Omniの愛したソフトウェア(フリーソフトもあるよ)

 博士の愛した数式、みたいな。

クッソ長くてクッソつまらん前置き

 便利な時代になったもので、近頃は大抵のことがスマホ1台で出来てしまうようになった。
 映像も音楽もパッケージを所有する時代は終わり、サブスクリプションという月極制度によって視聴権を借りる時代になった。コミュニケーションとコンテンツの境が曖昧になり、数センチ指を滑らせるだけで、記憶を辿るようにサーバーへアクセスする。最低限のデータすらクラウド上で管理し、手元には5インチほどの画面だけ。

 そんな時代になっても、僕はいまだに1日のほとんどをPCデスク前に座って過ごす。足下にはフルタワーのWindowsとLinux、スリムのWindowsがもう一台、あとMac Mini。
 時代錯誤にも程がある。10年前、当時のメインPCに4TBの3.5インチHDDを乗せて「MLCは高い! TLCはクソ! これで勝つる!」なんて言っていたころに取り残されている。

 重ねて言えば、音楽は、制作現場の中でほとんど唯一と言って良いほど懐古主義が蔓延った世界である。
 デジタルの世界は、もちろん進化するし、新しい物の方がスペックが良い。問題はアナログ領域である。
 例えば映像や写真のアナログ領域、カメラにおいて、フィルムからデジカメへの流れはデジタルがアナログに取って代わろうとする例であろう。また、レンズ加工技術やイメージセンサーの進化は、アナログ領域の進化そのものである。近年は短いスパンでの買い換えが余儀なくされているそうな。
 一方音楽は、例えばレコーダーがアナログテープからデジタルテープへ、さらにはDAWへという風にデジタルがアナログに取って代わりつつある例はあるが、アナログの進化はほとんど無い。
 むしろ退化している。ソフトもハードも、現代の最新技術を使って半世紀前のアナログ機材をコピーしようとしているのだから当然である。
 ここまで「ビンテージ」が重宝される世界もそうそうあるまい。
 原因はEUあたりの環境規制とかいろいろあるのだが、まあとにかく僕らはおそらくこれからもGeorg Neumannの呪縛からは抜け出せない。カプセルの縁が茶色いU47愛してる。

 そんな時代なので、いつ何が不要になるか不安になる今日この頃である。すでに、僕が大事にしたものが社会に不要とされ、消え去ってしまうことが何度かあった(DGCAとか)し、僕自身も知らないうちにそれに適応しようとしてしまう。
 なので、僕が今、愛するものをここに書き残しておこうと思う。

 ただまあ、ハードウェアなんかは、音楽制作用途ともなればメーカーに何かあってもとりあえず使い続けられるし(所有しているものだとSlate Pro Audio DRAGONとか)、紹介する形になる以上は読む人の役にも立てばいいなあと思いながら、とりあえずソフトウェアに限定しようと思う。

KbMedia Player (Kobarin)

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 普段仕事等でMacばかり触っているが、僕の思考回路は基本的にWindowsである。
 そのWindowsで音声データの規定プログラムに設定しているのがこれ。
 ASIO対応は当然として、特筆すべきはその対応形式の多さ。基本的に対応しない形式は無い。対応していなければ、それを報告すると対応してくれる。
 たまに、急に化石みたいなファイルを開かないといけなかったりするのですごくありがたい。プレステの動画とかauの着うたとかまで対応している。
 僕の知る限り、これまで対応を断念したのは、2004年を最後に開発が止まっており作者さんが当時の開発環境を残していなかったLaのみ。

OptimFROG (Florin Ghido)

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 お次は音声コーデック。MP3とかFLACとかそういう類ね。
 いわゆるロスレス、データを失わずに圧縮する形式だが、こいつの凄いのは圧縮率。
 FLACなんて目じゃない。APEやTAKすら超える圧縮率。
 どのくらいすごいかと言うと、圧縮後のファイルをさらにzip等のアーカイブ形式で圧縮しようとすると、たいてい容量がちょっと増える。
 長年難解なオプションや長すぎる圧縮時間が問題だったが、バージョン5.100で追加されたプリセットでかなり軽減された。
 僕は、CDを取り込む際、この形式を使うことにしている。
 対応ソフトに関しては、当然KbMedia Playerは自前で対応している他、foobar2000用プラグインも用意されているので、規定プログラムをKbMedia、プレイリスト管理をfoobar2000と使い分けている。

