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XG SOMETHING AIN'T RIGHT MVとストーリー考察

XGのSOMETHING AIN'T RIGHT(以下SAR)の考察です。
以前はXでWOKE UPPUPPET SHOWの考察をさせて頂きましたが、今回は初の試みでBlog化にチャレンジしてみました。超々長文なのでブックマークでもして頂き、お時間のあるときにでも楽しんでいただけると幸いです。

それでは参ります!


①SARのテーマ概要

主役はJURIA?

まず結論からお伝えするとSARは…
「X-POPが世の中に受け入れてもらうために大切にしている要素」
を描くため、
「(受け入れのプロセスを)ループ物」
で表現する、
「ジュリア教官の苦労の物語」
と考えています。

メインテーマ:X-POPが世間に受け入れてもらうために大切にしている要素

ここでいう世間とは、もちろん一般の人々のことであり、同時に様々なジャンルの界隈の方々のことでもあります。例えばHIPHOP、例えばR&B、例えばK-POP、それぞれのジャンルの界隈の方々に対して、XGが表現するX-POPというものがどのように受け入れてもらうべきか、そのためにXGやXGALXが大切にしている要素のことです。

ちなみに表現されている大切にしている要素は

・ルーツへのリスペクトとルールの尊重
・個性の発揮と文化とセットでの輸出
・いいとこどり(アレンジ)文化

の3つと捉えています。

AWEに向けた一曲目

なぜそう思うのか?
<「音楽」というコミュニケーション方法を通じて、より一層世の中に近づこうとしている>ミニアルバムAWEに向けた先行公開曲の一曲目だからです。

AWEのリリース

XGのメンバーが、若いころからの長年の訓練により、各ジャンルごとの高いスキルを持っていることは誰もが疑わないところかと思いますが、スキルをお持ちのアーティストは世の中にごまんといて、もちろん誰もが世間に受け入れられ、ヒットするわけでもないと思います。

そしてスキルの問題だけでなく、XGALXはX-POPという新しい理想を掲げています。多様なジャンルに属しつつ、どのジャンルからも異端と見られる立ち位置でもあり、「各ジャンルの方々に受け入れられる」という面ではよりハードルの高い挑戦です。

そのために
「各ジャンルの技を圧倒的に高め表現すること」と同時に
「新しい理想を世間(界隈)にどう受け止めてもらえるか」が重要となります

この受け入れてもらうプロセスを「畏敬のプロセス」として表現したいのがAWEというミニアルバムなのかと考えています。SARはAWEの先行シングル第一弾であり、その初期段階を表現をするためのストーリーとして捉えると、様々な辻褄があってきます。

ループ構造のストーリー

X-POPが世間に受け入れられる為に、繰り返しトレーニングし、失敗の度に時間を巻き戻し、適切な方法論を探し続ける、ストーリーはそういったループ構造として描かれていると考えています。車が衝突してしまったシーンはバッドエンドで、そのたびにJURIN姉さんが時間を操り受け入れのプロセスを振り出しに戻しています。解釈の根拠についてはストーリーの部分で説明します。

ループさせるJURIN様

ガレージ(駐車場)を中心とした表現

作品のベースと明言されている「ガレージリズム」と掛けていると思われますが、本作では、「車」「ドライバー」「スクランブル交差点」「駐車場」が象徴的な意味を持って描かれています。

・車:音楽のジャンルを表す。副次的に価値観・カルチャー・個々の作品も表わしている。

上からスカイライン、フェアレディZ、NSX

・ドライバー:表現者。車を運転できるということは、自分の能力・個性を単に表現するのではなくコントロールできるということを表わす。なお、超能力は個性の表現でもある。

