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絵を見て、人を想う。

広い美術館の中でも一際異彩を放っていたゴッホ晩年の作品。

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強くハッキリとした筆のタッチ。絵をよく見ると、木・空・雲・山・草・月が描かれているのが分かる。
実際にはこんな形の三日月🌙は存在しないし、空の色も、草木のうねりも、全てがファンタジーのようだ。
でもこの風景は、ゴッホの目の前に確かにあったのだ。

ずっと見ていると、風景と自我の境目が無くなって、
どろどろと一緒くたに溶けあってしまいそう。
そのくらい絵の中に引きずり込まれそうな、力強いエネルギーを感じる。
糸杉は西洋で死の象徴と言われるけれど、ゴッホが度々糸杉を描いていたのも偶然ではないのだろう。

この糸杉は風景ではなく、ゴッホその人なんじゃないかと感じた。糸杉と自分を重ね合わせて見ていたんじゃないかな、と。いや、もしかすると自分と目の前の景色の境目が曖昧だったのかもしれない。
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同じ木がモチーフでも、ピサロの絵からは全く違う印象を受ける。アトリエから見える景色を描いた絵だそうで、とても安定している感じを受ける。
実直で素朴な絵だ。実際、ピサロは温厚な性格の持ち主だったらしい。

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私は絵を見ているようで、実は人を見ているんだな。
ゴッホやピサロが風景に自分を見たように。

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百合絵ッセイ@主婦ふふ♡
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