革新のメタバース『Neos』の中にこの世界の未来を見つけた話
皆さんはNeosというVRメタバースをご存知でしょうか。
VRメタバースといえばVRChatがその代名詞で、ネット上での情報も大半がVRChat絡みの中、それに紛れてちらほら名前は聞くけど…というのがつい先日までの私の認識でした。
いわく「なんでもできる」「アバターもワールドもNeosの中で製作できる」「すごいツールがある」という風に、なんだかすごいらしいけど、あえてログインするきっかけもない。VRをやっている方でも、大半が似たりよったりだと思います。
しかし先日、とあるご縁からNeosに初めてログインし、率直に言ってものすごい衝撃を受けました。
確かに噂に聞いていた通りの多機能で何でもできる面白いメタバース…だったのですが、しかし本質はそこではない。もっと革新的な「何か」がそこにある。
大げさではなく「ああ、私が探していた未来がここにあった…!」と思いました。
これに共感してもらうには、やはり自分の五感で確かめてもらいたい所なのですが、それでは結局「なんだか面白いらしいけど、機会がないなぁ」止まりになってしまうと思います。
そこで私なりの言葉で「Neosの何がすごいのか」「何が革新的で、どんな未来につながっているのか」を言葉にして、皆さんにお伝えしようと思います。
僅か15時間の経験に基づく言語化ではありますが、願わくばそれがNeosの住人の皆さんにも共感いただけることを願って。
◆Neosの「スゴさ」の本質はなにか?
NeosというVRメタバースがどういうもので、どういう機能があるかという基本的なことは、既にいくつかの記事で語られています。
例えば、
ワールドとアバターを基本にしたVRメタバース
個々人に「インベントリ」という収納(アイテムポーチ)があり、その場でモノを保存したり取り出したり、人に渡したりできる
Unityを必要とせずNeosの中で様々なモノを製作できる(プログラミングも可能)
複数人で共同作業してワールドやアバターを編集することができる
当然作ったものはNeosの中で使える
といったところ。
こうして聞くと「なんだかスゴく多機能で色々できるんだな」と感心する一方、「でも私にはそこまで必要ないかな」というのが多くの人の本音ではないでしょうか。じゃあ皆がやってるVRChatでいいじゃない、と。
ただここで強調したいのが、Neosのスゴさとは、実はこうした個々の機能を説明して伝わるものではないということです。
そしてそのスゴさ、革新性の本質こそ今回の記事で伝えたいことです。
Neosの革新性。
それ私なりに一言で言い表すならば「全てがシームレスに繋がるシステムであること」です。
個々の機能のすごさは本質ではなく、それらがつながることで、Neosというプラットフォームの中で全てがシームレスに行えること。それが最大のポイントです。
◆現実世界/VRChatでの「モノ」の流れ
ここでやや唐突ですが、Neosの特異性を説明するため、現実世界やVRChatなど他のVRメタバースでのモノ(道具やアイテムなど)の流通…どのように作られ、どのように使われるか?という、一連のプロセスについて少し考えてみましょう。
このプロセスは、大きく分けると①製造⇒②流通⇒③取得⇒④使用⇒⑤改良・発展という5段階に分かれます。
①製造は、まずモノが作られる段階です。現実世界なら工場の機械や3Dプリンタがその現場です。ここでモノが作られます。
②流通は、①で作り手が設計し、製造されたモノを使う人が入手できるよう、世に送り出す段階です。現実世界なら工場からお店へ運んで店頭に並べる部分です。
③取得は、実際に使う人が、CMやSNSなどで流通するモノについて情報を得て、実際に手に入れる段階です。
④使用はいうまでもなく、③でモノを手に入れた人がこれを使う段階。
そして最後に⑤改良・発展。手に入れたモノをより便利に改良したり、応用して何かを作ったりする段階です。モールを買ってきて手芸品を作ったり、3Dプリンタを買って部品を作ったり。そしてこれが再び②流通へ巡っていきます。
こうした流れをイメージしていただけたでしょうか。
さてこの流れが、VRChatなどのメタバースでは大幅にスムーズになります。それはVRメタバースにおいてはモノ=電子データであるためです。
まず①製造が簡単になります。高価で場所を取る工作機械に代わり、UnityやBlenderといった(ありがたいことに)無料のツールでモノを作ることができます。
②流通はこの製作物のデータを頒布するだけですみます。例えばBooth、例えばGoogleドライブ、例えばAsset Storeなど。③取得も、こうしたモノの情報をYoutubeやTwitter、口コミでキャッチしたのち、Webからダウンロードするだけで完了します。
唯一現実より面倒なのが④使用で、こうしたモノを利用するには、一部を除いてUnityなどの外部ツールを介してアップロードが必要になります。これが最大のボトルネックといえます。
⑤改良・発展はケースバイケース。装置や工具を必要とせずUnityやBlenderで作業はできますが、知識面では現実より面倒な場合もままあります。
つまり「モノ」がデータとなることで②流通~③取得までが一気にスピードアップし、①製造や⑤改良・発展に必要な道具のコストが劇的に下がったわけです。一方で④使用は時に現実より難しいなどの課題もありました。
◆Neosでの「モノ」の流れ
さて、ここでようやく話の焦点をNeosに移しましょう。この一連のプロセスが、Neosではどう変わるのでしょうか?
