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75歳、島暮らし、せっかち、無表情祖母とディズニーランドに行ってきたら、終始祖母が泣いてた話

祖母とディズニーランドに行ってきた。
祖母といつかディズニーランドにいきたいと中学校のときの夢ノートに書いてあった。そこからもう10年近く。祖母も一気に体力も落ちたし、もう行かなくていいかななんて思っていたけど、今しかないと思い、年密に計画して挑んだ。
旅行に行って、世界遺産や美術館・博物館を見てもいつも「見る」だけでスイスイ歩いてじっくり観たり説明書きの文章を読んだりもしない祖母なので、正直今回のディズニーも、私について回るだけでお祭りのローラーがついた風船犬状態になるんじゃないかと思っていた。

祖母とディズニーに行ったら面白そうというのは完全に私のネタと経験のためであって、果たして祖母のためになってるのだろうかとずっと不安だった。田舎の島で暮らしているので来るだけでも二日がかり。人混みも慣れていないし、歩き回るのも慣れてない。ただ疲れさせるだけになるんじゃないかとずっと不安だった。


一応祖母にも何度か確認したが、わからなすぎて想像がつかない状態で「とりあえず行ってみたい」の意見はずっと変わらなかった。 


決めた時はワクワクでしかなかった旅行も日が近づくたびにナーバスになる。こんなに大金を払って祖母をわざわざ呼ぶ価値はあるのか・・・私自身も10年ぶり以上に夢の国に行くというのに毎日暗い顔して過ごしていた。



やっぱり夢の国は夢の国なので、入るだけでテンションが爆上がりする。私も祖母も。


初めは、手堅く定番のイッツアスモールワールド

そこまで並ばずに乗ることができた。並んでいる間もかわいい装飾を見るかと思いきや、せっかちな祖母は私よりも前に立ち、人を押すかのようにぐいぐい並んでいてせっかくのイッツあスモールワールドなのに、島っぽいことをするのですごく冷めた。だがしかしこんなことは想像の範疇すぎる。しょうがない。

乗り物に乗って、ゆらゆらゆっくり進み始める。たくさんの人形がいる空間なので「子供向け」と思って興味を示さないかなと思って祖母の顔を見るとまだ動き出したタイミングというのに涙ぐんでいた。

最初、目を拭っていたので、もともと目が悪い祖母は慣れない環境で乾燥してしまったのかなと思っていたら普通に号泣していた。

「世界平和っていいね」の感動の涙かなと思ったら、「自分がかわいいものが好きだから嬉しい」という涙だった。テーマも歌もメッセージも関係なしに、とにかくかわいいものが集まってるから嬉しくて涙が止まらなくなっている祖母が面白かったし、それをみて、私も素直に楽しめた。

大人になって初めてのディズニーで、「学んで帰ろう!」と肩肘張って、乗り物の仕組みや人形の表情、キャストの動きや表現の仕方、、、、学んで吸収することばかりにがんじがらめになっていた。もっと何も考えず、素直に楽しんでいいんだ!と気づき、のんびり何も考えずみたら最高に楽しかった。航海中ずっと口を開けてしまっていたので喉がとっても乾いた。

乗り終えて、「もうこれで大大満足」と祖母が言っていた。確かに、私も劇団四季の公演を3時間みたくらいの満足感があって、幼い頃みた時より何故か遥かに充実した気持ちを得ていた。

「祖母のために」と思って入ったイッツアスモールワールドだったが今後も何回もこようと思ったし家でもずっと曲流しておこう。就活うまくいかないとか、お金ないとか、顔の傷跡治らないとか、むくみとか全てどうでも良くなる。
 

心が満たされまくって、次は外の乗り物に乗りたかったので、ダンボに乗った。上下動かせたが、ここで酔うといけないので位置はずっと変えずぐるぐるした。

並んだ時間に対しての充実感の低さや乗っている時間の短さへなど普段は気になって仕方のないことも、全く気にならないほどイッツアスモールワールドの幸せがまだまだ続いていた。



かわいいトイレに行ったり、キャラクターを隙間や遠くから見て、「かわいいね」「綺麗な人だね」と言って特別近づくことはなく、そのまま子供が楽しいエリア、トゥーンタウンへ。

ミニーと写真を撮りたいと思ったがそれだけで1時間も待つと言われたので、お昼休憩をとることにした。

食への興味は全くない祖母なので、かわいいミッキーのパオをすぐさまちぎり、無表情で二口くらいで食べ終わり、コーラの蓋を開けてがぶ飲みして、ミッキーのチュロスを買って行ったら普通に棒として食べ終わりもう永遠、このチュロスの形がミッキーだと気づくタイミングはなく終わった。


祖母が早食いなので食べ終わったタイミングで私が食べ始め、二口くらいしか食べていないのに、「次どこ行く」と言われ、もぐもぐしながら立ち上がり、次のアトラクション、スティッチのエンカウンターへ。

私もどんなのか全く知らずに、待ち時間の短さと、「怖くない」「座れる」観点で選んだら、ただのトークショーだった。正直期待外れだったが、休憩にはなった。

このぶんの刺激を取り戻したいと思い、カリブの海賊に向かった。
年寄りなので最初は乗るつもりがなかったが、スティッチがあまりにも刺激がなさすぎて予定にないことをしてしまった。

最初にふわっと訪れる急降下で祖母は驚き、その後ずっと体が硬直してしまった。
確かに、カリブの海賊は最初の降下が怖すぎる。その後はのんびりすぎるのに、最初のイメージのせいでずっとドキドキしてしまう。

