災害大国=日本に必要なフェーズフリーという概念から浮くノート「ウキウキノート」を作ってみた
WBSトレたまをご覧になってたどり着いてくださった方、ありがとうございます。
浸水被害が増えている
もう、日本の気候いや、世界の気候がどんどんおかしくなっているのは、誰もが認めるところだと思いますが、水害という、都会に住んでいると少し前まではピンと来なかったことが、他人事ではなくなってきました。
うちは東京の府中という多摩川沿いの街なのですが、ついに昨年秋に洪水警報が発令、「避難してください!」という街頭スピーカーからの呼びかけに、一家で高台に避難しました。
幸い、府中は大丈夫でしたが、十数キロ下流の大田区や川崎のあたりでは大きな浸水被害が出たのです。
浸水してダメになるものは何があるでしょう。水に弱いものとして真っ先に思いつくのは、電化製品ですね。次に木製のものや紙製品になると思います。
そこで今日お話したいのは、紙製品は救える可能性がある、ということです。ある、特殊な紙で作ったものは、水にめっぽう強いのです。
耐洗紙
その紙とは、耐洗紙といい、簡単に説明しますと「クリーニング店の服についているタグの紙」です。ボタンホールなどに通されている、カラフルな細長い紙をご覧になったこと、ありますよね。
そもそもあの紙はどうして付いているのか、ご存知ない方がまだまだ多いので、これもお話いたしますが、あれはどのお客さんから預かったものか、わからなくならないように、番号管理するためのものです。
ですから、預かったらすぐに付けます。そして、数度の水洗いすすぎ、もしくはドライクリーニング、ものによっては高熱高圧のプレスを経て、お客さんの元へ間違いなく戻ってきます。
つまり、水にも薬品にも熱にも強い紙、なんですね。
機能性の特殊紙として、ほぼクリーニング業界だけに出回っている紙。これでしたら、洪水にあっても大丈夫。普通の紙は水に浸かっていると徐々に溶けてしまいますが、耐洗紙はへっちゃらです。
普通の紙と比べてどれだけ強いか、実験した動画がありますので、よろしければご覧ください。多くの方は、かなり驚かれると思います。
浮くノート
そんな折に、いろんな縁が重なって、「浮くノート」を作っているので、手伝ってほしいというお声がかかりました。もともとは浜名湖の漁協さん向けのノベルティ依頼だったのですが、これは水害対策のノートとして、もっと多くの方に知っていただくべきではないかということになり、一般製品化のプロジェクトがスタートしたのです。
その経緯は、クラウドファンディングのサイトに詳しく書いてありますので、ご覧いただければ幸いです。
あ、ちなみにわたくしは文具業界の人間なのですが、文具って毎日使うわりには、「不要不急」のカテゴリーにあるもののようで、コロナ禍においての優先順位がすごく低いんですよね。
それが何だかすごくモヤモヤしていまして、「文具って、もっと世間の役に立てないのか?なくてはならない存在になれないものか?」という感じで、少し落ち込んでいたのです。
そういうタイミングでこのプロジェクトのお話が舞い込んできましたので、これは何とか頑張って、ものにしたいなと思い、開発しながらいろんな人に意見を聞いていたんですね。
すると、ある中小企業診断士の先生から、「これはフェーズフリーだね」と言われました。フェーズフリー?
フェーズフリーとは
身のまわりにあるモノやサービスを、日常時はもちろん、非常時にも役立てることができるという考え方、それが『フェーズフリー』です。防災用品のほとんどは、ふだんはしまっていて、非常時のみに取り出して使うものです。
フェーズフリー品はちがいます。フェーズフリー品は日常時のいつもの生活で便利に活用できるのはもちろん、 非常時のもしもの際にも役立つ商品・サービス・アイデアです。
(フェーズフリー協会のHPより)
つまり、普段から災害に強いものを使うことで、いざというときに慌てなくても済む、ということ。
今回はノートですので、「大事なことを記録しておくノートは、例えば水に強いものであれば、水害対策に有効である。」ということになります。
これなら、文具も不要不急とは言わせません。
文具の、水害対策のフェーズフリー製品といえば、濡れた紙にも書けるボールペンとか、屋外でも使える付箋などが当てはまりますね。
ウキウキノート
では、このノートについて説明させてください。
浮くノートは、ノートカバーと中身のノートから成っています。ノートカバーには強力な浮力を持たせるために、いわゆるプチプチ緩衝材が入っています。スポンジなどいろいろ検証した結果、空気そのものを綴じ込めてあるプチプチが一番だったそうです。
そして中身のノートは耐洗紙ですね。しかし、普通のノートと同じ製本ではありません。通常の無線綴じと呼ばれる糊でまとめる製本では、洪水に揉まれた場合、紙は無事だとしてもバラけてしまいますので、フェーズフリー製品としては不完全ということになります。
そこで、PURという強靭な糊を使った無線綴じ、PUR製本を採用することで、前述のように洗濯機で回しても大丈夫なノートになりました。
細かい工夫は他にもいろいろあるのですが、大まかにはこの2要素で成り立っています。
水害被災地の熊本にノートを届けたい
ということで開発は進み、これをどのように世の中に問うか?というところで、クラウドファンディングを利用することになりました。
そして、2020年に被災した熊本に、ノートを贈る。同時に、支援金の中から寄付もすることに。被災地でのノート寄進は、自身も被災しながらパワフルに復興活動をされていた球磨郡の合資会社高田酒造場の5代目、高田恭奈さんにお願いしてあります。
さて、シリアスな製品のためか、わたくしのアピールが下手なのか、クラウドファンディングは非常に苦戦しています。もし何か感じることがありましたら、ぜひご支援をお願いします。熊本にノートを届けさせてください!
お求めはこちらで
クラウドファンディングは終了いたしましたので、お求めはこちらでお願いいたします。(ノウト通販係)
https://www.nouto.shop/categories/3761617
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