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僕は不動産屋さんの「敵」です
これまでの経験則による結果論なんですが・・・・
立地コンサルとしては、不動産屋の10人中9人は敵です。
不動産屋の仕事、立地コンサルの仕事
まぁ、笑い話として聞いてください笑
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そして、不動産やってる人には煽ってるようで申し訳ありませんが・・・・なんていうか、「裁判において弁護士と検察官は立場が対立だよね」という意味合いで捉えてください。
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「不動産屋をやってる人」が敵なんじゃなくて、「不動産仲介という立場」が往々にして僕とは対立するポジションになることが多い、という話なんです。
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ものすっごい極端に、平たく言うと、
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◆不動産屋(仲介業者)の仕事=物件の契約をさせること
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◆僕(立地コンサル)の仕事=よくない物件には契約させないこと
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っていう感じになります。
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実際、契約直前までいった物件について、借主さん(お店を出す方の人)が心配になって僕のところに相談に来て、調査・分析した結果として「立地悪いからやめといた方がいいよ」ってことになって契約ナシになり、その不動産屋から恨み節を聞かされたこともちょいちょいあります。
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まぁ、向こうの立場からしたら、そうですよね。
向こうだって仕事で、契約取らないと食っていけないわけなんですが、それをダメにしてるんだもん。恨まれて、怒られて当然だと思います。
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でも、こっちもこっちでこれが仕事で、相談してきたクライアントさんが立地の悪い物件に出店して失敗するのを未然に防がなきゃいけないわけですから。
知らん人が知らんところで出店するのには口出ししないけど、相談されたら正しく結果を伝えないわけにいかないから。
契約直前だろうが何だろうが、その物件にリスクが見つかったならそれを伝えるのが僕の仕事の義務です。
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という建前は、まぁどっちも分かってるんでしょうけど、だから本当にあんまり分かり合えないですねー。
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検察官が弁護士の顔色を窺って、「あの人たちあんなに頑張って弁護してるんだから、被告も悪い人じゃないのかな・・・・」とか言い出したら職務怠慢すぎるでしょ。
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淡々と事実をリサーチし、実際問題として罪を犯しているなら、弁護士がどう弁護しようとしっかり求刑に持っていくのが検察官の仕事。
それは、立場が逆でも同じで、弁護士だってしっかり弁護するのが仕事なわけです。
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大なり小なりすべての物件が持つリスクをどう捉えるか
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という感じで、お店を出させたい不動産屋さんと、別にそれを阻止するのが目的なわけじゃないけど結果的に阻止することが多い僕とでは、まぁ基本的にあんまり仲良くなれない現実があります。
まぁでも、僕の立場からの正論を言わせてもらえば、
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「立地の良い物件だったら止めやしないんだから、止められるのが嫌だったら立地が良い物件を紹介すればいいじゃないですか」
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って感じではあります。
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別に僕は阻止しているわけじゃなくて、調査・分析に基づく客観的・科学的な立地のリスクを提示しているだけなんですから。
なので、僕が伝えたそのリスクが、自分には大きすぎると判断したクライアントが、自己判断で出店を取りやめているんです。
僕のせいじゃないです。
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なお、僕が「リスクを提示しているだけ」って言うと、「どんな物件にだってリスクはある!それを大袈裟に言うな!」みたいに怒ってきた不動産屋もいます。
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「どんな悪立地の物件だって店主の頑張り次第で繁盛する可能性はある!失敗するのは立地のせいばかりじゃなく、店主の努力が足りないんだから、立地の悪さだけを見て可能性を潰すな」みたいな。
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こういうの、鼻で笑いますわ。
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もちろん、リスクゼロな物件なんかありはしません。どんな物件にも多少はマイナス要素があります。
それでも、これまで沢山のお店を分析してきた経験則から、僕はその「リスクの大小を算出する」ということができます。
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つまり、統計的に言って「努力で何とかなるもの」と「努力しても結構厳しいもの」の区別をつけているんです。
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何とかなるものについては、「ここがリスクですけど、こうしたら改善できる可能性はあります」って切り口の話も、ちゃんとお伝えしますよ。
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けれど、過去のデータも踏まえた事実として、例えば「この物件に出店しても、80%の確率で売上げは400~500万円です」みたいなことを伝えた時、それをクライアントがどう解釈するか・・・・ってところまでは、僕は言及しません。
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80%の確率でその範囲ってことは、残る20%のうち、半分の10%は「それすら下回る可能性」もありますので、上回る可能性は10%程度になります。
その10%の見込みに賭けて頑張りたいなら、それを止めることはしません。
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という感じなので、僕からすれば、