 批判覚悟で一応述べておくと、ロスレスと言えども再生時の音質は変化する。リアルタイムのデコードを伴うので当然である。ただし、ちゃんとしたモニター環境で聴けば分かるがポータブルDAPとヘッドホンだと分からないくらいの差。その意味で、高圧縮率にはデメリットもあるのかもしれない。そのため、ハイレゾを購入した際はダウンロードしたファイルを再変換する事は極力避けるようにしている。
 ロスレスは音が変わる≠ロスレスはデータが変質している

Exact Audio Copy (Andre Wiethoff)

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 お次はリッピングソフト。CDを取り込むソフト。
 CDの取り込みなんてなんでもいいだろ!と思われるかもしれないが、実はこのリッピング、めちゃくちゃデリケートな作業。
 話すと長くなるので、詳しく知りたい人は「リッピング オフセット」とかでググって下さい。簡単に言うと、iTunesとかでCDを取り込むと、ほとんどの場合波形がズレる。
 曲の始点や終点はズレない。中身の波形だけがズレる。つまり1曲の中で、前後にある空白の時間が微妙に変わる。
 知らないほうが幸せと言うか、これが問題になる事はあまり無いが、トランス系なんかによくあるギャップレストラック(音が途切れずに次の曲が始まり、CDプレイヤーのトラック番号が切り替わるような構成のトラック)で、曲頭にキックのアタックがある場合などは、そのトラックを頭出しした時に印象が変わることはある。
 こいつはそのズレを補正しつつ取り込んでくれるソフト。
 これを読んでExact Audio Copyを使おうと思った人は、オーバーリード対応の光学ドライブを買うと幸せになれると思う。具体的にはパイオニアの上位機種。

XRECODE3

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 音声変換ソフト。
 この手のフリーソフトは数多くあるが、こいつが凄いのはなんと言っても汎用性と開発者のレスポンス。
 大抵の形式には対応している上、例えばBlu-rayの音声部分をWAVに変換、みたいな事も出来る。
 ビット深度やサンプリングレート、各エンコーダーのオプションへの対応も充実している。
 公式フォーラムでリクエストすればマイナーな形式への対応も柔軟にしてくれるし、バグ報告への対応も素早い。

 旧バージョンの頃からそうなのだが、有料ソフトと見せかけて無料で使い続けられる仕組みになっている。
 Xrecode IIの頃は試用期限を過ぎたとの表示のまま、しばらく待つと消す事が出来た。
 現在の試用期限はそのバージョンをインストールしてから30日だが、30日以内にバージョンアップが行われ続けている。
 ただ個人的には、大した値段でも無いし、是非買ってあげて欲しい。

一太郎(ジャストシステム)

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 こいつは有料。

 ワープロソフトが中心のオフィスソフト群。ExcelっぽいのとかPowerPointっぽいのもついてくる。
 いかに日本語を美しく見せるかに特化している。
 特に、レイアウトに凝り出すとWordなんて目じゃない。アウトライン機能が秀逸なので、ペラのレジメなんかを作るのにめちゃくちゃ便利。
 突き詰めると壁新聞なんかに本領を発揮するんじゃ無いかと思う。

 あと、こいつに付いてきたATOKってIMEも使いこなすと便利。ただこっちはサブスクへ移行してしまい、買い切りは一太郎付属版のみになった。
 そんなことされると、「あんまり更新降ってこないんじゃね?」とか思っちゃうので、結局画像の通り2017年のバージョンを使い続けている。

おしまい

 音楽系のソフトとかはやめとこう。仕事道具は愛するとかじゃないし。

 ただのプログラムにも、愛着を持てるのが人間だと思うので、今のこの気持ちを忘れずにいたい。

 いつかこの世からそれがなくなったときに、思い出話が出来るといいな。

 Windowsばっかりだったけど、MacとかiPhoneとかAndroidとか、みなさん一押しのソフトウェアは、なんですか?

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