【AVB】LANケーブルで音が変わった話【Avid Pro Tools | Carbon】
▼怪訝な顔した皆さん、ごきげんよう。気持ちはよくわかるよ。
正直なところ、誰が読んでるかもわからないところにこういうことを書くのは、音楽制作側の人間としてちょっと引っかかるところがないわけでも無い。
実際、「最近プロオーディオがHi-Fiに傾倒してるのってどうなん?」みたいな言説も最近耳にする気がする。
こういう検証は、ちゃんとした環境でHDXシステムを複数準備して行うものだと思うし、今回はそこまでは出来ていないわけだけど、それでも備忘録として残しておこうと思える結果が得られたので、置いておきます。
誰かの参考になれば幸いです。
きっかけ
▼Avid Carbonを導入したんだけど、ケーブル3mしかなく、Macとラックを机の逆側に置いていたので、無理やり繋げるとケーブルが空中サーカスしちゃった。
これでは両端機器にもケーブルにも良く無いので、自宅にあったエレコムの6m(Cat.6A)を繋いでみたところ、音が激変。慌てて検証を開始した。
▼念の為結論の一部を先に書いておくと、付属の3mは悪く無いよ。十分届くし気にしたく無いって人はそのまま使って良いと思う。
検証方法
▼って程でも無いけど、音の仕事をやってる友人を2名ほど呼んで、一緒に聞いてもらった。出音で勝負!
Pro Toolsセッションとかだと自分だけ聞き込んでるため好みや感想に差が出るかなと思い、みんなで選んだ楽曲をAudirvānaで再生した。AVB接続でもちゃんとデバイスを占有してサンプリングレートを切り替えてくれる優れもの。
ソースはCDからリッピングしたものかAmazon Music経由。
スピーカーはBelden 88770+Neutrik黒クローム金メッキで接続したADAM AUDIO A5X。
あとはMac Mini 2018。Ethernetポートに直挿し。
リファレンス音源
覚えている範囲で。
選手紹介
だいたいこの順で試したはず……
持ってないものはメーカーの貸し出しサービスを利用した。今回は全て無料、送料は往復負担したり片道負担したりした。
Avid 純正フラットケーブル
これの型番かOEM元誰か教えてくれない?
エレコム LD-GPAT/BU70
長さが足りない!って時に試したのはこれ。Cat.6A/6m。
オヤイデ(NSGDT6)
秋葉のオヤイデ前で投げ売りされてたやつ。
線材は日本製線のNSGDT6、端子は不明。見た目からPANDUITかな? 5m。
自作(1874A + MFP8)
Belden 1874AとTelegärtner MFP8で作った自作ケーブル。
たしか線径がMFP8のスペックを満たしていない。良い子は真似をしないでね。
あともちろんシールド無し。Cat.6/5m。
Brise Audio NA-LAN As-Is
切り売りもあるから自作しようかなと思ったけど、出来合いの方が安かった。3m。
CHORD COMPANY C-Stream Streaming LAN
アンダンテラルゴが取り扱っているCHORD COMPANY製。
CHORD COMPANYは、ラインケーブル、デジタルケーブル、USBケーブル、HDMIケーブル等々が構成するシリーズが複数ラインナップされており、こいつは「C-series」のLANケーブル。5m。
CHORD COMPANY Clearway Streaming LAN
同じく「Clearway」シリーズのLANケーブル。3m。
CHORD COMPANY Shawline Streaming LAN
同じく「Shawline」シリーズのLANケーブル。3m。
ACOUSTIC REVIVE LAN-QUADRANT-TripleC
アコリバは入れとかないとね。
借りておいてなんだけど、まあこんなん買えるわけねえべ。
けどアコリバ最上位の音なんて体験することもまあ無いし、低位モデルとどこがどう違うのかも気になったので借りてみた。4m。
ACOUSTIC REVIVE R-AL1
3つある内の最低価格帯モデル。こっちは現実的。5m。
レンタルしたかったけど出来なかった子たち
他にもいろいろ借りたかったけど、メーカーが対応してなかったり、紹介された小売店で断られたりもした。
