居酒屋のノウハウで美容室の立地分析はできない~売れる・売れないの見極めポイントの違い~
そう、タイトル通りのこと、なんですが。
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これだけ聞くと、「そんなの当たり前じゃないか」って思われるかもしれないんですが。
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「居酒屋が売れる場所」に美容室を出しても、同じように売れるとは限りません。
逆に、「居酒屋では繁盛が難しい場所」でも、美容室だったら繁盛することもあります。
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もちろん、そのどちらでも繁盛する場所だってありますが・・・・
立地要因や家賃条件などを考えたら、「居酒屋だったら繁盛するよ!」って言われても美容室を出そうとは思えないはずですし、その逆もまた然りです。
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居酒屋と美容室では、当然、売上げに関係する立地要因が異なります。
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あ、こういう表現をするとちょっと誤解を生んでしまうので、もう少し正確に言い直します。
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どんな業種業態であろうとも、売上げに関係する立地要因の切り口自体は共通しています。
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それが、「6大立地要因」です。
(詳しくは別の投稿か僕の書籍をお読みいただくとして、ざっくり書くと①商圏規模、②商圏の質、③接近容易性、④知覚突出性、⑤土地建物制約、⑥競合制約、の6つです)
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この6つについては、これまで様々な、1000以上の業種業態を分析してきたところ、必ず共通して当てはまってきました。
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ですので、居酒屋だろうと美容室だろうと他のどんな業態であろうと、立地要因を分析する際は必ずこの6つの切り口でチェックします。
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ただし、大事なポイントなのは、
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「その6つの重要度は業種業態によって変わる」
「その要因の中でさらにどう細分化するかも業種業態によって変わる」
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ということなのです。
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例えば、居酒屋と美容室で言えば・・・・
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居酒屋は、細かい営業内容にもよりますが一般的には、お客さんは「買い物先や勤務先に近いところのお店に行く」という行動になりやすいものです。
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逆に美容室は、有名な美容師さんがいるとか、ブランドで選ぶというようなことを除けば、「日常的にアクセスしやすい場所に行く」という行動を取る人がお客さんに多いのです。
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すなわち、6大立地要因の「商圏規模」という、「周辺にどれくらい需要があるか」ということを調べるにあたっても、居酒屋においては買い物客や就業者などの「流入人口」の方をより重視しますし、一方で美容室ならそのお店周辺の「居住人口」の方がより影響が大きくなってきます。
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ということなんです。
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もちろん、これは大雑把に言えばということですから、居酒屋だって赤提灯のお店のように周辺の「居住人口」が大切な場合もありますし、美容室だって遠方から目的来店をするようなお客さんが多ければ周辺に住宅がなくても売上げは高い場合があります。
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これはざっくりした一例ですが、つまりどういうことが言えるかって、少なくともこういう見方をしていくと居酒屋と美容室では売上げに関係する要因が違うため、「繁盛する可能性の高い立地」の定義が大きくことなるということです。
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居酒屋を出すなら「流入人口」が多い場所。
美容室を出すなら「居住人口」が多い場所。
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逆に、
「流入人口」が多い場所に美容室を出しても、
「居住人口」が多い場所に居酒屋を出しても、
そりゃ繁盛が難しいということはお分かりいただけると思います。
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これがタイトルの、「居酒屋のノウハウで美容室の立地分析はできない」ということの、もう少し解像度を高くした答えです。
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上にはとりあえず例として「商圏規模」の話しか出していませんが、それこそ他の5つの要因でも同じように、業種業態が変われば細かい部分の重要度が変わってきますから。
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「ここにお店を出したら売れますよ!」って誰かが言ったとしても、その「売れる」の要因についてどの業種業態をイメージしているかによって、言葉の意味がまったく変わってくるんです。
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そしてさらにこれは恐ろしいことに・・・・
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「居酒屋」というものに限っても、「どんな居酒屋なのか」というところで大きく変わってきます。
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上の例でもちょろっと書きましたが、赤提灯のお店に代表されるように、お一人様がちょろっと引っかけて帰りたいというニーズを吸引する業態であれば、繁華街などよりも住宅街エリアの方がいい場合があります。
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また、客単価低めでコスパを重視した業態ならなるべく駅近にあった方が良いですが、質の良い商品を提供するハイソな業態なら少しくらいアクセスが悪くてもわざわざ来店を取りやすいものです。
