2020年の栃木SCの総括と来年の展望
栃木SCのみなさん、こんにちは。
今年はお世話になりました。栃木ファン1年目の太郎義経です。今シーズンは躍進の年ですね。ではなぜ躍進することができたのか。また来シーズンに向けて、どのように変化していくのか(私見)について考えていこうと。
1 私が栃木SCにはまった理由
そもそも栃木SCにはまるようになったのは何故だろうか。どうしてもここに関して、お話しさせてください。
一番最初に興味を持ったのは、昨年度のNACK5での大宮戦です(実は5月の試合で第14節なんですよ)。結構早い時期でした。
この時の試合で覚えているのは、栃木の選手が後半の早い時間にレッドカード(藤原選手かな?)。むしろ見ていて、すごく興味をひかれたのは、退場後の守備の仕方についてです。
上記のような陣形で守っていました。ワントップに大黒選手を残して引いた守備です。ここでポイントだったのは、しっかり中を締め、外はある程度やらせる。我慢して網にかける守備からの大黒選手の嗅覚でのカウンターチャンスに持ち込む。ここにつなげるための守備の2レーンがとても綺麗で、実は仕込んでいたのではないか?と思うくらいでした。守備についてみてくださる方が少ないので、あえて言わせいただきます。このいわゆるゾーンディフェンスというのは一朝一夕でやれるものではないし、控えも含め全員の全員の戦術理解が必須です。要するに難しい。
この守備の関しては、試合を重ねるごとに練度が増していきました。ただ、攻撃の設計はしていないから、勝つことは難しくはなっていました。
オフシーズンの時、田坂監督の更新を見たときに、躍進の可能性を秘めているのではないかと感じました。それはいい意味で当たりましたね!
2 2020年の栃木SC
では今年の栃木SCを表すとしたら何だろうか
「攻撃的守備サッカー」
それをするための、右肩上がりのハイプレスではないかと思います。
〇栃木の守備から攻撃の設計
詳しい内容は上記の記事に書かせていただいたので、ご確認ください。
また上記2つの記事には、一般的なゾーンディフェンスとプレスの違いややり方、ダメなところなどが書いてあります。これがわかると、栃木サポはより試合を見ることが楽しくなると思います!
ここで攻撃的守備の要となっているのは、常に全選手がボールを取るということがわかるハイプレス。それはわかると思いますが、戦術上一番注目すべきところは、そのカウンターへかけられる「人数」にあると思います。わらわらカウンターで人が出てきますよね。
上記記事で触れているので、ここでは簡潔に。基本の栃木守備は4241です。とにかく前の人数が多い。ボールサイドではないサイドも上がりっぱなし。当然奪取できれば、物理的に人数が多いので、カウンターの破壊力は半端じゃない。これを配置とプレスのコースの制限を全選手ができることで、カウンターの再現性を見出せているのが、栃木のカウンターの最大の魅力です。
このサッカーをしている以上、栃木のサッカーは攻守にわたって異常に早いサッカーになっています。当然ポゼッション率は下がります。傾向的に、45%前後のポゼッションをしているとチームとしては機能していないことがわかりますね。速攻なのに遅攻になっていますから。
〇栃木SCの課題(勝てなくなった理由)
感じているのは2つあります。
シーズン中盤の勝てなくなった時期に上記のような記事を書かせていただきました。大筋はシーズン通して印象は変わっていません。自分たちの弱点の弱点を消す動きが、自分たちの良さを消す動きになってしまっている。これが大きな要因かなと思います。詳しくは上記の記事を確認していただけるとわかりやすいかと思います。
ただ、色んな方が言っていることですが、「決定機を決めきれれば…」「ここで取れて入れれば…」。だからこそ、決定力のある選手が欲しい!という意見が良く見られます(どのサポーターもです)。ただ今年の栃木はそこまで決定力がないようには思えません。例えば明本選手。結構な数のゴラッソだったりゴールを決めていると思います。そんな選手が一人いるだけで贅沢だと思います。ただ、肝心なところでゴールを決める決定力がないのは確かで、勝ちを逃した試合も多いと思います。
2つ目もこれに関わっている、相手に合わせるという部分についてです。栃木の守備や攻撃は非常に早い。それはだれしもが感じていると思います。ただ、常に早すぎることで相手にとっては一定のリズムに感じているのではないかということです。証拠というわけではないですが、相手から対策されるのはもちろんですが、前半よりも後半のほうが、プレスがはまらないように見えませんか?要するに、相手や自分の状態で守備が使い分けることが徐々にできなくなっていき、さらにここで触れたいのが、ゾーンディフェンスのやり方も最終的に歪になってしまったことが、中盤戦以降散見されていたことが問題かなと思いました。
図1
栃木がゾーンで守るとき、結構この形が多いんですよね。SHが常に高い位置を保つこと。ただこれがあまりよくない。
図2
上記のような形になってしまいますよね。ボランチが自陣の中で選択肢が多すぎてマークにつききれない。カウンターするためのプレスなら仕方ないとしても、自陣でこの守備はまずい。
図3
図3のように、外⇒中⇒外の形で、簡単に深い位置にもっていかれます。高い位置でプレスかけるときと違って、自陣でのハイプレスはものすごくリスクが高い。クロスを上げさせてますが、一度でも一対一で負ければ、一気に危ないシーンになります。形は違いますが、甲府戦の泉澤選手とのマッチアップなどは質的な不利もあり、かなり危険でした。
