記憶に残る女
「絶対別れないなんて保証はない、だけどもし別れた時、その人にとって忘れられない女になっているよう努力してるんだ」
女友達に、こう話したことがある。
午前中、自分に用事がなくとも、彼氏が早く起きなきゃいけない時は、それより早く起きて朝食を作った。
勉強や仕事が辛い時は傍らで励まし、人間関係で悩んでいる時はゆっくり話を聞いて、いつだって味方でいた。
どんな時だってスキンシップは忘れないし、愛を伝えることも欠かさない。
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だが人の心は変えられない。
ずっと繋ぎとめられる保証なんてない。
また、お互い心は変わらなくても、何らかの理由で別れが来ることだってある。
「元カノに復縁を求められて、どうしても断れなかったんだ」
「他に気になる人ができてしまったんだ」
「仕事が忙しくて、君のことまで考えられなくなってしまったんだ」
男は皆、何かしらの理由をつけて別れを告げてくる。
嘘か本当かなんて、どうでもいい。
男が一度決めたことは、引き止めても覆せないと私は知っているから。
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でも、例外なく皆が皆、数ヶ月すると必ず連絡を寄越してきた。
よりを戻してくれないか、と。
どうやら魔法がそろそろ効いてきたようね、とその度私は小さく笑うのだった。