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みたいな感じで、細かい業種業態の違いによって、これまた大きく変わってくるんですよね。
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「居酒屋の立地に美容室を出してもダメだろう」くらいならわりと理解されやすいんですが・・・・
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実際はもっと細かく、「居酒屋Aの立地に居酒屋Bを出してもダメ」みたいなことだって、よくあるんです。
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僕自身、大きく括れば「居酒屋」と言われる業態だけでも、100以上の業種業態(屋号)の違いを見てきましたが・・・・
全然違いますね、売れる・売れないの見極めポイントが。
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そりゃ、美容室みたいにお客さんの来店動機自体がまったく異なる業態と比べれば、「近い」ものではありますが。
商品内容や単価が違おうが、「居酒屋」なら基本的に誰もが「飲食」を目的に来るわけなので、そこに即した考え方をすれば、7~8割は類似しています。
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しかし逆に言えば、それでも2~3割は違ってくるんですよね。
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かつて、居酒屋チェーンAで作った売上分析モデルを、客単価が500~1000円違うだけの別の居酒屋チェーンBに当てはめてみたところ、Aでは的中率90%以上を誇っていたにも関わらず、Bでは70%程度が関の山だったと、そういう検証ができたことがありました。
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こういうこと、なんですよね・・・・!!
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本当に、びっくりするくらい、これです。
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松屋さんとすき家さんを同じように分析することはできません。
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スタバさんとドトールさんが繁盛する場所は違います。
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1000円カットなら成り立つ場所にオシャレ美容室を出そうとはしないはず。
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なので、僕自身も毎回毎回、新しいチェーン業態に出会うたびに、その業種業態にカスタマイズした分析モデルを作らなければ、高い精度で予測することはできません。
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まぁ、それでも一応経験則として、1000業態3000店舗以上を分析してきていますから、初見の業態でもある程度は「こういうお店ならきっとこの立地ならこれくらいいくだろう」と推定はできますけれども・・・・
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それは、僕が「立地」だけを専門に、それだけ多種多様な業態を分析してきた結果です。
飲食店だけ、小売店だけ、みたいに限られた業態しか見てこなかった人には分からないと思います。
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ましてや、どんなに大手チェーンだろうと、ひとつの業態しか見たことがない人は、そのチェーンにおける分析の精度がいかに高かろうと、他のチェーンではまったく役立てない可能性があります。
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(そういえばかつて、国内最大級のとある飲食チェーンの凄腕マーケターが、全然別の商品を扱う飲食チェーンにヘッドハントされていったら、まったく予測が当たらなくて数年で干されてしまったという話がありました・・・・)
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なので、気を付けてください。
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「おれは居酒屋をこんなに成功させている!!だからあなたのお店のコンサルもできる!!」
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みたいな営業文句は・・・・
別に嘘をついているとは限りませんが、なかなか現実的にはアテにならないと思います。
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「自社が成功している」ということが、「他社にも効果的なアドバイスができる」ということに繋がるとは限りませんから。
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逆に僕も、「立地」についてはかなり多種多様な分析経験があるのでそこそこどんな方にもアドバイスができると自負していますが、それ以外はわりとからっきしです。
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商品・サービスの開発であるとか、看板デザインであるとか・・・・
もちろん、「立地」と絡めて、「こういう立地ならどういう商品が好まれるか」みたいな見方はできなくはないんですけど、しかし細かいところまで言及することはできません。
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「塩ラーメンと味噌ラーメンだったらどっちが売れる?」みたいなことを聞かれても・・・・分かりませんので笑
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立地における、売れる・売れないの見極めポイントは、かなり細かく多岐に渡っています。
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少なくとも、こうして書いてきましたように、「同じ居酒屋でも業態が違えば売れる立地は違う」というのが真実です。
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くれぐれも、「繁盛しているお店の隣に出せばウチも繁盛するだろう!」みたいな考えで出店するのは、お気をつけください・・・・!!
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(実際にそれで失敗した企業も数知れずなので)
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#お店の立地
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#繁盛立地の謎解き屋