【人財育成論39回】社会的意義のない仕事に若者は見向きもしない???
仕事の面白さを規定する、「仕事に面白い」と感じるための3つの要因について、前回・前々回と明日山さんの論文をもとに話してきました。
興味・関心とマッチさせる仕事が面白いと感じるには、興味関心と並んで社会的意義があるかが重要になってきます。社会的に意義があるか?が大事なのです。
「社会や他人に害を及ぼしても儲けまくりたい」「収奪したりしても儲かればいい」「人権侵害があろうか法律違反?しらんわ。グレーな領域につっこめや、儲かればええねん」という考え方は「古い」ということです。
Z世代の価値観:「貢献」「成長」
それは若者の価値観にも「金が儲かればいい」「生活のために意義や意味のわからない仕事はしたくない」ということが明確になっています。リクルートマネジメントソリューションズのアンケート調査においても、「仕事をするうえで重視すること」では、「貢献」「成長」「やりがい」といった要素が高いのが特徴的です。「貢献」は31%が重視するとしています。その意味は「人や社会の役に立つ」ということです。すべてのZ世代がそう考えているわけではない、多世代と比較して相対的に高いということ、要素として重視されているということです。
Z世代の方々は、
・食べるために働く
・儲けていい暮らしをしたい
・出世したい
・見栄をはりたい、認められたい
にというこれまで重視されてきた価値観は(大事だとは思っても)それよりも優先する価値があるということなのでしょうか。
たしかに
そんな大人たちを見て育っていることが影響していると言ってもいいでしょう。お金、生活のために生きるのも大切だけれでも、せっかく人として生まれ、人生を歩むのなら、それなりに実感を持っちたい、死んだときに後悔しない、そんな人生を送りたいということかもしれません。
「社会的意義」の条件
だからこそ、社会のために働くことが重要です。社会へのつながりだと思います。社会的意義をデザインしている筆者からみると、業界レベル、所属企業レベル、会社レベル、所属部署レベル、機能レベルで様々ですし、人によって実感は様々です。他人のためにやっていて、それが複数いて、仕事として成立していれば「社会性」があると言っていいですし、程度問題な気もします。基本的な条件としてはこんな感じかなと思います。
◇社会システムの1機能・役割を担っている仕事である
◇社会で定めた法規制やルールを遵守している
◇社会の問題解決や役に立つサービス・商品を提供している
◇人々が「必要」「欲しい」というニーズやシーズに応えて適切な対価で提供している
◇サービスや商品に対して顧客が満足・納得し、多くの人が喜ぶ
◇業務プロセスの中で社会に迷惑・負荷・悪影響を与えていない
◇社会の不正義に加担していない
◇サプライチェーンにおいて問題を起こしていない
こう書くと「社会的意義があるか」は奥深いことがわかります。次回でもうちょっと深堀していきます。