このシーンを見ることで、感じたことは、SHが守備のプレスをかけるときに、行っていい場面と行ってはいけない場面を判断していないということ。そのため、相手からすれば絶対にプレスに来るから、栃木陣に押し込んだ時に崩しやすい。
そして自陣からカウンターをかける場合、単純に蹴るだけでは、難しいので、少し繋ぐ必要が出てきます。それを仕込んでいないため、かなり厳しい戦いになってしまう。必然的にカウンターの回数は減ってしまう。
3 来シーズンの栃木(どのような変化をするのだろうか)
変化をしなければいけないと思います。ただどのように変わるのか。ここからはかなり私見交じりになります。
〇ビルドアップへの着手
当然、ここに関しては仕込んでくると思います。ただ、必要なのは琉球戦で見せたような、関わる選手が少ないが、手数の少ないパスワーク。要するに、攻撃でも早いビルドアップができるかどうか。実は今年の栃木はそこはまったくできない訳ではありません。ただ、幅のある攻撃ができるわけではないので、そのあたりをどのように田坂監督が考えるかどうかですね。どっちにしてもポゼッションを今年よりはするかな?と思いますので、来シーズンの注目ポイントですね。
〇ハイプレスとゾーンディフェンスの使い分け
今のままでは守備も攻撃も早すぎて一定なので、ここに関して来シーズン仕込んでくるのか。ここもどうするか来シーズン見てみたいポイントですね。ただこの使い分けはかなり難しい。普通でも難しいのに加え、栃木の場合はより一層難しいと思います。
基本的にプレスやゾーンの判断は一番最前線のCFやることが基本ですが、栃木の場合、SHもCFと同じ位置まで守備に来るため、SHとCFで4人の守備のスイッチがあります。だからこそ、難しいですが、使い分けられればもう一段階強いチームになれるのではないかなと感じます。
4 選手の補強の関して
ではどこが必要か。あまり誰がどうこうといいたくないので、ポイントだけ考えていこうと思います。人数的に足りないところは省略。
個人的ポイントは決定力ではなく、決定機の回数を増やせる選手の補強です。
〇決定力のある選手
これに関しては、栃木サポも色々なところで言っていますよね。でもそれはどのチームも同じだし、欲しいと思います。少し、うがった見方になってしまいますが、J1でも欲しい選手をJ2がとれることは、発掘でもしない限り、取れることはほぼないと思います。それか明本選手みたいに育てていくか。また外国人FWという可能性もありますが、日本でもここまでプレスするチームは多くない「栃木スタイル」に適応する選手を探すことは難しいかと思います。
〇攻撃に特徴のある選手
例えば榊選手、矢野選手、森選手の三人を見比べたときに、タイプは全然違いますが、それぞれの特徴を生かして、変化のある攻撃を加えられるかどうか。ここがカウンターを生かす上で、どうしても外せない部分だと思います。そうすれば、選手によって変化がつけられるので、カウンターも破壊力が増すと思います。
個人的に欲しいのはSHのドリブラータイプ…というよりもクロスに秀でた選手ではない選手、一対一で勝負で勝てなくても勝負のできる選手の補強ではないかなと思います。
もう一つはボランチの選手の確保。特に攻撃的なボランチですね。ここで確保できれば色々なことができると思います。
〇若手の確保
これは今年一年でとても感じたことです。「栃木スタイル」といわれている、設計されたサッカーとあの鬼の運動量。これに適応できる選手を取ること自体難しいように感じます。
だからこそ、高卒・大卒・ユース出身者の生きのいい選手を取って、栃木スタイルにカスタマイズすることが一番の近道ではないかと思います。特に色々なことをしないといけない、CFは特に。
また先日ユースの試合を見たときも、しっかりトップと連動するような守備の判断、プレス、ゾーンなど、しっかり育成がなされていることがよくわかりました。だからこそ、どんどん昇格させるべきかなと思います。
5 最後に(来シーズン)
移籍報道などもたくさん出ていますが、個人的にはこの移籍が少なかったとしても来シーズンは苦しいシーズンになるかなと個人的には感じています。やはり変化をするには、うまくいかないことはどうしても多くなってしまうからです。
ただ今年見出した、「栃木スタイル」とそれを作る上での自信はそう簡単に失われるわけではありません。それこそ、伸びしろのたくさんある、期待のチームで楽しみなチームです。ぜひ、私自身の予想を覆してくれると本当にうれしいです!
6 最後に(お礼)
栃木ファンになって一年目、急に記事を上げてから、他サポなのに、温かいご意見やご感想などをもらい、本当にうれしく思っています。また「ココグリ」にも二回ほど掲載させていただき、本当に嬉しかったです。何より、栃木サポーターのみなさんのおっしゃる「全員戦力」という言葉が、本当に心から大好きで、いい言葉だと思うし、しっかり体現できていることに対して、すごい尊敬の念gありました。
来シーズンはぜひ、グリスタにお邪魔させていただき、その熱意を肌で感じてみたいと本気で思っています。
一年間、ありがとうございました。来シーズンもよろしくお願いします!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?