとっては、集落外の方との交流はよい刺激となり、元気をもらえます。まだ名前も決まっていないこの『サロン』構想を少しずつ形にしていく過程を、noteで伝えていこうと思います。そして、このプロジェクトに賛同してもらえる方から支援を募るセルフクラウドファンディングにも挑戦してみたいと考えています。

~このプロジェクトをはじめる人~

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 omoyaの前田。高知県出身。高校卒業後、アメリカ オハイオ州へ留学。帰国後、東京で4年、京都で7年暮らし、2012年に高知へUターン。2015年から高知の山の中/土佐町での暮らしを始める。家族は、奥さんと、娘と、息子と、わんこと、にゃんこ。

 『omoya』という屋号で、地域資源を活かした体験プログラムの提供(シャワークライミング・omoyaテラスキャンプ)、イベント企画、商品開発、身体においしいお弁当やスイーツを販売しています。omoyaのコンセプトは『つなぐ、つながる』

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シャワークライミング

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omoyaテラスキャンプ

 山の暮らしは驚きと感動の連続です。美味しいもん、息をのむ景色、耳慣れない方言、四季ごとに行われる決まりごと、あったかい人たち。いしはらの里に暮らし始めて6年が経った今でもこの場所に魅了され続けていて、ワクワクする日々を過ごしています。そんな暮らしの中で体験したことや感じたことを、SNSやインターネットラジオで発信しています。

Facebook 『土佐町こじゃんとえいね!

Instagram 『tosachonosusume』

Radiotalk 『ぼっちりラヂオ』

ぼっちりラヂオチラシ.001

 昨年、有志メンバーで『いしはらキッチン』という団体を立ち上げ、『山の辣油』を製造・販売しています。妥協なきこだわりの辛さと、高知県が誇るカツオの旨みがギュギュギュっと凝縮された食べるおかずラー油です。高知県の定番の山菜『イタドリ』が入ったバージョンもあります。白いご飯にはもちろん、卵ご飯や、麺類や、冷奴やサラダ、ゆで卵や納豆にも合います。

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~人口320人の集落『いしはらの里』~

 四国の真ん中、高知県土佐町にある「いしはらの里」は、人口320人の集落です。四方を山々に囲まれ、澄みきった川が流れ、初夏には蛍が乱舞する、自然にまるごと囲まれた場所です。何度も言いますが、たった320人の集落です。平日のみ営業のアットホームなスーパーが1軒のみ。コンビニもないし、カフェも飲み屋もありません。65歳以上の高齢者が集落に暮らす人の半分以上を占めています。でもね、ここ、元気なんですよねぇ。前向きな人が多くて、懐がひろくて、なんだか安心していられる場所なんです。

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 いしはらの里の人々は、古くから山菜や茶葉、鮎やアメゴなど、山と川の恵みをいただき、先人からの知恵と工夫を受け継ぎながら暮らしてきました。四季ごとに変わりゆく自生の草花や野生の生き物たちが暮らしのすぐそばに息づき、日々に彩りを加えています。自然と共存するこの山里は、消費する生活の中で忘れつつある豊かさを感じられる場所です。

石原CC外観

 高知県は「高齢者の暮らしを守り、若者が住み続けられる中山間地域」を目指し、中山間地域の産業づくりや支え合いの拠点となる「集落活動センター」の取り組みを進めています。2012年、集落活動センターいしはらの里は高知県下で2番目に立ち上がりました。地域スーパー・ガソリンスタンドの運営、毎週日曜日の産直市、宿泊施設やバームクーヘン作りやアメゴつかみなどの体験プログラム、高知大学地域協働学部や奈良県立大学との連携など、10年後の地域の未来を描きながら、様々な取り組みを行っています。

~旧郵便局を譲り受ける~

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 昨年の春、「旧郵便局、取り壊すらしいで。」と、地区長さんから電話がありました。「なんか活用できんろうかねぇ。。。」と言われたので、間髪いれずに答えました。「なんか考えます。」

 まず旧郵便局の所有者の方と話をして、建物の中を見させてもらいました。定期的に窓を開けて空気を入れ換えていたおかげで、中はそれほど朽ちている様子はありませんでした。ただ、たくさんの荷物が、、、。旧郵便局ということもあり、大量の書類の山が積み上がっていたのです。所有者の方は、中の荷物を整理してくれるやったら譲ります、ということで話が進み、契約書を交わして、昨年12月、旧郵便局を譲っていただきました。のちに看板裏にしたためられた書を読み解くと、旧郵便局は1938年(昭和13年)に建てられたものと判明しました。築83年❗

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 建物の中に残っていた荷物を少しずつ片付けはじめ、今年の5月から旧郵便局よりラジオの配信をしています。このラジオというのは、omoyaの前田と同じく、いしはらの里に移住してきた大学生と2人で配信を始めた『ぼっちりラヂオ』というインターネットラジオです。暮らしの中で感じたことや体験したことを飾らない言葉で伝えています。

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~サロンって、具体的になにやるの?~

 omoyaのコンセプトは『つなぐ、つながる』。地域の中のつながり。地域の中と外のつながり。人と人のつながり。世代のつながり。つながることで、1が10になり、10が100になる。地域に必要なのは、そんなつながり。旧郵便局を活用して、そんなつながりを作っていきます。

