vol.5 バカンスに出掛けよう
クロタを待ち続けたクックは擦れた声で叫びました。
「クロタ!!」
しかし、マンションの扉から元気に飛び出してきたのは、大きなトランクを持った3匹の猫達でした。
その中の黒い猫が言いました。
「君、ずっとそこに居るのが窓からみえていたよ。」
「友達を待っているんだ。」とクックが答えると
「友達は猫かい?どんな猫だい?黒いのか?白いのか?茶色なのか?毛は?長いの?短いの?ああ・・もしかしてミケ?錆猫?」
矢継ぎ早に聞かれてクックはたじろぎます。クックは兔スーツの中のクロタの毛の色さえ知らなかったのです。
「・・一緒に旅に出ようと思ったんだけど・・もう無理みたいだ。」
涙をこらえてクックがそう絞り出すと、茶色の猫は
「どうして??まだ旅に出るには遅くないよ?」
白い猫は
「僕たちはこれからエズ村へバカンスに行くんだよ。君も一緒においでよ!」
と、誘ってくれました。
三匹は「それはいいね!行こう行こう!しましま猫も旅に出よう!!」と、クックを置きっぱなしにしてたいそう盛り上がっています。
クックはそれをきっぱりと断ると
「君達のおかげで、旅に出るのに遅いことなんて無いって気が付いたよ。ありがとう。」
お礼を言うと、僕はクロタが出てくるまで待とうと決めました。
白い猫は心配そうに言いました。
「でも、じきに、ここは、真っ黒の闇に包まれてしまうよ・・」
茶色の猫は
「そうしたら、旅に出るどころか、家に帰る事も出来なくなってしまうかもしれない。」
黒い猫は、トランクから青い星を取りだすとクックに手渡しました。
「これは天女の星飾りだよ。まだ少しだけ光っているから何か君の助けになるかもしれない。」
そうして三匹の猫達は、口々にクックにエールを送ると元気いっぱいにバカンスへと旅立って行ったのでした。
三匹の猫達が旅立つと、そのとたん物凄い勢いで辺りは眞暗闇に包まれてしまいました。
三匹の猫達の、その後のバカンスの様子はこちらをご覧ください!
https://yaplog.jp/sii2006/archive/1562 (おもちゃばこ*ブログ)
黒い猫「君、ずっとそこに居るのが窓からみえていたよ。」
茶色い猫「どうして??まだ旅に出るには遅くないよ?」
白い猫「でも、じきに、ここは、真っ黒の闇に包まれてしまうよ・・」
闇に迷う、しま猫クックの物語りは続きます。
***
www2.plala.or.jp/omocyabako/ おもちゃばこ