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キンプリのように主力商品が分裂した場合~【解説】人的資本可視化指針(第15回)

全社的経営課題について前回はジャニーズ事務所を例に考えましたが、今回もジャニーズです(すみません)、全社課題を「主力商品・キラーコンテンツが分裂」と仮定して考えていきます。メディアでの影響力等公共性があると思いますし、様々なメディアで書かれている記事や参考にしたいと思います。関係者の方にはご迷惑かもしれませんが、その点どうぞご理解ください。

キンプリとは?

King & Princeは、ジャニーズ事務所所属の日本の男性アイドルグループ。平野紫耀さん、永瀬廉さん、髙橋海人さん、岸優太さん、神宮寺勇太さんの5名から構成されています。もともと別々だったジャニーズ・ジュニアでのグループMr Kingの3名とPrinceの3名が合体し6人でデビューしました。デビュー後、岩橋玄樹さんが脱退して現在の形になりました。ジャニーさんに直談判をして、デビューを勝ち取ったとも言われています。「シンデレラガール」と言う曲でデビュー。キラキラの王子さまたちが奏でる音楽と高度なダンスで人気を博しました。その後の活躍はネットなどで確認してください。

キンプリの可能性は凄い。惜しい・・・・

ジャニーさんとメリーさん姉弟のショービジネスは戦後、大成功をおさめました。そのビジネスモデルは美少年のショービジネスです。美少年の歌、曲の販売、踊り、テレビや演劇での演技を提供し、その対価を得て、さらに、ファンクラブ経営で会費収入を得るというものです。素晴らしいエンターテイメントを国民、いや世界の人々に提供してきました。
SMAPの成功により若干、新たな市場を開拓し、国民的スターとなりましたが、もともとはキラキラした美少年、「王子様」中心のスタイルが理想とされています。郷ひろみさんからはじまり、東山紀之さん、堂本光一さんといったタイプといったところです。TOKIO、V6、嵐、関ジャニ∞、平成JUMP・・・・と次々グループを成功させてきましたが、なんといっても、王道の系譜はキンプリです。王道中の王道でした。完全に理想を体現する存在であり、ビジネスモデル的にもSMAPのように歌、踊り、バラエティなどをこなすの典型と言う感じです。しかし、その王道パターンがまさかの分裂という事態に陥りました。

タレントの集まったグループという商品・キラーコンテンツが分裂することになるのですから、これはジャニーズ事務所にとっても経営課題でしょう。

「世界で勝負したい」と創業者と約束したことを地道にかなえたい人たちとドラマなど日本のエンタメ界でいきていきたい人たち、内部の路線が違ったので、しょうがないかもしれません。しかし、どうにかできなかったのか。この問題については長い時間をかけて話し合いがされたとも言われています。

キンプリ解散、CHRO、HRBPと人事はどう対処する?

ジャニーズ事務所、筆者撮影

今回の発表会見、キンプリに残る永瀬さんをセンターの位置で会見させたことで、SMAP解散を思い返したようになった人もいるでしょう。ふだんのポジション、序列を変えることは、ある意味、制裁のようにも見えます。今後を考えると企業の論理としては当たり前のようにも思えますが、これはファンにとっては悲しいことです。ティアラと呼ばれるファンはお客様です。一部のお客様が抜けてしまうことは想定されるからこそ、これまでの感謝を踏まえて誠意ある態度を示すべきだったでしょう。

さて、CHROやHRBP、人事部門の立場で考えてみましょう。キンプリのようなキラーコンテンツが価値を毀損する事態を防止、もしくはそれを防がなくてはいけなかったかもしれません。例えば何ができたでしょうか?

商品はタレント。そのためには、タレント個人の個別活動を認めたりして、多様なキャリアプランを提示するべきだったかもしれません。そのために個人のバックアップ・支援体制を強化するとかです。当初は海外進出といった目標があったわけですから、支えるスタッフを強化したり、人事マネージャーを増やしたり、目標達成のサポートや留学経験や海外デビューなどの機会提供など全力で支援すべきでした。都内の不動産を買い占めるくらい財政的にも余裕があるのだから、そういったキンプリを支えるチームや人材への投資にも力を入れておくべきだったでしょう。

ジャニーズ事務所は日本社会で芸能界をその力を背景に、メディアをなだめすかして完全に支配してきましたが、そこに安住してしまい、新たな可能をがキンプリが考えていたのに、それに真摯に向きあえていたのか、疑問が残ります。

やはり、商品それ自体が人のようなビジネスの場合、商品であるタレントのニーズや望みをヒアリングしないこと自体がリスクであったと言えるでしょう。それができるのは戦略人事の役割です。

ジャニーズ事務所を例にしてきましたが、皆さんの会社でも同じでしょう。「戦略人事」というのは会社経営にまで責任を持つことです。人的資本の「全社的経営課題」今後も考えていきます。

PS:TL人的資本ガイドブック もし欲しい方がいらしたらご連絡ください(企業の人事担当者に限ります)。

TL


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