君は強い
「君は強いから、俺がいなくても一人で生きていける。」
そう別れを告げられたことがある。
16歳の、春だった。
「けれど、あの子は俺がいなくちゃダメなんだ。」
16歳の少女に、一人で生きていけるなんて、あんまりだ。
けれど私は妙に納得して、さようならを言った。
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「ほんとにしっかりしているね。」
どれだけ年齢が上がっても、言われることは同じだった。
常に、中身と年齢が釣り合わない。
だから、お別れのセリフも大体似ている。
「君とは結婚したいけど、他の人とも恋愛をしてみたい。最後には戻ってくるから。」
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誰も、私の中の少女を見抜けない。
きっと私がゴールへたどり着くには、10ほど離れた人と一緒になるべきなのだろう。
だって私は、強いから。