10/20「三川華月のはるちゃん食堂一周年記念オンラインお話会」初めてのオンラインお話会に参加したおみず。
おみずは参加した。
おみずは声優オタクだ。おみずは三川華月さんファンだ。およそ2年前に啓示をうけ、お見送り会、お渡し会、お話し会、サイン会に参加した声優オタクだ。
おみずはオンラインお話し会は"まだ"だった。
頭の回転がシャニ物販の歩みくらいの速さしかないおみずという男は、しゃべるのがあまり得意ではない。よく噛むし滑舌がおかしい。それなのに、ごうまんにもお話会やお渡し会に参加していた。気心がしてれている人と雑談ならばよいが、そもそも会話というものがうまくいかない。
このおみずという男は好奇心だけはある。欠点を認識していてもオンラインお話会がどんなもんなのか体験してみたかった。チケットを1枚だけ購入し、S席先行だと1100円やすかった。
それからおみずは仕事に体力を奪われ、仕事中に思いついたままに番組にメールを送り付け、イベントへ行き、イベントにいって、気がつけば前日だった。
Webカメラを買ったほうがいいのかと思い立つも、部屋を片付けられないし、長年連れそってきて目の下のくまが最近ひどくなってきた疲れたおっさん顔に耐えきれないため見送った。この先使うこともない。おっさんはいいから三川さんだけに集中したい。
当日、20日。
期限前投票をキメて日本の運営に悪口をいう権利を得てから、20分歩きながら何を話すのか考えた。
前日あたりに一般販売がはじまった。
30秒で足りるはずだ。
おみずは「長野アニエラフェスで三川さんの長野だよ.m4aに救われた話」をしようかと話を練っていた。チケット1枚30秒。言うだけならいけるだろう。構成をきめ、どうせ言えないだろうと思いつつも、風呂でニヤニヤボソボソ練習をし、それなりにイケそうだった。
一般販売を見たおみずはこう思った。
1分にしたらどうなるだろう。
1分にした。
20分歩きながら何を話すのか考えていると、そんな話しなくてもいいだろと考えがふってくる。
自分がいいたいだけだろ。
なまじ生きているなんの取り柄もないおみずという男は、精神は20代のままで構成する細胞は30をとうに過ぎていた。
今日はいましかないだろ。
何ももってないくせに偏屈で面倒くさい思考の年食ったオタクのおみずは、やっぱり今日の話しようと思い、ニチャニチャして考えた構成をすべて捨てて、今日の放送に集中するために腹をくくったのであった。
お話会は放送後なのだ。番組はいつも通り押して終わり18時くらいになる。番組を見つつ、だいたい何を話そうかメモしていたおみずは、「どっきりのアクスタが三川さんっぽくてわかってるなって思った話」をすることにし、洗濯機を回していたのを思い出し、洗濯物を干しはじめ、干し終わらずに1825になった。
大まかなスケジュールがチャンネルに貼られ、おみずはだらしない体躯でスクワットする。運動するといくばくか頭の動きがよくなるからと信じていたからだ。
待機所に入り、待った。
1830。待機所にスタッフさんがきてちょっと説明が入る。
1830とちょっと。持ち時間が終わると、スクショタイムなるものがあるらしい告知。
1830と数十分。動きなし。時々、待機アカウントが音声とかのテストチャンネルに移動する。移動はスタッフさんが行うと告知されていたので、呼ばれたということなのだろう。
おみずは座して待つ。待機アカウントの移動以外なにも起きない。不思議と緊張していないおみずは、BGMに楽園を選んだ。薄く流しながら挑もう。たぶんBGMがない。そうに違いないから、なにか音がかすかにあったほうが集中できるとおみずは信じていた。
スマホをいじっているとパッと画面が映る。
なんだ?
スタッフさんに呼ばれたのだ。いろいろあって、お待ち下さいになった。こんな感じなんだ、とおみずは思う。ふーん。おもろ。ちょっと見とくか、紙に目を通してると、パッ。おみずうまいさーん。画面がかわってる。
画面に三川華月さんが写っている。
なんだ?
おみずは困惑して固まった。右によじれて、できるだけ画面を遠ざけて固まっていた。左下でカウントダウンが始まっている。えっ? だ。なに?
なんだい?
ちょっと困ったような呼びかけがして、おみずはハッとする。あこんにちはーだか、あどうもーだか、口を動かした。
一回の点滅みたいな、わずかな時間だった。
緊張はしていなかった。1分だとちょっと余裕があったため、いつものスットロい速さでしゃべるおみず。1つの話すことだけを話し、応援してますだかいい、持ち時間はゼロになる。
「スクショタイムで〜す」win11ユーザーのおみずは、『Fn+win+Prt Sc』を連打。『ピクチャ』の『スクリーンショット』のフォルダに連続でスクショを保存できるのを常用していた。
撮ってまーす、といいつつ連打した。カチャカチャが聴こえていたのか、ちょっと笑っているショットもあった。なんかいってくれて、「応援してまーす」、時間は終わった。
三川さんは番組などで見るより、おっとりしていた、とおみずは思った。
そして全然、お顔をみれていなかった、おみず。
基本的にペンを回していた。
それでもおみずは晴れ晴れとした気持ちで、大きな息を吐いた。
三川さん、応援してます。
三川さん、かわよ。
終
・今回の学び
オンラインでも対面でも、見らんないもんは見らんない。
緊張しないと、わりと覚えている。
感想のが喜びます