実際にドライブする唯一のシーン

・スクランブル交差点:「ジャンル」「価値観」「カルチャー」「個性」が交差する場所を示す。XGが交差点の真ん中で踊る整然としたダンスは、それらの要素が共存できることを示し、逆に車がぶつかってしまうのは、要素が衝突(つまり界隈とも衝突)する可能性のあることも示している。
スクランブル交差点の中心で踊るXGのみんなは、個性がありながらも、ダンスでは一糸乱れぬ姿を見せ、自己表現と相互リスペクトを象徴している。
今回の構成もダンスプラクティスのBehindを見ると、狭いスペースを縦横無尽に行きかうものであり、まさにスクランブル交差点のよう。テーマのためにあえて難しい構成を選んだと考えられる。

スクランブル交差点の中心で踊るXG

・駐車場:ガレージリズムの象徴。多彩なサウンド(車)を建物の中に包含しても成り立つ、踊りたくなる場所。つまりディスコを暗示。ガレージリズムの語源には、諸説あるようですが、一説にはアメリカのパラダイス・ガレージというディスコから来ている説があり、もともと本当に駐車場だったそうです。wikiから引用すると「幅広い音楽の知識を元にディスコ、ロック、ヒップホップ、ラテン音楽、ソウル、ファンク、テクノ・ポップなどありとあらゆる音楽を掛けて」いたそうで、X-POPの原形の一つなのかもしれません。

踊りたくなる駐車場

さて、それでは、一つ一つの要素をもう少し深堀していきたいと思います。

②考察の前提(飛ばしてもらっても大丈夫です)

今回は

A.公式で言われていることは遵守
B.作品全体で一つのテーマについて歌っていると前提
C.想像力を豊かにポジティブに

の3つを前提として考察してみました。

A.公式で言われていることは遵守

AWEの公式のコメントから…
 ・「音楽というコミュニケーションで世の中に近づく」が一つのメッセージ
 ・「日常の中でXGの音楽と共にする特別な経験」が描かれている
 ・(AWEのコンセプトである)畏敬の最初のプロセスである
 ・新しい存在が現れる時、人々は恐怖と好奇心を感じている
というところでしょうか。この時点ですでにMVに対する答えは出ている気もします。

ちなみに、改めてメッセージはこんな感じです。

B.作品全体で一つのテーマについて歌っていると前提

個人の感想ですが、XGのこれまでの一曲一曲は、歌、歌詞、ダンス、表情管理、衣装、MVなどトータルで一つのメッセージを表現する、総合芸術的な取り組みを行おうとしている印象があります。自分はそういうXGが好きなので、自分の希望も含めて、あえて歌詞含めて全体を一つの作品として考察することに挑戦しています(MVと歌詞の融合が難しかった…)。

C.想像力を豊かにポジティブに

MVのストーリーはPuppet ShowのMV考察の時と異なり、ヒントとなる材料が少なく、より様々な解釈が出来るものと感じています。そこで想像力を逞しくしつつ、解釈の中で論理的かつ納得感があるものをチョイスしています。あとテーマ的に深堀するとご時世的にも穿った見方も出来てしまうのですが、ポジティブなものをチョイスしています。「まぁ、そんな考えもあるかもね」くらいの感覚で楽しんでもらえれば幸いです。

③日本カルチャーへの言及(スクランブル交差点、カスタムカー、コンビニ)

さて、SARにはXGやXGALXが「X-POPが世の中に受け入れてもらうために大切にしている要素」として

・ルーツへのリスペクトとルールの尊重
・個性の発揮と文化とセットでの輸出
・いいとこどり(アレンジ)文化

が描かれていると書きました。このMVにはこれらの要素が日本文化の特徴とセットで描かれていると考えています。それぞれ見ていきます。

外国人観光客はなぜスクランブル交差点を観光しにくるのか?

いきなりですが、実は日本に来る外国人観光客の4割は渋谷のスクランブル交差点を見に来るんだそうです。なぜだかご存じでしょうか?

