就活したくないよぉ
先日、祖父が死んだ。97歳だった。老衰である。東京に済む私は、急遽新幹線に乗り大阪へ向かう。祖父とは頻繁に会う機会があったわけではないので、あまり思い出という思い出はない。足が悪くトイレまで歩けなかった祖父はおしっこをペットボトルに貯めていた。ニートみたい。少し変な祖父であったが研究者であり頭はよかった。ちなみにその娘(私の母)はとてつもないバカである。新大阪につくと先についた母が待っていた。泣いていなかった。葬式はいつも通りの葬式であった。そのあとの精進料理が美味しい。ぶちゃけ葬式は退屈で、お経の間、寝てる親戚がちらほら。料理がご褒美のように感じる。親戚はいまいち皆知らない。その中にめっちゃマルチーズに似ている人を見つけた。なんてかわいい人なんだ。こんな犬のような愛嬌が我が一族にいたなんて。
真面目な話に戻ると、死を感じると自分の生き方を振り返るようになる。祖父は研究者として働き、大学の教鞭をとった素晴らしい方だったそうだ。自分の生き方はというとなんとなく大学に入り、就職したくない、大学院行きたくないと嘆く日々。大江健三郎の実存主義を盾に、今を生きる!とか言っちゃて情けないよね。それでもね就職も大学院も行かないと決めたのだ。というのも葬式の後、スーツを干した。そのスーツがどうやら風に流され飛んでいってしまったらしい。これでは就活ができないではないか! これは祖父からの天啓だと思い、風の赴くままに生きていこう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?