①製造は、UnityやBlenderなどはもちろん使えますが、Neosの中で行うことができます。モデリングから簡単な画像編集、プログラミング、そして動作確認、デバッグまで全てです。アバター、ギミック、ワールド全てが、です。
②流通~③取得もNeosの中で行えます。Neos内ではインベントリからモノを出して、相手がそれをインベントリに保存する。たったこれだけで流通・取得が成立します。
手渡し以外にもワールドにアイテムとして配置したり、あるいはGoogleドライブの共有フォルダのようにあるユーザーのインベントリの中身を直接同期して受け取ることも可能です。これは強烈に便利です。
④使用は当然Neosの中ですが、外部ツールを使うまでもなく、アイテムは受け取った時点でNeosのインベントリの中。③取得の後、即④使用が可能になります。これはVRChatとは段違いに楽な点です。
⑤改良・発展は…もう言うまでもないでしょう。やはりNeosの中で完結します。
お判りいただけたでしょうか?これが「シームレスにつながる」というNeosのスゴさです。
①製造から④使用、⑤改良・発展まで。ありとあらゆる「モノ」の流通が、Neosでは外部サービスやツールを一切必要とせず、どころかワールドすら移動せずともその場で全て完了するのです。
データである「モノ」を、現実世界と同じく「はい」と手渡すような気軽さで人に渡すことができ、それをその場で使うことができる世界。
現実世界と同じく本質的に外部を必要としない、完結した世界。
それでいて、データという形ない複製が可能なもので全てが構成されるがゆえに、現実の制約を外れた自由な世界。
それこそが、私が幼い頃から思い描いていた「電脳世界」の姿でした。
あなたの友達が、パチンコ球を打てるギミック付の銃を持っていたとしましょう。
「面白い!」と思ったら、あなたはその場でコピーしてその銃を自分のものにすることができます。そして即座に使って遊ぶことができます。
あるいは思い付きで、パチンコ球ではなくシャボン球を打つようにその場で改造することもできます。モデリングをして、形を変えて大砲にすることも可能です。あるいはインベントリの中の花火のエフェクトと組み合わせて、花火を打てる銃を作ることもできるでしょう。
そして、最後にその花火を打てるよう改良した銃を、その場で友達に渡すことができるのです。
これは例え話ではなく、ほんの1時間もあれば実際に起こることです。
そしてそれが実際に文化としてユーザーの中に根付いている。そんな現実世界はもちろん、VRChatや他のメタバースから見ても仰天するような光景が、Neosの中では既に日常となっていて、謎のパーティーグッズから、高度なツールまでが日夜生み出されているのです。
そういう意味で、NeosはもはやVR-SNSを超えて、VR空間におけるモノの統合開発+運用環境であるとすらいるでしょう。「革新的」という形容は、誇張でもなんでもないのです。
誰かが作ったツールが、改良され進化していく実例
◆「シームレス」がもたらすメタバースの未来
では、こうした「シームレス」なメタバースたるNeosの環境は、いったい何をもたらすのでしょうか?
一つは、技術発展の大幅な加速です。
人がモノを作り、改良して新しいモノを生み出す際には、先に説明したモノの流通プロセスを①~⑤まで繰り返していくことになります。そうすることでどんどん優れたモノを人類は生み出してきました。
しかし、このモノの改良サイクルがよりシームレスに、素早く回るようになれば?現実では1か月かかるサイクルが、VRChatでは3日になり、そしてNeosでは3時間になるならば?