人が行きかうスクランブル交差点

実は我々が普段気づかない「日本人じゃないと実現できない高度なスキル」があの場所で発揮されているんだそうです。それは青になると一斉に人が渡り出し、大勢の人同士が狭いスペースの間をぶつからないでスムーズに渡っていくこと、そのものなんです。
日本人からすると?な感じですが「全員がルールを整然と守り」「向こうから来る相手への配慮」を行うこと、それ自体が「高度なスキル」で、海外の方から見ると驚きであるとのこと。スクランブル交差点は日本の文化を感じられる場所なんですね。

参考:「あなたはなぜ渋谷に?」 ~渋谷で外国人観光客30人に聞いてみた
 ※ページ中ほどにスクランブル交差点の言及あり

翻ってXGの活動では、TAPEシリーズ、VOXシリーズなど、各ジャンルのカバーを丁寧に行うジャンルのルーツへのリスペクトの姿勢が常に感じられます。また、曲を思い出すと、様々なジャンルをクロスさせながらも気持ちよい一つの曲としてまとまっているのにいつも驚かされます(今回も小気味よく本当に癖になります)。それらはまさにスクランブル交差点と同様「相手(ジャンル)のルールを尊重しリスペクト」する姿勢があるからこそ実現できているのではないでしょうか。

日本独自の車カルチャー

SARでは、JURIAの乗るピンクのFD系RX-7を初めとして、2台のNSXや3台のスープラ、R34GT-Rなど、80-90年代を中心とした、日本のスポーツのカスタムカー(改造車)が登場します。ちなみに下記の通りJURIAの乗っているRX-7は魔改造っぷりがやばいです…(ちなみに同じ車種。本来のドアは普通に横開きです)

鬼カスタマイズされたRX-7(引用元)
オリジナルのRX-7(引用元)

ど派手なカスタムは、どこかXGの宇宙コンセプトの衣装とも被るところがありますね。

実はこれらのカスタムカーを含めた車に関するカルチャーも日本独特のものが多いです(ドリフト、デコトラ、VIPカー、痛車などなど…)。そして、カスタムされたスポーツカーはグランツーリスモというゲームや、映画ワイルドスピードの影響もあり、海外でも人気が高まっています。アメリカではJDMという言葉でカルチャーとして若者に受け入れられたり、カスタムカーの祭典である「東京オートサロン」は外国人来場者も増え、ショー自体もアジアに進出しています。

ちなみに、JURIAがJURINの前でも見せたドリフトも実は日本発祥であり、その後競技化されたのも日本が初、その後世界に広がりました。

WOKE UPでも歌詞に取り入れられたドリフトは日本オリジン

カスタムカーはオリジナルの車を大事にしながらも、しっかりとそれぞれの個性を表現します。そして日本のオリジナリティがカルチャーとして海外に輸出され愛されています。この「個性の発揮と文化とセットでの輸出」という考えは、X-POPというカルチャーが世界で愛されていくうえで大事な考え方として位置づけられているのではないでしょうか。

コンビニが代表するいいとこどり文化

続いて、ハーヴィーとマヤがまさにお互いを譲らずに商品棚の角で対峙する舞台がコンビニです。

鏡の中で対峙する不良娘二人。反面教師の鏡でしょう

実は日本のコンビニはこれまた外国人観光客の観光スポットの主役級の位置付けなのです。ご存じの通り最初のコンビニブランドであるセブンイレブンはアメリカから輸入された存在ですが、日本でのカスタマイズで、もはやできないことはないくらいの独自の進化を遂げています(淹れたてコーヒーから役所の手続きまで)。下記の記事の通り、今や日本のセブンイレブンがアメリカ側を買収し、日本式コンビニが逆輸入されている時代でもあります。

参考:アメリカのセブン-イレブンがもうすぐ「日本風」に生まれ変わる?

