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蒲郡偏愛地図2021

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箱庭のように狭くて安心な範囲内で穏やかに朗らかに過ごしたい――。
こんな気持ちが自分の中に眠っていると知ったのは最近のことです。

僕は9年ほど前から愛知県蒲郡市という人口8万人ぐらいの自治体に住んでいます。
生まれ育ったわけでもなく、車の運転は苦手なので、蒲郡市全体を「我が町」だと感じたことは一度もありません。
僕の生活範囲は、駅前にある賃貸マンションの1階にある自宅から徒歩20分圏内ぐらい。
市役所で調べてもらったら、この駅前エリアにも1万6千人ぐらい住んでいるようです。海辺なので鳥のほうが人間より数が多い気もします。

蒲郡駅前には都会のようにマニアックな飲食店が密集していたりはしません。一見すると空き店舗や空き家が多くて閑散としているように見えます。でも、時間をかけて少しずつ探せば素敵なお店や気の合う人と出会えるんです。
オンライン会議やネット通販が普及した現在では、蒲郡駅前から「外界」に出ることは週に1回ぐらいしかなくなりました。
近所を散歩していれば必ず知り合いとすれ違って(相手は車だったりしますが)、挨拶を交わせたりちょっと立ち話をしたり。
家飲みを一緒に楽しめるご近所さんは10世帯ほどいます。
会えば必ずと言っていいほど近所ネタで盛り上がり、硬軟取り混ぜた情報を交換。そして、蒲郡駅前をますます深掘りできるのです。

その成果をまとめて、年1回だけ『蒲郡偏愛地図』というフリーペーパーを作成しています。
僕の通っている歯科医院から馴染みのスナックまでを載せた「おたのしみマップ」がメインコンテンツです。
演歌歌手みたいな鮨屋の大将による独特過ぎる人生訓エッセーも密かな人気。
近所に住んでいる気鋭の学者さんには、蒲郡駅前のエロ歴史を書いてもらっています。今回はかつて駅前にあったというソープランドについて。
歩いたり佇んだりして「いい気分」になる駅前の路上について語るリレーエッセイは今回から新設しました。

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企画も編集も僕で、5000部の制作費用は僕のお小遣いから出しています。
だから、自分が好きな場所や人しか載せません。
広告などのしがらみがない分だけ、僕(と妻)の独断と偏見が色濃く反映されています。
日本人の99%は蒲郡駅前に関わりのない人生を送っていますよね。その人たちにはチンプンカンプンな情報が詰まっています。
ある意味では学級新聞以上に偏った紙面ですが、そのへんを楽しんでほしいのです。

蒲郡駅前に来ていただければ、駅構内の「ナビテラス」や食品スーパー「サンヨネ蒲郡店」、駅前のコーヒーショップ「喫茶スロース」などでほぼ確実にもらえます。
でも、「興味はあるけど遠方なので蒲郡に行けない」という方向けに、郵送料と同額の120円で販売します。
蒲郡駅前に住み始めた気持ちで読んでいただけると幸いです。(大宮冬洋)

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