誰かが作ったモノがあっという間に改良され、物凄いスピードで発展していくのではないでしょうか。
実際、Neosでは画像や3Dをその場で「名刺」に変換できるツールや、その「名刺」を交換してフレンド申請をする独特の文化ができていたり。
あるいはアバターにモノを取り付けられるように変換するツールと、それを応用したその場でオリジナルのアクセサリを作って身につけられるワールドなど、驚くようなモノが次々に生み出されています(これらは全てここ1年以内に登場したものです)。
しかしこれを生み出すNeosのコミュニティは、人口でいえばVRChatの1/100にすぎないのです。
これもひとえに、あらゆるモノづくりがプラットフォーム内で完結するNeosのシームレスなシステムがもたらす「スピード」のたまもの。
それをさらに後押しするのが、複数人で同時に同じ作業を行えるというNeosの強力なコラボレーション機能です。ワールドが「その場でできていく」下記のタイムラプスの印象は強烈です。
また私も、アバターの見た目がおかしくなっていたのを、初対面の方が「ちょっと貸してみて」と声をかけてくれて、その場で直してくれたことがありました。そうした親切心とともに根付いた共創機能は、他にはないNeosの武器でしょう。
もしNeosのプレイヤー人口がVRCの1/3、いや1/10でもいれば、その技術発展は他のあらゆるメタバースを置き去りにする速さで進むと思います。
そしてもう一つ、Neosが垣間見せる未来の姿が、「モノ」が「情報」と同じように流通する未来のメタバースの姿です。
一つのプラットフォーム上で製造から使用、改良までがシームレスに繋がるNeosにおける「モノ」の流れは、そこに現在のインターネットにおける「情報」の流れに相似形を見出すことができます。
誰かが作ったモノ(情報)が即座に共有され、拡散され、そのモノ(情報)を元に誰かが新しいモノ(情報)を作り、拡散され、蓄積されていく…。そうして蓄積されたモノ(情報)は、DIYからビジネスまで、実現したいアイデアを持つ人に強力なパワーを与えます。
そして両者の大きな違いとして「情報」はそれをどう活用するかこそが難しいのに対し、「モノ」はある機能を誰でも使えるように設計されている、ということです。
お湯を沸騰させずに保温するには火加減の仕方(=情報)だけでなく、様々なノウハウや経験が必要ですが、電気ポット(=モノ)ならボタン一つで誰でも絶妙な温度での保温という結果(コト)を手に入れられます。
つまり今までインターネットとともに発展してきた「情報は容易に手に入るが、それを応用して『結果』を手に入れるには技術がいる」という世界の壁を一つ壊し、Web検索で情報を調べるのと同じぐらいの気軽さで、「モノ」がもたらす結果(コト)を手に入れられる世界の可能性を、Neosは秘めているのです。
世界中の人がつながったがゆえに、世界中のあらゆる情報がインターネットには集積されました。それと同じで、もしあらゆる人がつながったNeosの世界には、あらゆる「できるコト」が集まるでしょう。
誰かの思いつきのアイデアは、Web検索で情報を集めるような気軽さで、既にある「できるコト」をレゴのように組み合わせ、あっという間に実現できるようになるでしょう。
メタバースの中でなら、アイデアが5分で実際に動き出す未来が来るのです。
◆Neosには誰もが行く価値がある
ではなぜそんなNeosが、VRChatの1/100の人口しかいないのか? その理由の一つが「内部で完結している」がゆえの弱点だと思います。
例えば写真一つとっても、Neosではオブジェクト化してその場で人に渡して保存したり(!)、壁に貼り付けたりできます。VRChatのようにTwitterで共有する必要はありません。
アバターやワールドを作るノウハウも、NeosはNeosの中で詳しい人に手伝ってもらって作業ができます。一人でUnityで作業をせざるをえないVRChatのように、わざわざブログやTwitterで文字にして情報を共有する手間は必要ありません。
便利なツールの配布も、Neosは中で完結します。Boothに置いたりする必要はないし、Twitterで宣伝などしなくても、実際に使っているところを見せれば、その場でコピーされてツールごと口づてに広がっていきます。
システムとして内部で完結しているがゆえに、外部サービスが必要なく、そのため露出が弱い。それがNeosの最大の弱点で、人口が増えない背景にはそういった理由があるのではないでしょうか。
また冒頭にも述べたように、なまじ多機能であるがゆえ、そこがクローズアップされがちで「シームレスで利便性が高い」という本質的なメリットが見落とされています。
凝ったことをしたい少数のクリエイターにとって嬉しいのはもちろんですが、むしろ真にその恩恵を受けるのは大多数のユーザー側なのだということは広く知られるべきだと思います。
流通の5段階の中で説明したように、受け取ったツールや情報を実際に使えるようにする④使用のステップこそ、他のVRメタバースにおける最大のボトルネックです。
しかしNeosでは、新たなギミックやツールをあらゆる手順をすっ飛ばして「その場で」「使える形で」「渡して」もらえる。データや使い方という「情報」ではなく、実際に動く「モノ」を、ひいてはそこから得られる「コト」を渡してもらえるのです。
またそうした「何かを譲ってもらう」「何かを教えてもらう」という素朴な人と人のコミュニケーションこそが、見知らぬ人ばかりのメタバースの中で新たなつながりを持つモチベーションとなって、たくさんの人を繋いでくれるのではないだろうかと、私は思います。
新しいモノを作りたい人は、Neosに行くべきだ。
アイデアを持っている人は、Neosに行くべきだ。
新しい世界を見たい人も、Neosに行くべきだ。
誰かとのふれあいを求めている人も、Neosに行くべきだ。
そこには既に私たちの未来がある。
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