【ゾウリムシ × 介護】第2話「ゾウリムシの老化〜見ためは変わらないけどねー」※3分弱で読めます。
単細胞生物にも、老いも若きもあるのだもし。
第1話はこちら
老化について、どんなイメージをお持ちですか?
・元気がなくなる
・シワシワになる
・ちぢむ
エトセトラ。
自然科学を学んでいて、ぶち当たるテーマとして「老化」ってなんだろう?というものがあります。私が学生時代に研究テーマにしていたゾウリムシも、若い時代があって、やがて年をとり、寿命を迎えます。
前回もお話ししたとおり、ゾウリムシは単細胞生物。1つの細胞が1個体。
わりとボディが透け透けで、まわりに毛が生えてくるくる回りながら泳いでる。
人間が彼らを観察してみても、シワシワさ加減とか「オヤジ…背中がちっちゃくなったな」的な、見ための老いって分かりづらいものです。
元気がなくなるのは、動きを見ていれば分かるのですが、それも餌が悪いとか水が濁っているとか原因が他にあるかもしれないので、微妙に判別しづらい。
ゾウリムシを含めた単細胞生物の老化って何?
人間も細胞で構成されているのだから、細胞の老化がわかれば、何か違った視点が得られるかも!
細胞レベルの老化ってなんだろう?を考える前に、大前提として一つ。
ゾウリムシは分裂して増えます!
1個が2個に、2個が4個に、の倍々ゲーム。10回分裂で1024個体にまで増えます。
「テロメア」という言葉をご存知でしょうか?これは、簡単にいうと「命の回数券」といわれているもので、染色体の末端に存在しているそうです。
イメージ的にいうと、このテロメアという回数券は、1回分裂するたびに1つもぎとられていきます。そして回数券を使いきってしまうと、その細胞たちは分裂ができなくなってしまうのです。
ちなみにこの「テロメア」は、テトラヒメナという、ゾウリムシの仲間(繊毛虫という)で初めて発見されたそうです。
一番上の手書きイラストが、テトラヒメナさんです。
ゾウリムシより少し小さめで繊毛の並び方がオシャレ。
地球上の生物が、この回数券・テロメアをどのくらい持っているかというと、およそ50から60回分なのだそうです。生物の種類問わずほぼ同じだと教わりました。
端的にいうと、ゾウリムシは60回くらい分裂すると寿命がつきてしまいます。
観察した結果からゾウリムシの細胞分裂は、1日に1〜2回くらいだったと記憶しています(自分が研究対象としていたのはミドリゾウリムシという種類)。したがって、分裂回数的にいうと、1ヶ月か2ヶ月で全個体が分裂できなくなって終了ということになってしまいます。
これを解消するために行うのが、ゾウリムシの「生殖行動」ということになるわけでして。
次回はその辺りをお話ししたいと思います!
そうそう、分裂回数で思い出しました。「50回分裂とか、60回分裂ってどのくらいの数になるの?」という疑問にお答えするのを忘れていたので追記しておきます。
ネットで検索してみたら、予想していたよりもはるかにすごかった!
2の50乗 1125兆8999億684万2624。
2の60乗 115京2921兆5046億684万6976。
つまり、ゾウリムシは細胞分裂の限界まで、事故なく無事ならば115京匹まで増殖するってこと。周りの環境は無事では済まない気がしますね。
動物などの細胞分裂の限界は2の50乗くらい、と教わったのですが、それでも1000兆オーバーまで増えるポテンシャルを持っています。
人間の身体は、約60兆個の細胞で構成されているけど、そう考えると伸び代にはずいぶん余裕があるように感じます。
それでは今回はこの辺で。
次回第3話「ゾウリムシの性について〜男女のキモチ…だけでは済まされない」でお会いしましょう〜
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