MVにおいても、進化したコンビニの姿を表わすように、日用品から多様なおかしやラーメンまで様々な商品が陳列され、さりげなくミネラルウォーターには常温水が置かれているのが見えます。

さりげなく置かれる工夫の証でもある常温飲料

この「いいとこどり(アレンジ)文化」もまた日本の特徴であり、海外の大学では授業がされているくらい有名なんだそうです。

参考:日本の「いいとこ取り」文化のスゴさ

確かに、例えばラーメンもカレーも本国とはまた別の独自の進化を遂げているかと思います。

シーンに話を戻すと、コンビニでぶつかったマヤとハーヴィーは、その後現れたジュリアに諭されるように連れていかれます(鬼教官には逆らえない模様)。これはスクランブル交差点と同じ比喩ですが、あえてコンビニでぶつかっていることもポイントであると思います。二人には個性を表現してぶつかるのではなく「個性のいいとこどりによる調和」という進化が求められているわけです。

意外に素直な不良娘達と心配そうに見守る手下のみなさん

XGの曲は、基本的に同じタイプの曲が少なく、様々なジャンルを取り込んだ新鮮な曲が多いのが特徴だと考えています。それは、「様々なジャンルの音楽の良いところを抽出し調和し進化させる」 そんな方針を持って創作されているからこそ実現されていることなのではないでしょうか。

X-POPにおける日本要素

以上のように、MVには日本人が普段気づきづらい、日本文化の特徴が意識的に描かれていることがわかります。

これまでXGのMVにはAKIRAやエヴァのアニメモチーフ、衣装にはY2Kファッションなど、ビジュアルでは日本的要素がわかりやすく出てくるものの、音楽性において「これは明らかにJ-POPだね」という曲はなかったと考えています。

ですが、わかりやすい音楽性として前面にこそ出ていませんが、X-POPの核であるジャンル同士の融合の方法論の根底にこそ日本の文化や方法論が生かされているのではないでしょうか。「実は日本の持つ良い考えを巧みに取り入れているんだよ」というメッセージがSARのMVには表現されていると感じます。

④MVと歌詞との関係

さて、続いてMVと歌詞の関係を解説していきます。この点、解釈を繋げるのに難儀しました。結論としては浮気の歌に擬態させて
「違和感」
=「不寛容なコミュニケーションにおいて発生する、一方的な不信や憶測」を表現していると解釈しています。つまり畏敬のプロセスの初期段階、未知のものに対する違和感、拒絶の構造です。X-POPに対する他界隈の受け取りをオブラートに包んで表現しているようにも思えます。

ちなみに、Winter Without Youでもあったのですが、XGALXは一般の人に受け入れられるために、歌詞単体で見ると恋愛(今回は浮気)のような分かりやすいテーマを装いながら、実は異なるテーマを埋め込むという技法を使っているのかなと考えています(参考:Puppet Show考察内WWYの考察も参照)。

私見ですが、5年間外界と断絶してストイックに訓練に打ち込み、デビュー後も超多忙で健康的な雰囲気のXGが、浮気の歌を歌うのは現段階ではちょっと時期尚早なのかなとも感じていますので、広く世間に受け入れられるためにもこの技法には賛成です。

歌詞を素直に聞くと、キス、ハグ、boyなど、やはり女性が男性に向けて歌っている表現に聞こえます。

 X O love me good
 キスとハグでうまく私を愛して
 Just ain't fair boy
 フェアじゃないわboy

とにかく、相手が自分をだまそうとしてるという一方的な決めつけが行われて、相手を慮る表現が全くありません。

 I know something ain't right
 なにかおかしいことはわかっているのよ
 You can tell me what you want but it's all lies
 言いたいことを言ってもいいけど、それは全部嘘よ

事実浮気なのであれば致し方ないのかもしれませんが、仮に事実でない場合、双方向であるべきコミュニケーションにおいてはかなりの問題がある決めつけです。

一方でMVには男女関係を匂わす表現はほぼないので、前提の通りMVと歌詞が作品として同じものを表現をしているのであれば、一段歌詞の抽象度をあげるしかなく、「不寛容なコミュニケーションにおいて発生する、一方的な不信や憶測」という解釈に落ち着きました。