中のレストランで食事をしている人たちすらも人形か人かわからなくなったり、海賊たちにビクビクしながらも無事航海は終わった。

そもそも海賊をよくわかってない祖母


ちょうどパレードが始まる時間だったので、パレードを見ることにした。
二月なので寒いし、興味があるかもわからなかったので場所取りも特にせず、後ろの方から145センチしかない祖母は子供のように花壇に足かけて背伸びして必死に食い入るようにみていた。

ここまで真剣に熱中してみるとは思わず、写真撮るよーと言っても絶対に一瞬も振り返ってくれず、リトルグリーンマンを買ってきて見せても嫌そうな顔をして無理やり一口飲み込んで「これいや」と言って、すぐショーを見る。とにかくパレードに釘付け。

大大満足でパレードを見終えた。
入園した時、入園と同時にパレードの場所を取りそこで何時間も待つ人がいることを知った祖母は大変驚き、軽蔑して薄笑いでみていたにもかかわらず、
「次来るときは朝早くから場所取りしよう」とルンルンで意気込んでいた。


カリブに反して、安定とゆとりを求めてウエスタンリバー鉄道に乗った。
想像以上にいろんなものを見れて楽しかった。
目の前に座っていた小さい子が、ビックサンダーマウンテンに並ぶ人たちに向かって知ってかしらずか、並ぶことをなのか、乗ることをなのか、いろいろ意図はわからないけどとにかく「頑張れー!」と何度も何度も叫んでいてとっても癒されたし可愛かった。

祖母は買い物が好きなのと、お土産を買わなきゃという概念に縛られまくっていたので買い物タイム。

ぬいぐるみの店やお菓子のお店、シンデレラ城の中のショップを見た。

シンデレラ城をその後通るたびに、「あれはシンデレラ城」と私に教えてくれた。
最初は私はそれを正面から受け取って「知ってるわ!中にも入ったし!」と祖母から教えられることに対して叫びツッコミを入れていたが、あまりに何度も言うので最後の方は「すごいね」というタイパのいい文字で済ませた。

ディズニーランドで大荷物になるのが嫌だったので、前日にイクスピアリのディズニーストアに行き、5万円分も買ったと言うのに、それとまた同じくらい爆買いしていた。
あげる人は指で数えるくらいしかいないのに。

しかし、ディズニーランドは不思議で、普段スーパーですらお茶を買いたくない私(ドラックストアが安いのと、そもそも飲み物に金を払いたくない)くらいケチすぎる私も財布の紐が緩みにゆるみ、もはや紐ないくらいになってしまった。

千円以上のものを買うときは持ったり置いたりを最低5回は繰り返すのに、今回ばかりはずっと即決。

ポップコーンに1600円も払う日が来るとは思ってもいなかった。

ディズニーストアでいいやん、もはやスーパーのディズニーの絵が描いてるお菓子でいいやんと言う言い訳が全く通用しない理由が実際に行くことでわかった。

ディズニーで買い物がしたいし、してしまうのだ!もうこれはなんなのかはわからん!

今の時期限定のイッツアスウィーツフルタイム!の可愛すぎるパレードも食い入るようにみた。
恥ずかしがり屋の祖母なので一緒に踊ったり手拍子などはできないものの、とにかく大興奮。キャストさんたちの細さを心配しつつも、楽しみまくって見ていた。


最後、祖母には室内型のショー、ザダイヤモンドバラエティマスターをプレゼント。

なんと何も始まってないのに席に着いただけで感動して泣いていた。
これは流石に理解不能だった。

ここまで何度も、すぐ感動して泣いている祖母だが普段涙もろいとかは特になく、映画が好きでよくネットフリックスを見ているが、感動系の映画でも滅多に泣かない。

そんな祖母が、ただ室内に入って、ミッキーはもちろん、キャラクターが何もいないどころかショーの幕すら開いてない状態で泣いていた。

こんなに感受性が豊かな人だとは初めて知った。それかディズニーパワー。
そんな祖母を見てすごく嬉しかった。普段からお世辞や忖度など嘘が全くつけず、調子いいことも言えない祖母なので、本当に心の底から楽しいと思ってくれていたのだろう。


また来たい!と大興奮でディズニーを出た。

帰りの飛行機や車でも何度もディズニーの思い出を振り返って感動して泣いていた。


家に着いてからのラインには宇宙一幸せとあった。
(私の名前はちゆなのだがいつも変換ミスか、見えてないのかこうなってる)

いろいろ不安だったけど、結局やって見ないとわからないし、誰かを思って計画したことは必ずいい結果になる。あれこれ考えすぎず、自分も素直に楽しむ習慣をつけようと思った。肩肘張りまくって、学びや吸収ばかりにとらわれず、いいことを言おうとか、相手の顔色ばかり見ず、その瞬間の景色や出来事を素直にまっさらな心で受け取って感想なんか言えなくても頭空っぽにして一瞬一瞬を過ごしたい。

祖母とのディズニーは、「歩けるうちに」と急いでしまったが、たとえ歩けなくなって元気も無くなってもおんぶして一緒にパレードを見たいと思った。むしろ行くだけでいい。ディズニーランドすごい!一生の思い出をありがとう。

締めの文章にお金の話は汚くて嫌だが、しょうがない。
ここまでディズニーすごいとむしろ8400円は安すぎる。
しかも私は大学生なので7000円安すぎる。世界一コスパがいいと思う。


おしまい。つぎはピューロランドもいきたい。

このときは普通に三匹の子豚とってたら珍しく入り込んできた

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ぼんのう
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