スコアは4-0でも「スペイン」に勝った気はしない。長い目で見ると心配になる作戦勝ち
女子W杯。スペインを4-0で下し、グループリーグC組で首位通過を決めたなでしこジャパン。スペインがその術中にはまった試合。一言でいえばそうなる。スペインが70%超でボールを支配したにもかかわらず、日本は前半12分に挙げた先制点を皮切りにゴールを重ねた。
痛快と言えば痛快な勝利になる。しかしスペインが圧倒的強者の立場で臨んだ男子のカタールW杯とはわけが違う。女子の場合もともと強かったのは日本だ。現在こそ日本はFIFAランクで、6位のスペインに対し11位と下回るが、つい2年半ほど前までは日本の方がランク上位の格上だった。
日本の最高位は2011年から2014年まで維持した3位。2011年W杯ではご承知のように頂点の座に就いている。対するスペインは現在の6位が自己最高位だ。世界屈指の歴史を誇る男子を無視し、新興国と称すのは無礼ながら、女子に関しては日本の方が先輩格だ。立ち位置が難しい関係にある。
スペインの支配率が70%強に及ぶことが画面上に示されると、解説者と実況はこう述べた。「スペインにボールを持たせておく感覚が必要だ」との池田太監督のコメントを引き合いに出し、それを全面的に肯定した。
それは「持たれても構わない」と言ったも同然で、すなわち自ら引いて構えることを宣言したようなものである。
日本の布陣は3-4-2-1。過去2戦同様、相手ボールに転じると、両ウイングバックが最終ラインまで後退する事実上の5バックである。
森保一監督が、カタールW杯本番で突如、使用した布陣でもある。その作戦が奏功した結果かどうか定かではないが、森保ジャパンはベスト16入りを果たし、監督も続投を勝ち取った。だがW杯が終了すると、それはなかったことのように、再び哲学的には真反対な布陣=4-2-3-1、4-3-3で臨んでいる。
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