伝説の扉を開くまでに40日もかかった。
大きなショッピングモールは、目的地にたどり着くまで大冒険だ。
はじめてでもないのに、何がどこにあるかいつまで経っても覚えられない。
そこでいつものGoogle先生。
車の中で、予習をしていく。
行きたいお店が2階にあることを知ったわたしは意気揚々と車を降りる。
しかし、一言で2階と言っても2階のどこなんだと、今後は案内板をみて探す。
あの辺ね、と理解して歩く途中に
ガチャガチャのコーナーや、好きな雑貨屋さん、それから映画館にCDショップやなんやらかんやら。
つまり、好き。
ショッピングモールというあの空間が。
思い出せ、わたし。
寄り道してる場合ではない、伝説の扉を開きたいんでしょう。
目的があって、買うものがあるんだ。
適度にお店を見つつ、到着した無印良品でまず手を消毒。
今日はコアラパンを買いに来たわけではない、あ、でもコアラパンも買うつもり。
おいしくてかわいくて、大好き🐨
わたしが無印にいた理由、それは…
あの日、とき子さんのnoteを見たからだった。
ぬか漬け。
やりたいと思っても、あと一歩が踏み出せずに先延ばしにするわたしは、ぬか漬けに興味を持ってから6年くらい経っていた。
その間何度、「あぁ、発酵食品ね、腸にいいみたいねぇ(遠い目)」というセリフを吐いただろうか。
とき子さんの世界のぬか漬けに魅了されわたしは、今こそ!と、いても立ってもいられなくなり、無印へ。
食べ物コーナーは1番奥。
ずんずんと進むと
空っぽな棚。ないじゃないか…ぬか床。
まごうことなきとき子さんの影響だなと、しょんぼり肩を落としコアラパンを探しにいく途中に
いわゆるレジ横におすすめ商品として並んでいたぬか床。
なんだ、そんなところにいたんだ。
ぬか…やっと会えたね。
ここに並ぶものは売れ筋の人気商品。
すごいぞ、ぬかの力。
無印のお買い物袋、紙袋なら無料です。
重いので二重にしておきますね、と店員さん。
優しさにきゅんです。
ぬか床にテンション上がり過ぎてコアラパンを買うのを忘れたくらい。
それだけ、ほくほくな気持ちでゲットしたぬか床なのに…
漬ける時間や、冷蔵庫がパンパンなこととか、いろいろ考えているうちにまた得意の先延ばし。
すぐに取りかかれないのがわたしの悪い癖。
ぬか漬けになれずに、そのままマヨネーズで食べられたきゅうりたちを何本も見送って来た。
このままだと、ぬか漬けが気になって7年目に突入するところだったわたし。
昨日、ついに。
開封の儀。
買ってから約40日もの間、漬けたい気持ちを寝かせてきた。
漬物だったら、とっくに漬かり過ぎた。
開けたぞ…とそれだけで満足しそうだったため、まずは王道なものから漬けることに。
4本で120円という破格のきゅうりを2本、ずぶっと押し込む。
おやすみ、また明日ね。
と、野菜室の引き出しを閉める。
一夜明けて、スーパーでは見切られたきゅうりが1本120円くらいのレベルに変わって
今日冷蔵庫のぬか床から目覚めた。
見切り品なんてシールが貼られていたなんて、言わなきゃ誰もわからない。
「ぬか漬けの味がする…」という感動。
昨日までは、ただのきゅうりだったのに。
夢が詰まった、ぬかどこんドリーム🇺🇸
少しだけとんがった味がしたような気もしたけれど、多分これが1回目だから。
これはこれで、貴重な
『初めて自分で漬けたぬか漬け』の味。
脳内にメモリーされた。
わたしは、コロナ禍でやったことない料理に挑戦するようになった。
揚げ物もそうだし、餃子だって肉ダネを作って自分で包んだ。
料理歴は長いのに、手がかかるものに挑戦できずにいたし、正直これからも作ってもらったものを買えばいいと思っていた。
そんなわたしがまさか
ぬか漬けまで漬けられるようになるなんて。
noteにいると、出来たことを記録し
読んでもらえるということで俄然モチベーションが上がるのだ。
この場所にいなかったら、やりたい気持ちだけが発酵して終わるところだった。
2021年10月17日は、ぬか漬け記念日。
人から見れば、ただきゅうりをぬかに漬けただけだろう。
でもこれは、わたしの人生にとっては大きな一歩で、おいしくっておまけに自己肯定感まで爆上がりだった。
やればできるこ、そんな風に幼少期から言われ続けて来たじゃない。
ぬか漬けからはじまる、新しいわたし伝説。
ぬかに野菜を埋めて自己肯定感を上げる勇者(極度のずぼら)の物語は今、扉が開いたのだった。
約6年と、プラス40日くらいかけて。
次は大根を4等分して、ぬかに埋める。
そして、脳内で流れたのはあの効果音。
テテテテッテッテッテー🎵
わたしは、少しだけレベルが上がった。