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「守備的サッカー」に安易に手を染めるなと言いたくなる最大の理由

 ハリルホジッチ解任を受け、急遽、日本代表監督の座に就いた西野朗監督が、最初に臨んだ試合は壮行試合を兼ねたガーナ戦だった。

「W杯本大会で相手に押し込まれる場面を想定して」、「いろいろな局面に対応するために」、「しばらくやったことがなかったから」等々の理由を挙げ、西野監督はこの試合に3バックの布陣で臨んだ。

 日本では、3バックと言えば8割方守備的だ。かつて、オシムが3バックで攻撃的なサッカーを展開したことがあったが、概念は浸透せず。西野監督の3バックも、その系譜から外れた、5バックになる時間が長い守備的な3バックだった。

 ハリルホジッチも、布陣こそ4-2-3-1か4-3-3だったが、サッカーは攻撃的とは言えなかった。ボール支配率は総じて低く、相手ボールの時間が長いサッカーであり、マイボールを放棄することに抵抗がないサッカーだった。最終ラインと最前線の距離は離れがちで、中盤は間延びする傾向があった。その縦に速いサッカーは、布陣の利点が活かされているとは言えず、ザッケローニ、アギーレと続いた攻撃的なサッカーの流れは、途絶えたも同然の状態に陥っていた。

 攻撃的か、守備的か。初っ端のガーナ戦に0-2で敗れると、西野監督は舵を切り直し、4-2-3-1で本大会に臨んだ。ハリルホジッチ以前の状態に戻る格好になった。守備的な色は消え、オーソドックスな攻撃的サッカーになった。

 前回、2014年ブラジルW杯でも、ザッケローニ率いる日本代表は4-2-3-1で臨んだ。しかし、4-2-3-1の3の左を担当した香川真司は、そのポジションを守ることができず、試合の半分以上の時間、真ん中のエリアに進出。左サイドは長友佑都一人になる時間が長かった。初戦のコートジボワール戦では、その左サイドで陥った数的不利を突かれ、同点弾、逆転弾を浴びた。日本がグループリーグで敗退する主因となった。

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