見出し画像

おもてなしと察しの心

■何故、日本人は「おもてなし」が好きなのか


日本ほど日本人論が好きな国民はいない、と言われています。日本人について書かれた本も数多く、好んで読まれているようです。
その理由には、長く鎖国をしていた歴史や、島国であるため他国からの直接的影響を受けた(植民地化されるような)経験がないことから、自分達の独自性を探って主張したいという気持ちから来ているようにも思います。
 その独自性を表すのにぴったりと来るのが、「おもてなし」なのではないでしょうか。日本人は言葉に出さなくとも相手の心情を思いやる心を持っている、だからこそ街は清潔であり、順番を守って並び、仕事は繊細であり、お客様にはその気配りを持って最高の接客をすることが出来る。現に、日本を訪れる外国人が絶賛するポイントです。
 「おもてなし」に日本人は、よその国の人では出来ないことなのだという強い誇りを感じているのではないでしょうか。

■察しの心

その「おもてなし」の根底にあるのが『察しの心』です。言わなくとも通じる、聞かなくても相手の心情を慮って行動を取ることが暗黙のうちに求められ、それが出来る人が『気のきく人』として評価されるようです。
また、ビジネスでも言葉を交わさずに意図をくんで了解しあう『腹芸』は、外国人にも良く知られています。
最近よく使われる『空気を読む』という言葉も同様です。こちらは人ではなく、全体の場の雰囲気を読み取って、行動することが日本の社会では求められています。
しかし、かつて組織は、ほぼ同じような環境で同じような生活スタイルをしている人達で成り立っていたかも知れませんが、現代は多様性の時代です。日本人同士であっても、 同じことを見ても、同じように反応する人達ばかりではないのではないでしょうか。
ましてや、外国人や海外で育った人もいるとなると、察しようにも察せない感情もあるかも知れません。そして、そう考えると、多くの経験や体験を経ている人ほど、『察しの心』を育てることが出来ると言えるのではないでしょうか。


私が、CAとして受けた訓練の中に、お客様の様子をビデオで見て、何をして差し上げたら良いかを考える、という研修プログラムがありました。お客様の動作や表情を見て、何を感じているのかを考えて、求められる前にその気持に沿った行動をロールプレイで練習させられました。
また、ファーストクラスのサービスを行うために、ファーストクラスに乗ったことがなければどんな気持ちになるのか想像がつきませんから、模擬のサービスを受けることから訓練は始まりました。


相手の気持ちに沿った行動を行うためには、より多くの経験を積むこと、そして自分だったら何をして欲しいのか、何が嬉しいのかを考察する習慣を付けることが重要ではないでしょうか。

いいなと思ったら応援しよう!