全社的経営課題「年功序列に立ち向かおう」~【解説】人的資本可視化指針(第18回)
年功序列。社員の勤続年数や年齢を重視し、役職や賃金などを決定する人事制度のことと一般的には定義されます。人事評価や昇進で「年功」を重視した要素を導入していて、そのため、年齢が上になれば昇進できたり、年齢が上になるにつれて賃金があがっていったり、していたわけです。しかし、失われた30年の企業において、時代の遺物のようになってきたことも事実です。
最近のニュースでは、みずほフィナンシャルグループ(FG)が年功序列型の給与体系を廃止し新たな人事制度を導入したニュースなど話題をにぎわせています。
年功序列の意味と意義
年功序列には意味と意義がありました。戦後、年功により賃金を上げることで人材の流出を防ぐ必要があり、それが制度化したものです。日本的経営の”三種の神器“と言われた終身雇用・年功序列・企業別組合のうちの1つと言うくらい価値があるものとされました。時代にフィットしたのでしょう。
社員にとってのメリットは会社に長く勤務すればするほど、高収入を得られる(かもしれない)し、うまくいけば出世がしやすいという点です。年功というルールによって組織人事が動いていたため、ずっと会社のために尽くす、我慢しても長く勤務したほうがいいというインセンティブになりました。
しかし、時代は変わりました。働かない中高年、能力のある若手がモチベーションを失ってしまう、そうした現象が見受けられるようになってきました。なぜなら年功序列は長期雇用が前提でしたから。
人事、HRBP、CHROが行うべきこと
年功序列については皆、問題意識を持っています。しかし、早期希望退職募集くらいでお茶を濁す感じのところもあるでしょう。なかなか大胆な改革をすることに踏み出すのは難しいことも理解できます。新卒一括採用→各種研修など人材育成・職場のローテーションとやってきたので、つまり、人事制度、特に退職金、福利厚生などが長期雇用を前提にしているので、その前提が崩れるから、結構面倒なのです。いや、かなり面倒ですね。
抜本的な改革が必要になる中、人事部門の皆さんは悩みます。とりあえず(自分がいるうちは皆が不平不満をいわれない程度に)対策をとればいい、と思ってしまうかもしれません。
しかし、今、人事、CHRO、HRBPが行うべき、期待されていることは抜本的な改革です。もし抜本的改革を避けて先延ばしにすると、いろいろなところに影響します。まずは人的資本可視化の中で、投資家の目線です。「人的資本」が厳しく評価されるでしょう。最近ブームの人的資本可視化の中で、すべてゲームはオープンになってしまったことを忘れてはいけません。
改革はたしかに大変ですが、人事制度が変われば会社は変わりやすい、それだけのインパクトがあります。人事部門にいても、皆さんそれなりに問題意識を持っていたでしょう。社員からいろいろ言われて、はっとなったこともあるでしょう。「こうすべき」という考えが通らなかったこともあるでしょう。これまで思っていたこと、我慢していたこと、そうした「思い」を思い出して、挑戦することは会社にとっても皆さんにとっても「チャンス」なのです。問題意識を表に出すのは、この人的資本可視化のチャンスだと思います。
改革は必須、人的資本可視化というのはそういうインパクト
それでも不安があるなら、例えば降格処分をいれる、ポストを減らす、子会社のようなところで実証実験をすることを提案します。そういったところからはじめるてそこから丁寧に学び、慎重にやっていくのも大事かもしれません。人的資本の可視化を前にして、改革には向き合わないといけないのです。詳細はご相談ください。
PS:TL人的資本ガイドブック もし欲しい方がいらしたらご連絡ください(企業の人事担当者に限ります)。
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