笑顔に「なれる」写真を目指して
「それでは皆様、笑顔でどうぞ! ハイ、チーズ!」
笑顔の写真っていいですよね。
楽しい雰囲気がよく伝わってきますし、見ているだけで明るいパワーをもらえます。
私たちアミーゴカメラマンたちも、ニッコリ笑顔の写真が大好きです。
でも「良い笑顔」が必ずしも「良い写真」になるわけではありません。
今日はそんなエピソードです。
平日の午前中、8名のお客様がやってきました。
3世代のご家族様。「記念撮影はいかがですか?」という私のおススメに、ノリノリでご参加いただけました。
撮影はスムーズに進み、私の元気いっぱいのかけ声で皆さまはパッと笑顔に。
全員が自然な笑顔の良い写真が撮影できたと、私は自信満々でお客様に仕上がりをご覧いただきました。
するとお祖母様が仰いました。
「あれまぁ、私こんなに笑顔で… これはダメよ、撮り直せる?」
「もちろんお撮り直しさせていただけますが、とっても素敵な笑顔ですよ。どうぞお手に取ってご覧ください」
「たしかに良い笑顔だけど… やだわぁ、目も細く見えるし…」
笑顔での写真がお気に召さないようでした。
その様子を隣で見ていたご子息様が割って入ります。
「いやいや、めっちゃ良い写真でしょ。撮り直しなんていりません。買って帰ります」
そう言って財布を取り出されました。
「こんな顔で… あれまぁ…」
お祖母様は写真を見れば見るほど悲しい表情になっていきます。
私は良かれと思って笑顔の写真を目指していましたが、それはお客様をこんなにも悲しい表情にさせるためではありませんでした。
私が目指すべきは良い笑顔で写った写真ではなく、見返した時に誰もが笑顔になれるような写真ではないのか?
「よろしければ、お撮り直しさせていただけませんか?」
私が提案すると「ご迷惑でなければ」とご子息様のご了承も得られました。
幸い他にお客様もおらず、写りを見ながら何度もお撮り直しいただくことができました。
その結果、お祖母様だけ笑顔ではない写真が仕上がりました。
撮影が終わり、お祖母様には大層喜んでいただけました。
「ありがとう、何度も撮ってくれて。良い写真だよぉ。本当にありがとう」
その後ご購入もいただけましたが、なんと写真だけでなく、写真を飾るスタンドや写真入りキーホルダーなどもセットで、それも複数ご購入いただけました。
「良い笑顔」が「良い写真」になるとは限らない。記念写真は笑顔がいちばんと思い込んでいた私にとって、新しい発見でした。
お客様が何を望んでいらっしゃるのかを一番に考えながら、これからも想い出創りに励んでいこうと胸が熱くなったエピソードでした。