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1年5ヶ月ぶりで、4年ぶりのOfficial髭男dism「UNOFFICIAL」に行った話

「生きていてよかったーーーーー!!」

泣いた。心からの叫びだったと思う。生きがいを、ある日、突然ぷっつりと奪われる。やりたい、待っている人がいる。ニーズはあるのに。自分のせいでできない。

想像しようとしたけど本当の意味ではわからないと思う。でも、漆黒の気持ちだったことは想像にたやすい。それはきっと絶望。2回目の絶望だったのではないだろうか。

Official髭男dismは2023年2月25日から2024年7月23日の期間で5枚のシングルをリリースした。第90回NHK全国学校音楽コンクール中学校の部課題曲だった「Chessboard」、日本テレビ『news zero』の2023年テーマ曲だった「日常」と注目を浴びた曲もあった。

日々いろいろなタイミングで聞くボーカル藤原聡の声。BGMでふと流れてくれば、すぐわかる。ただ、この約1年5ヶ月の間に一度も生のライブは行われることがなかった。それは、聡くんの喉が悲鳴をあげたからだった。

アニメ『SPY×FAMILY』の主題歌「ミックスナッツ」を引っ提げた「SHOCKING NUTS TOUR」最終日である2023年2月25日。私はその場にいなかったが「壊れた楽器」ように声が出なくなってしまったという。

そもそもバンド史上、はじめにライブができなくなったのは2020年春。コロナ前、最後のライブになったのはFM802主催の2020年2月19日のイベントライブだった。運良く当選した私は東京駅から新幹線に乗って、新大阪駅に降り立った。

その当時、翌月からはバンドとして最大規模になるアリーナツアーを予定していた。というのも2019年はヒゲダン人気が爆発して、全国各地をめぐるホールツアーをやってもファンクラブ会員でさえチケットがなかなかとれず。2月のホールツアーファイナルから間髪入れずアリーナツアーがスタートするはずだったのだ。

ただ、世の中は一変した。

音楽は「日常」と共にある。やりたいのに、できない。その期間は出口のない暗闇にあったのではないかと思う。

私は音楽も好きだが、やっぱり「ライブ」が好きだ。コンサートとライブの違いは私は観客の声があることだと思う。同じセットリストをやっていても、同じ瞬間はない。それは観客とともに作り上げる世界があるから。

日常が一歩ずつ戻ってきても、ずっと声の出せないライブが続いた。それも終わりの兆しが見えたのは2022年年末あたり。様々なアーティストで声出しが解禁されるようになった。でも、ヒゲダンは「SHOCKING NUTS TOUR」の間、声出し解禁をしなかった。

だから、「Official髭男dism one-man live 2024 -UNOFFICIAL-」は1年5ヶ月ぶりのライブで、4年ごしの声出しライブとなった。

曲がピアノから始まって、最初の声は「おひさしぶりー!」。その聡くんの声に反応する観客たち。2つの意味でヒゲダンに「ライブ」が帰ってきた瞬間にじわっと涙が浮かんで震えた。

楢ちゃんの笑ゥせぇるすまんみたいながはがはした笑顔も、大ちゃんの全方位の気遣いと優しい微笑みも、ちゃんまつの「うれしいなあ」という本当に嬉しそうな声も最高だった。それに、お馴染みのサポメンがめちゃくちゃ楽しそうなのもよかった。「みんなの声、想像の5億倍こえとる」といわしめた一緒に過ごすファンも仲間の一部。最高で最強の仲間を引っ提げて、ヒゲダンは目の前にいる。

「Stand By You」終わりの「生きててよかった」

ライブ中盤MCでの「すごく生きててよかった」

最後の「ライブの中でも言ったけど、生きててよかった(絶叫)」

聡くんは、生きる希望を失ったような苦しい日々を過ごしていたんだなと感じた。同時に、ライブの隅から隅まで喜びが溢れまくっていて、本当に幸せな時間を過ごした。

このライブの翌日はアルバム発売日。「Rejoice」というタイトルを見て、この4年間は再生の物語だったのかなあと思った。一度は色々なものを失ったけど、一から積み上げ直したヒゲダンはより一層強くなったのだと思う。

生で聞いて、聡くんの声も大丈夫だと思えた。「俺たちの人生が帰ってきた!」といっていたけど、喜びあふれる音楽を、ライブをこれからも聞き続けられる世界線があると思えたことが私も嬉しい。私もヒゲダンとの人生が帰ってきたよ。

Official髭男dism「one-man live 2024 -UNOFFICIAL-」(ファンクラブ会員限定)
日程:2024年7月23日
会場:Zepp Haneda


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