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大宮見取図#13 さながら氷川神社の門番。参拝者の幸せを願い続ける川魚料理店!

●氷川三神料理かのうや 
  清水 亮佑(しみず りょうすけ)さん

 日本一長い参道とされる氷川参道。その入口、一の鳥居のすぐ横に拠を構えるのが「氷川三神料理かのうや」です。
 
運営母体の株式会社鯉平は創業1897年(明治30年)という超がつくほどの老舗。
鯉平の代表である清水さんに、その成り立ちやこだわり、そして街を含めた歴史について、お話をお聞ききしました。



 幸せを叶える=かのうや。

うなぎ・鯉・すっぽんを三神と称し、本格的な川魚料理を提供する氷川三神料理かのうや。
 
氷川神社の参拝に合わせて、もしくは祝い膳などハレの日に利用されることが多いのだとか。
 
清水さん「私どもは『人の幸い叶える処』というコンセプトのもと、お店を運営しています。来店される方は参拝と兼ねていることが多く、参拝ではそれぞれが幸せを願いますよね。その願いを私たちが少しでも後押しできればという思いです。お祝いの日にぴったりのコースもご用意していますので、普段づかいとともにお楽しみいただければと思います」
 
 
場所が場所だけに、氷川神社との関係も深いそうで、例えば年末神事には毎年鯉を奉納しているなど、懇意にしているのだとか。
 
清水さん「お氷川様の参拝は、一の鳥居から2キロの日本一長い参道を通るルートが正式だと思っています。大政奉還の際、天皇陛下が遷都後初めて参拝された神社がお氷川様で、一の鳥居からご参拝をなさいました。かのうやはその目の前ですから、私たちは勝手ながら門番の一員として、参拝する皆様を見守る役割があると考えています」
 
 
氷川神社のことを「お氷川様」と呼ぶ清水さん。そんなところからも、氷川神社を代々大切に崇めてきたことを感じさせます。

いくつもの困難を乗り越えて。

創業から120年以上の歴史を持つ鯉平。
その歩みは、決して順風満帆なものではなかっただろうと清水さんは振り返ります。
 
清水さん「もともとは初代平八が、岩槻にあるふな又様という川魚問屋に丁稚奉公をしていて、人の縁でこの参道の土地をもらい、鯉の問屋を独立開業したのが始まりです。先人たちは戦後復興を乗り越え、扱うものが鯉からうなぎに変わったり、かのうやのような飲食店を経営するようになったり、時代に合わせて進化を続けながら現在に至っています。さいたま新都心開発のタイミングでは川魚の流通に必要な地下水が出なくなり本社移転を余儀なくされ、東日本大震災もあった2011年にはニホンウナギが絶滅危惧種に指定されたり、コロナ禍で飲食業への風当たりが強くなったり……本当、いろいろなことがありましたね。」
 
それでも鯉平がかのうやのような地元に愛される食事処を創業の地で運営できているのは、氷川神社のご加護があったからではないか。そんなことを感じてしまいます。
 
清水さん「大宮で生まれて30年以上経ちますが、お氷川様とのつながりは日常的に感じていました。個人的には各自治会で行っていた御囃子連(おはやしれん)が幼い頃のいい思い出です。お氷川様の例大祭には御囃子連の一員として参加していたのですが、今思えば自分たちが神事の一部を担っていたことは誇らしいことだと感じます」

この街で、たくさんの若者が活躍することを願って。

ひと言で言い表すことが難しい大宮の魅力。
 
その質問を投げかけると「なかなか言葉が出ないですね」と考え込んでしまう清水さん。
 
それでも、少しずつ整理しながらお話ししていただくと、清水さんが思う魅力から将来の大宮の理想像的なことまでが、流れるように語られました。
 
 
清水さん「本当にひと言ではまとめられないエリアですね。決してお氷川様だけではないし、訪れるスポットや時間、人によって、街の印象は全然違うと思います。だからひとつ言えるとしたら、一度来ただけで大宮を知ることは不可能なので、何度も訪れるなかで、いろんな顔の大宮を知っていただけたら一番嬉しいということです。お氷川様へ行くときにかのうやに寄っていただけるなら、願いが成就できるような語り合いの場として使ってほしいですね。それに鯉を食べたことがない方は多いと思うので、ぜひここで美味しい鯉料理にも出会っていただければと思います」
 
 
大宮出身の清水さん。
独身時代は毎日のように呑み歩いていたという大宮の街。
最後に熱く話されたのは、この街の未来についてです。
 
清水さん「今の大宮は、若くしてがんばっている飲食店が多いんです。より多くの若者が活躍して、街を盛り上げていってほしいと思っています。東京が近いので憧れる気持ちもわかりますが、大宮にだって美味しいものはたくさん集まります。たとえ一度東京に出ることがあっても、将来的には拠点を大宮に持つことを選んでもらえたらと思います。大宮には地元の人の凝り固まったイメージや考えが少ない分、新しいことを始めるのに適した街です。外から入ってくる人も柔軟に受け入れます。それもお氷川様という普遍的な歴史の重厚さがあるおかげかもしれませんが。とにかく、それだけ若い人が活躍できる可能性を秘めた街だということを伝えたいですね」
 
 
若くしていくつもの困難を乗り越えてきたからこそ、これからの若者を思う気持ちも人一倍という印象の清水さん。
 
 
かのうやさんで川魚料理を堪能した後には、清水さんの期待を背負う若者たちのお店にも足を運びたくなってしまいますね!


■氷川三神料理かのうや  うなぎ川魚問屋 鯉平 代表取締役社長 清水 亮佑(しみず りょうすけ)埼玉県さいたま市大宮区吉敷町4-101

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