正直、普段自分が使っている部屋とスピーカーで試さないと何にもわかんないから、音楽制作用途にも売っていきたいメーカーさんは是非とも対応できるようにしてほしい。マイナンバーカードの写真を送ったりしたよ。
SAEC SLA-500
AIM電子 NA2
audioquest Cinnamon
audioquest Forest
結果
エレコム LD-GPAT/BU70/オヤイデ(NSGDT6)
この2つとそれ以外は一番明確に判ると思う。縦にも横にも狭い印象が強く、スイートスポットから大きく外れた場所からでも違いを感じる。
純正から比べた音の方向性としては、MP3圧縮した時のイメージが近い気がした。
解像度が低いため、リスニング用としては疲れないかもしれないが、今回はナシ。
Avid 純正フラットケーブル
エレコム達とは明確に違い、その他オーディオグレードに近い音がする。
見た目は普通の平べったいケーブルだけど、量販店とかに売ってる安いケーブルよりは固い。それなりに拘って作っているようだと感じた。
解像度も音場もそこそこ、個人的にはこれがものさしになったからあんまり感想はないけど、十分いい音がしてたと思う。
自作(1874A + MFP8)
ちゃんとBeldenの音がした。輪郭がはっきりして元気になるあの感じね。
解像度は純正と同じくらいな印象。
Brise Audio NA-LAN As-Is
解像度があまり良くない。音の粒がバラバラというかなんというか聴きにくいなという印象を受けた。
CHORD COMPANY C-Stream Streaming LAN
解像度はそこそこ、定位感がブレがち。
CHORD COMPANY Clearway Streaming LAN
最終的に残った3本の内のひとつ。
全体的に音が遠く感じたが、定位感はしっかりしている。
ここからの4本は、エンジニアがよく言う「スピーカーが消える」感覚があった。
ACACIAのストリングスが絶品。クラシックとか聴くならこれかもしれない。
CHORD COMPANY Shawline Streaming LAN
最終的に残った3本の内のひとつ。
今度は一転、全体的に音が近く感じた。
定位感はしっかりしており、トランジェントやサスティンもよく見える。
同じメーカーでもこれだけキャラクターが違うのは面白い発見だった。
ACOUSTIC REVIVE LAN-QUADRANT-TripleC
解像度のバケモン。これに関しては他の追随を許さない。演奏者の一挙手一投足が見える気がしてくる。
高域から低域まで、トランジェントからサスティンまで、リバーブのアーリーリフレクションからテールまでがくまなく見渡せる。
昔、発売直後のSENNHEISER HD800を試聴したときに、解像度の高さに度肝を抜かれた思い出があるんだけど、それを思い出してた。
ACOUSTIC REVIVE R-AL1
最終的に残った3本の内のひとつ。
全体的に控えめなQUADRANT。この価格差でよくここまで似せた(?)と思う。
定位感も前後感もしっかりしており、センターもはっきり見える。
イエロウのステレオのハットも僕と傘と日曜日の溜まった中低域やハットとシンバルも、3本の中で一番よく見えた。
CHORD COMPANYも楽しかったんだけど、結論は見えてた感じかなあ。
結論
▼R-AL1の5mを買いました。
いくつも選んでいいよ、と言われたらClearwayとShawlineも欲しいところだったんだけど、状況によって挿し替えたりたりはしないので、ね。
余計にあれこれ試してQUADRANTが欲しくなってはいけないのでその日のうちに全て返送しました。
▼音が変わる理由はよくわかんないです。誰か説明して欲しい。
Danteだと音は変わらないようなので、AVBの問題なんだろうか。
ADATはビットパーフェクトじゃないみたいな話もあるし、規格の問題という線はあるかもしれない。
デジタルのケーブルとは思えないほどに音が変わっちゃったので、正直ちょっと不安になってる。Carbonくん大丈夫かい?
▼それから、いわゆるオーディオグレードと言われるLANケーブルが、ちゃんと音が良かったのを確認できたのは安心した。これでエレコムより音悪いです、とかなっちゃうとえらいこっちゃやん?
聴き専さんとかだとNASとプレーヤーを繋ぐ時に使うのが一般的なんだと思うけど、AVBでもちゃんと効果はありましたよ。
▼こういうオーオタ的なものとはどうやって付き合っていくべきなんでしょう。ムツカシイね。