スパイダーマンから得たもの〜クライミングは遊び
2022年4月6日に僕はスパイダーマンを完登しました。とても充実感に溢れた最高のクライミングでした。
マスタースタイルでのRPは自分のクライミングにとって大きな意味のあるものでした。
しかし、最初からこのスタイルでの完登を目指していた訳ではありません。最終的にこのスタイルに行き着いたのでした。
湯河原幕岩の正面壁エリアにスパイダーマン(5.12A)はあります。見た目、内容、歴史と、どれをとっても良いルートです。
2021年の冬に2回通いましたがこの2日間は核心を超えることが出来ないという完敗、、。
慣れないカンテムーブ、そしてスタンスの細かさが先に進ませないし、ボルト間隔もちょっと遠くてフォールの怖さから逃げたくなった。今年はまだ登れん、来ても無駄、素直に思ったのです。
夏秋の花崗岩が効いたのか今年の2月に1年ぶりに行ってみるとテン山だったがトップアウトに成功しました。
このとき、ふと心をよぎったのがマスタースタイルでの完登だったのです。
そしてDay4。この日はまっつんがほんとに惜しいトライをしていたので自分も奮起する。するとどうだ、核心を超えてあと1手とればって所まで行けたのです。
この日の1便目ではやはり「マスターは厳しい」って感じでしたが1テンだったラストトライを経て思ったのはここはもう次に来るときはマスターで行こうって事でした。
やはりこの課題の歴史を考えたとき、ここまでムーブもわかってしまった以上はやるべきだろう、それで登れなかったらしょうがないと思ったのでした。
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ゆうたさんの好意に甘えた4月6日、暑いくらいのこの日はシーズン的に最後かなって感じでした。
1便目はあえなく最初のカンテを使うところで落ちてしまいました。でも実はこの時点でマスターで行く際のヌン掛けムーブがまだできていませんでした。というのも僕のムーブだと7ピン目を掛ける際のフットホールドがとても悪くていつもマスターの時は掴んでしまっていたのです。
そこの所をこの便でおさらい。足はそのまま、信じるしかないと言い聞かせることにしました。
ムーブはだいたい固まりました。
トップアウトして終了点にヌンチャクを掛けてテンションしてしばし考えました。
でももうやるしかないよなってヌンチャクを回収しながら降りました。ちょっと躊躇はありましたがそれはほんの一瞬だけだったと記憶してます。
こんなに素晴らしいスタイルで挑戦する覚悟が出来たのは素晴らしいこと誇りさえ感じてます。
1時間のちにトライ、昼前この時だけ風が吹いてくれていました。
僕はカンテとフェイスを真っ向勝負で登りました。何度も吠えて、マスターで行くとなんともホールドもスタンスも心もとないものに感じました。
しかし、全く妥協のない登りだったと思います。
このクライミングから、僕が登る課題は一切妥協しないと決めました。優しくなるようなルート採りは絶対にしない、強点を突くべきルートなら絶対にそう行くべきと。
クライミングは遊びです。ヌンチャクを外す決意をできた事を含めて。
遊びだからこそ本気でやる。本気なら妥協するな。妥協するくらいなら今はやるべきではないと。
スパイダーマンはこのスタイルでないと登ったことにならないとかそんなことを言っているのではもちろんありません。スタイル、ルートの取り組み方は人それぞれです。
岩と雪105号において初登した大岩さんがスパイダーマンのこと、そしてこれからの日本のルートのことにたいしての投稿が載っているので是非探してみてください。
↑↑ボコボコにされた冬の記録です。
春までは強傾斜に打ち込みたいと思ってます。二子山や城ヶ崎で必死こいて登るつもりです。