①カフェやPUBなど人が集う場所 旧郵便局はいしはらの里の中心部にあります。荷物整理や掃除をしていると、地域の方がよく声をかけてくれます。「どうしゆうでぇ?ちったぁ片づいたかよ?」「昔、子どもの頃はこのカウンターが高くて、向こうが見えんかった」「ここでコーヒーでも出してくれたら嬉しいねぇ」 気づかいの言葉、思い出を語る言葉、期待をこめた言葉。嬉しい限りです。地域の方もふらりと立ち寄ってコーヒーでも飲んで世間話をするような場所にしたいです。

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もうひとつはPUB。PUBって「Public House」の略で、「飲み屋」というより、地域の人たちの「社交の場」という意味あいが強いようです。この集落の方は、まー、お酒を飲むのが好きなんです。いろんな理由をつくっては集まって飲み、よくしゃべります。それはすなわち社交の場。PUBはきっと集落の特性にぴったりなんだろうと思います。集落に暮らすもの同士が飲んで語らう、そして、集落外の方が集落の方と一緒に飲んで交流する場所にしたいと考えています。集落外の方にとって集落の方から聞く話はきっと興味深いでしょうし、集落の方にとって集落外の方の話はきっと刺激になることでしょう。

②ぼっちりラヂオの収録スタジオ 郵便局は手紙を通じて誰かの気持ちやなにかの情報を相手に伝える機能を持っています。その昔、郵便局だった場所から、音声を通じて山の暮らしでの体験や感じたことをリスナーさんに届ける、これって意味深いものがあると思います。地域内外から様々な方に来ていただき、いろんなテーマでトークする回も企画したいと考えています。旧郵便局からの音声による情報発信は、文字や写真を用いた発信とはまた異なり、よりリアルな臨場感をもって、伝えられると感じています。ラジオを聴いていただいているリスナーさんとのつながりはとてもありがたく、これからもこのつながりの輪が広がっていきそうです。

③誰かのおもいを実現できる場所 いしはらの里には高知大学の学生さんが実習に来てくれています。1期生は7名(実習は終了)、そして、現在実習中の2期生7名・3期生7名がいます。実習を通じて、集落を知り、個人またはグループで企画を立案して、実行していきます。そんな中、旧郵便局で自分の企画をやってみたいという学生さんがいます。ひとりはスナックを企画しており、もうひとりは旧郵便局に地域の写真を飾り、この場所をひとつのアルバムのようにするという企画です。これはまさに世代のつながりにもなります。若い世代が持つ柔軟なアイデアをまず形にしてみる、そんな誰かのおもいを実現できるような場所にしたいです。

④漫画の読める場所(大人も子どもも!) 旧郵便局の活用方法について友人のひとりに聞いたところ「漫画喫茶みたいなん、やってほしい」と言われた時は、予想外の答えに驚きました。でも確かに漫画って大人も子どもも夢中になれるし、そんな時間があってもええなぁって思います。漫画を通じてつながることもあるし、時代を超えて愛される話やキャラクターはいますよね。どんな漫画がいいか、どうやって調達するか、これから検討していきます。

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⑤リモートワーク&宿所 働き方が大きく変化しつつある中、旧郵便局はリモートワークができる場所としても活用できると思います。また、2階には8畳の和室と5畳の和室、ふすまで仕切れるような間取りになっており、宿所としての機能を持たせることもできます。

⑥セレクトショップ いしはらの集落には、食べるラー油、和ハーブ茶、米粉のスイーツ、かりんとう、季節のジャム、米、野菜、手づくりこんにゃくなど美味しいものがいろいろあります。さらに多肉植物や木工品を作る方もいます。そんな商品を通じて集落の魅力を知ってもらえるような『いしはらセレクトショップ』ができたらいいなと思っています。

~セルフクラウドファンディングをやってみる~

 旧郵便局を「人々が集い、交流して、つながるサロン」として活用することで、集落の魅力がもっと多くの方に伝わり、つながりがつながりを生むような場所にしたいと考えています。これらを形にするために、やるべきことがたくさんあります。不要な荷物を処分する。電気や水道を復活させる。(ガスはカセットコンロでまかなう予定)トイレを汲み取りから水洗に変える。床や壁を補修する。キッチンをつくる。飲食営業の許可をとる。照明や食器や調理器具など必要なものを揃える。

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 この場所で実現したいことに共感していただき、一緒にこのプロジェクトを前に進めてくれる支援者/仲間を必要としています。資金面での協力は非常にありがたいですし、そのお礼としてリターンをいくつか考えているところです。ただ、資金以外でも、知恵や知識やノウハウを教えていただいたり、掃除のお手伝いをしていただいたり、本プロジェクトをシェアしていただいたり、がんばれよーと声をかけていただいたり、サロンがオープンした時に飲みに来てくれたり、支援者の方が関わりやすい形で支援していただくと、モリモリと力がみなぎってきます。セルフクラウドファンディングの中身については試行錯誤しながら進めていくことになります。7月上旬〜中旬頃からスタートする予定です。金額の目標としては50〜100万(現在見積もり中)となりますが、先にも書いたように支援の形は様々だと思いますので、いただいた支援はできるだけnoteで紹介していこうと思っています。こういう風にすると支援しやすいというご意見もいただきたいです。本プロジェクトの進行状況はnoteで随時更新していきます。是非、人口320人の集落にサロンをつくるプロジェクトへのご支援を宜しくお願いします。

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