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【人財育成論第12回】求められる能力が変わった!

人的資本が話題です。人的資本とは「費用」「コスト」と考えられていた人材を個人が持つ知識、技能、能力、資質等の付加価値を生み出す「資本」として捉え直す考えのことを言います。
なぜこの言葉が注目を浴びているかと言うと、競争優位の源泉や持続的な企業価値向上の推進力は「 人的資本」へと変化しているからです。人材戦略に関する「経営者からの説明」が期待されていて「人的資本の可視化」が不可欠とされています。
こうした動きがビジネス界で進む中、当然、人材に求められる「能力」に焦点が当たることになります。
すでに、日本の高度成長を支えた、一致して協力する能力、我慢して絶対的に命令に従う能力、命令を確実に迅速に対処する能力、基本的な知的能力などは、重要性を低下されつつあります。官僚主義的、権威主義的な組織文化に適応する能力はもう求められなくなりつつあるのです。

求められる「能力」

では、今はどういった能力が求められるのか、
・創造性
・多様なバックグランドの人と対話できるコミュニケーション能力
・クリティカルシンキング
・常識を疑う思考能力
・データを分析し、洞察する能力
・デジタル技術の活用能力
・相手の価値や考えを尊重し、あらゆる他人の尊厳へのリスペクト
などの重要性が増しています。企業の人財育成を支援する我々は、ビジネスで求められる能力が変化していることを実感します。企業の人事担当者は求められる「能力」が変わったことに気づいているとは思いますが、職業人以外の教育者など未来の人財育成をする立場の方も強く意識した方がよさそうです。

経産省未来人材ビジョンの「衝撃」

話題の経済産業省「未来人材ビジョン」。ここで求められる能力について2015年時点と2050年の予測をしています。そこでは「現在は「注意深さ・ミスがないこと」、「責任感・まじめさ」が重視されるが、将来は「問題発見力」、「的確な予測」、「革新性」が一層求められる。」と記述されています。
今から28年後の2050年には、
・問題発見力
・的確な予測
・革新性

が求められるということなのです。

経済産業省「未来人材ビジョン」

AIやデジタル技術が正確性、基本機能(読み、書き、計算)、スピードを補完するようになり、こうした能力の重要性は少し提言するかもしれません。重要性はあることはあるのでしょうが、人が求められる能力としての重要性が減るということです。

また、責任感や真面目さ、信頼感・誠実さは2050年での重要性が減る予想ではありますが、より流動化する社会で、コミュニティの構成が多様化される中、求められる能力のままでしょう。

求められる問題発見力

ただ、「問題発見力」の重要性は2050年どころか、今でも既に高いものです。シミックグループの福士岳歩さん(表紙写真)は、ユーザーが管理できないというお薬手帳の「問題」に気づいて、ソニーにて電子お薬手帳ハルモを開発。世に出してましたが、こうした「問題発見力」を高めないと新たな事業・サービス開発は期待できないものです。

問題発見力とは何か、次回考えていきます。

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