見出し画像

経営戦略と人事戦略をどのように連動させるか?~【解説】人的資本可視化指針(第10回)

人的資本可視化指針より


人的資本可視化指針には、人材戦略に求められる3つの視点と5つの共通要素の重要性が指摘されています。今回からはその詳細、「人的資本経営の実現に向けた検討会 報告書 ~ 人材版伊藤レポート2.0~」を見て、解説していきたいと思います。

3つの視点とは、
①経営戦略と人材戦略の連動
②As is-To beギャップの定量把握
③企業文化への定着

が示されています。今回は①経営戦略と人事戦略の連動を考えていきます。

経営戦略の前に、「人材戦略」と言えるものは、はたしてあるのか?

経営戦略と人材戦略を連動させるための取組みとしては、まず経営戦略と表裏一体であって、その実現を支える人材戦略が策定されて、実行されているか、です。具体的な取り組みとしては、

・CHRO(Chief Human Resource Officerの略、最高人事責任者)の設置
・全社的経営課題の抽出
・KPIの設定、背景・理由の説明
・人事と事業の両部門の役割分担の検証、人事部門の ケイパビリティ向上
:人事と事業の両部門の役割分担の在り方を検証し、 取締役会に報告
・サクセッションプランの具体的プログラム化

ということが求められています。しかし、そもそもわが社には「人事戦略」(のようなもの)はあったのか?と思った担当者もいたのではないでしょううか。

もし、そんなものがなかった場合、もしくは戦略という名前だけど戦略とは言い難い場合、人事戦略(のようなもの)を策定すること、もしくは内容を改善すること、特に、経営戦略との関係性を明確化することが必要でしょう。

人事戦略がある企業の方は、
◇経営戦略にあった人員計画になっているか?
◇目標達成のために必要な人員計画・人材配置・採用計画になっているか?
などを再度確認し、改善しましょう。

具体的に進める方法

人事戦略ができているか、できていないかに関わらず大事なのが、経営推進上の人事課題の検討です。具体的どうやって???というのが人事担当者の本音でしょう。

別に恐れることはありません。簡単な方法は、経営の結果について話し合う会議に人事部門の積極的な関与を求めることです。方法は様々ありますが、経営の根幹について人事部門として何をすべきか、何が必要かを考えさせることがまず第一でしょう。

・人事には経営の視点で人材をが弱い
・経営には人事の人のの客観的な育成方針など細かいところがわかってない
ということが多いので、まずは関係者で話し合って現状診断をして(我々のような第三者が介入してもいいかもしれませんが)、そこから出てくる課題を1つづつ地道に解決していくことをお勧めします。

人事戦略と経営戦略の焦点

より実質的な内容を求めるのでしたら、次のような経営戦略と人事戦略の相互連携のための分析と対話が必要になります。経営課題や収益を上げる上で、人事部門の取組みとしては次のステップが必要になります。

組織面では、
①収益・コストに大きく影響を及ぼす・関わる部門の経営数字の確認(データ分析⇔ヒアリング)
②収益・コストに大きく影響を及ぼす・関わる部門の人事評価の確認(データ分析⇔ヒアリング)
③収益・コストに大きく影響を及ぼす・関わる部門の人事異動、人材育成方針の確認(データ分析⇔ヒアリング)
④データ分析⇔ヒアリング結果のまとめ、検討、徹底的対話
⑤会社を引っ張る部門の人事配置を評価、改善
⑥会社を引っ張る部門へのキャリア育成プランを策定

といった取り組みです。まずは収益・コストに大きく影響を及ぼす・関わる部門に手を付けていくとよいと思います。

具体的な対話の仕方など進め方はご相談いただければと思っています。

PS:TL人的資本ガイドブック もし欲しい方がいらしたらご連絡ください(企業の人事担当者に限ります)。

ByTL

いいなと思ったら応援しよう!