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「リスクの方が大きくなるような物件を紹介する方が悪いし、そのリスクが明らかになって契約が流れちゃったとしても、その恨み節をこっちにぶつけてくるようなヤツは詐欺師と同じなので無視」
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っていう感じの態度でいたら、わりといつも不動産屋を敵に回すようになってしまった感じです笑
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僕はお店をやる側の人の味方であって、不動産屋の味方ではないですから。
不動産屋が「悪い」というわけでは決してない
ただ、ですね。
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こうやって書いておいて何なんですけど・・・・
不動産屋さんに、同情する気持ちもあるんです。
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大概、アコギなヤツが多いなーとは(個人の感想としては)思ってるんですが、不動産業界自体が、大なり小なりズルをしたり人を騙したりしないとやっていけない業界なので、そんな中で業者さんの人格がひん曲がる(笑)ことが多いのは、仕方ないこととも言えるので。
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「不動産屋が最初から立地の良い物件を紹介すればいい」
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っていうのは、僕じゃなくても普通に誰でも考える正論だと思うんですが、これがなかなか現実的に難しいのですから。
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理由は大きく分けて2つ。
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1つは、「そもそも良い立地の物件なんかそうそう出回らない」ということ。
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誰が見ても良い立地だと分かる物件は、そもそも空くわけがないじゃないですか。
立地が良いんだから、今のお店が潰れないんですもの。
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売上げ不振以外の別の理由で撤退する時とか、または新築の物件が建てられた時とか、そういう限られたタイミングで運よく出てくることはありますが、そんなレアな物件はすぐに不動産屋同士の取り合いになりますから、誰にでも仲介できるようなものじゃありません。
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つまり、極端な言い方ですが、
「どれもこれもクオリティが低い商品しかないのに、それでも売らなければ食っていけない」
みたいな状態なんです、多くの不動産屋さんが。
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喩えて言うなら、「最新のモデルを扱っていない家電量販店」みたいなもの。
どれもこれも型落ちのものばかりで、しかも年単位で古くて、でも新しい製品は入荷できなくて、それなのに売らないとお店が潰れる・・・・ってなったら、どうするのかと。
今や「8K」まで出てる時代に、今さら「2K」のテレビをどうやって売るのかと。
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不動産屋さんのお仕事って、オーバーに言えばそういうところがあります。
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どうしようもない微妙な物件でも、その物件の大家さんから「借り手を見つけてくれ」と言われたら、なんとかあの手この手でその物件の良さをアピールして、借りてもらわなきゃいけないわけですもんね。
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また、もう1つの理由は、「不動産屋は立地の良し悪しの判断基準を持っていない」ということです。
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これ、マジよ。
一般の方々、騙されないでほしいんですけど、不動産屋は立地の専門家ではありません。仕事上、素人よりはまだマシだよねってレベルです。
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だってさ、立地の良し悪しってどうしたら分かるかって、当然なんですが、
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「繁盛しているお店と失敗してるお店の立地を比べて正しく要因分析をする」
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というプロセスを踏まないとダメなんですよ。
不動産屋さんはあくまで物件を「仲介」するのが仕事であって、「マーケティング」はしていません。
せいぜい「データ集め」くらいはしてるでしょうけど、そのデータの検証はしていないんですから、何も知らないのと同義です。
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様々な業種業態の、実際の売上と立地要因を何千店舗も統計解析してきた僕からしたら、「まさかこんな隠れた要因があったとは!」みたいな経験が山ほどあるわけなので、そういうのを知らないで立地の良し悪しなんか語れるわけねーじゃん、って話です。
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つまり、現実的に不動産屋とは、「質の悪い商品しか扱っていない」お店であるにも関わらず、その数少ない商品についても、「その良し悪しのアピールをすることができない」という状態で仕事をしてるんです。
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そりゃ・・・・口から出まかせを言ったり、口八丁手八丁で相手を丸め込んだりしないと、やっていけないのも無理はない。
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「質の良い商品を仕入れる」とか「商品の良し悪しを把握する」とかが出来たら良いんでしょうけど、これらはこれらですごく難しい。
だからまぁ、仕方ないよねーと。
不動産屋が「立地を勉強する」ことのリスク
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なお時々、勉強熱心な不動産屋さんはいます。
「不動産屋が立地も分かるようになったら完璧じゃん!」って思うのは、そりゃそうです。
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が、僕はこれも、基本的には悲劇にしか繋がらないと思ってます。
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だって、ね。
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普通の人は「立地の良し悪しが分かるようになる」と、「良い物件を見つけられるようになる」と思うのかもしれませんが・・・・
