【人財育成論19回】「使えない」おじさんってどこにいるの?
「忙しいふりをするおじさん社員ばかりが職場にあふれる」問題。
たとえば「使えない」おじさん、「50G」とかよく言われ、その条件として以下のようなことが言われています。
新たなビジネス環境に適応できない、使えないおっさん、50G、高収入なのに働かない老害、仕事ができないおじさん等々、50代以上の会社員は批判を受けがちです。悲しいことに。特に最近では人事評価で「低いパフォーマンス」という意味で「ローパフォーマー」とまで批判されてしまう、そんな悲しい状況なのです。特に若い人たちは既得権益者に対して嫉妬の目を向けてきます。そうして「使えないおっさん」が生まれてしまうのです。
なぜ使えないおっさんは批判されるのか
確かに、
・エクセルのファイルがない
・ファイルが消えた
・印刷ができない
・ネットワーク設定がうまくいかない
・ズームの設定が・・・
などのことを言われて、若い部下は助けてあげることがあることもあるでしょう。私もたまに経験します。個人的には最初の会社であるアクセンチュアで山ほどミスってきたのでそれはそんなに嫌ではないのですが、おじさんたちの申し訳なさそうな態度を見ると、こういった光景が職場でも多いのだろうと思ってしまいます。
50Gと言われるおじさんたちが、技術系以外はテクノロジーに慣れていなかったのは仕方ないでしょうし、デジタルネイティブからみて「使えない」レベルであることも仕方ないものでしょう。それは時代が求められるスキルではなかったというだけです。
会社にしがみつくおじさんは本当にどれだけいるの?
しかし、仕事が本当にできないのか?という点には疑問があります。そもそも「使えない」って直近の仕事の期待水準を満たしていないだけで、その人がビジネスパーソンとして「使えない」というわけではないでしょう。
経験がもたらす知見やノウハウ、知見、そういったものがあります。最近僕が思ったのは人の見方です。調子のいい、感じのいい若者がいました。この人は面白いと思って協力してあげましたが、雲行きが怪しくなりはじめました。で、その若者は結局詐欺師みたいな人だったのですが、年長のおじさんは彼を見透かして、行動。結果、被害を防止することができました。つまり、どういった能力があるのかはなかなかわかりづらいのです。
また、企業内で定年までどうにか「しがみつく」人の存在がよく言われますが、本当にそんなことできるのでしょうか?どこにいるのでしょうか?本当にあったとしてもどれくらいなのでしょうか?神話では?と思ってしまいます。
日本の中小企業では実質的に退職勧奨は行われていますし、大手企業では「追い出し部屋」みたいなものがあり、「定年まで我慢して過ごす」という社員がどれだけいるのか、本当のところわかりません。神話?かもしれません。
優先順位の低い、誰かがやらなくてはいけない仕事をしている人は一定程度いるでしょうけど、企業にとっても「使えないおじさん」を高額の賃金で雇用しているだけ・・・・そんな余裕はないでしょう。
何かしら役割を与えて活動してもらっている。営業や製造、管理・マネジメントの「花形」というか目立つポジションにはいなくても、陰ながら企業のビジネスを支えているはずです。
そうあなたの横で。
仕事が本当にできないのか?
そして、仕事が出来ないおじさんは本当に仕事ができないのでしょうか?
そもそも、そのおじさんの適性にあった成果を出せる仕事を与えていてきたのでしょうか?
そちらのほうが気になります。過去に、問題意識の低い職場に対して異議を出してしまって、左遷されている人もいるでしょう。中長期的な提案をして上司に目を付けられた人もいるでしょう。会議で正論を言いがちで空気を壊して避けられるようになったひともいるでしょう。派閥抗争で干された人もいるでしょう。その人にはその人なりの事情があり、会社の事情もあるでしょう。
ただただやる気を失っている、ふてくされている、くすぶっているだけの人も多いのではないでしょうか。
失われた30年の被害者、使えないおじさんが復活する?!
「失われた30年」でメインストリームを歩んできてないからこそ今後イノベーションが起こせる可能性があるとも言えます。今、会社で「成功した」と思えない人たちだからこそ、ちょっとした変化で、挑戦的なチャレンジに進める可能性があります。メインストリームを歩んでこれなかった、必要とされなかった人のほうがその可能性は高いかもしれません。
ローパフォーマーを再生できる?
サラリーマン、ビジネスパーソン、とくに使えないおじさん再生活動を弊社は進めていますが、使えないおじさんに会うことはあまりありません。それぞれ技術があり、仕事の経験と知見があるのです。会社の事情によって運が少しばかりなかった人が多い気がします。
再生の手法は一言でいうと、意識を変えるだけ。それが難しいのですが、実はそんなに難しくもないのです。意識を変えることのできる環境においてあげるだけでよいのです。今の会社のおかれた状況ではだめだということなんです。
日本電産の永守重信さんが言います「能力にそれほどは差はない」と。「意識の問題」だと。これをやる、これをやりきる、そのための意識の差、それだけだsと。能力の差はそれほど違うわけでもないくらいはビジネスパーソンの皆様は知っているのではないでしょうか。
PS
所属のターンアラウンド研究所は「中高年再生工場」という名の支援プログラムを進めています。