これ、そうとも限らないんですよ。
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もちろん、精度は格段に上がります。
そして、「お店を出す側の立場」から見たら、確かに「良い物件を見つけられるようになる」んです。
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しかし、立場が変わるとこれがものすごくしんどいことになります。
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なぜなら、上にも書いたように、そもそも現実として、「良い立地の物件はほとんど出回らない」からです。
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そのため、「立地の良し悪しが分かるようになる」と、今まで以上に「物件の悪いところが見えるようになる・悪い物件が大量に目につくようになる」のです。
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これ、不動産仲介業者の立場からいったら、控えめに言って地獄ですよ。
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今までだったら、立地を知らなかったわけですから、自分の思い込みだけで「この物件はこういうところが良いですよ!」って、無邪気にアピールできてたかもしれません。
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けれど、立地を知ると「でもこの物件はこういうマイナスがあるからな」という考えが頭をよぎります。
それが看過できるリスクじゃなかったとして、じゃあそれをお客さんに伝えることができるのかと。
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正しく伝えれば契約には至らないかもしれない。
けれども、伝えないことは仁義にもとる。
という葛藤を抱えることになります。
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知った上で伝えないことを選ぶ「悪人」になれた人はまだマシですが、往々にして「立地を勉強したい」なんていう人は「善人」なので、この葛藤を抱え込みすぎると「廃人」になってしまう恐れの方が大きいと思います。
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つらすぎる。
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「お店を出す側」だったならば、良い物件を探すために色んな不動産屋に声をかけることができます。
たまたま目の前の不動産屋が良い物件を紹介してくれなくても、そしたら別の不動産屋を探せばいいでしょう。
また逆に、立地に合わせて自分の出すお店の営業内容を調整することだってできます。
立地を知っていれば、自分のお店にとっての「良い立地」から逆算して物件を探せるので、「良い立地の物件を見つけられる可能性は高くなる」のです。
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言うなれば自由。
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しかし不動産屋としては、お客さんが来たら「この目の前のお客さんに対してマッチする物件を紹介しなければいけない」わけです。
手元にあるカードの中から、もしもマッチするものが無かったとしても「マシなもの」を紹介せざるを得ない。
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それかもしくは、「条件に合う物件はありませんね」と切り捨てるかですが、それをしているといつまでも売上は上がりません。
「こういうお客さんが来てくれたらその人にはマッチするのに!」って思えたとしても、運よくそういうお客さんと巡り合えるとは限りません。
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自分で借り手を探すことも一応できますが、でも確度がそんな高いわけではないので、そればかりやっていると費用対効果が釣り合いませんから。
結局は、「来てくれたお客さんに何を紹介するか」というベースは崩せない。
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言うなれば縛り。
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敵対しているべきなんだ、僕たちは
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みたいなことを考えたら、ですね。
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不動産屋さんは、これまで通り、立地のことなんか大して考えずにお客さんに自分が勧めたい物件を勧めればいいと思うんです。
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僕の目に留まったら、僕が止めてあげますから。
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良し悪しの判断は僕がしてあげるので、不動産屋さんは安心して仲介に徹してくれたらいいんです。
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結果的に、あなたが契約させたい物件を僕がダメにしたとしても、あなたの心の健康は保たれる。「あいつに邪魔されたせいだ」という大義名分が立つ。
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それでいいんじゃないでしょうかね。
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そんな感じで、僕は基本的に不動産屋さんとは、業界の構図として仲良くなり得ないと思っています。
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あなたはあなたの仕事をしたらいい。
私は私の仕事をする。
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弁護士と検察官が仲良くしてたら、その裁判は何か裏工作がされてるんじゃないかって疑っちゃうでしょ。
立場が違うんだから、ちゃんと正しく「敵同士」であった方がいい。
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そう考えているので、僕はこれからもずっと、不動産屋さんの敵であり続けたいと思います。
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(もちろん、仕事の肩書を取り払った上での個人としての付き合いは別ですよ!)
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かかってこいよ、不動産屋ァ。
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勧めるに足る、良い立地の物件を紹介してこいやァ。