※さすがにMVと話が合いづらいので、ダブルミーニングの可能性もあると考えています。Le SserafimのEve,PsycheチャレンジにJURIN姉さんのMVをすかさず作ったように、時流に乗るXGALXですので、もしかするとShotGunDandyさんの考察のようにHIPHOP界のある方への不信的メッセージも埋め込まれた結果こういった表現になっているのかもしれません。真相はいかに…。
ちなみにShotGunDandyさんの上記考察はHIPHOP業界の動向把握や知見、英語や英語圏への理解がないと不可能な素晴らしいものなので是非ご視聴ください。

⑤シーンごとの解釈(JURIAの星、駐車場、JURINやMAYAの瞳…)

さて、以上のような考察を土台にMVのストーリーは構築されていると考えています。さらっと見ていきましょう。

再掲しますがMVは「X-POPが世間に受け入れられる為に、何度も何度も繰り返しトレーニングし、延々と時間を巻き戻しながら方法論を探すループ構造」として描かれています。車が衝突するシーンはバッドエンドで、JURIN姉さんが時間を操りスタートに戻しています。

もうお分かりかとも思いますが、白い服が本来の宇宙人の姿、カラフルな姿が「宇宙人の本能を隠して日常の中で生きていくXG」を表現しています。

スクランブル交差点は日中の渋谷にも拘わらず人がいないことから、時間を止め、安全のため人も排除された世界なんだと考えられます。前述した「高度なスキル」を会得する訓練場なのでしょう。本来の能力を表に出さずともみんなの能力(個性)をうまく調整して人間と一緒に歌って踊ることを目指す、XGだけのトレーニングステージなわけです。
能力のコントロールがうまくいかないと、車がぶつかるなどの結果が発生し、世の中が混乱することがシミュレーションされ、受け入れ訓練はNGと判断される模様です。

ちなみに、ループの証拠にMVでは3回スクランブル交差点が描かれているのですが、それぞれクラッシュしている車が異なり、別のシーンを表わしていることがわかります。

①冒頭のシーン
②ラストのシーン
③中間のシーン(未来のシーン)

まず冒頭のシーンが、これ

冒頭で南口側に見える車は後半のシーンと異なります

そして、MVラストのシーンがこちら。

事故車の場所と数が前半と異なる

車の数や事故車の位置など、別のシチュエーションであることがわかります。そして、下記のようにラスト直前にはシーンが巻き戻っていることがわかりやすく表現されています。

ラスト直前、過去の映像に巻き戻っている

ちなみに少し見づらいですが、中間のシーンはこちら。

車の数や位置がまた違って、違う時間軸だとわかる

以上のように、少なくとも3つの時間軸が描かれており、ループ構造であることを示唆しています。

さて、ループ構造であることがわかったところで、ストーリーを流していきたいと思います。冒頭は全員の能力お披露目のシーンであり、渋谷が混乱し受け入れ失敗した巻き戻しのシーンでもあります。
すでにALPHAZアプリなどでも一部ネタバレしていますので各メンバーの能力を軽く紹介していきます。まずHARVEYの能力は「FLIGHT」で自分や物を宙に浮かす力ですね。

吊るされがちなエイミーさん

そして、HINATAは自由自在に大きさを変えられる能力、よく見ると車もでかくなっている?

アニメ好きの進撃のHINATAさん

COCONAはテレキネシスでしょうか。周囲にものが浮かんでいるのがわかります。ちなみに隕石で街を破壊しているのも能力的にCOCONAと考えられます。

常に隕石級の衝撃を与えてくれるココちゃん

CHISAは「Smart」。すべての情報を一気に習得したり記憶したりする能力を保有しているんだそうです。ALPHAZアプリで、軽く能力を発揮しただけでめっちゃ出世しちゃったことが示唆されています。

インパクト強すぎてこっち使っちゃいました

JURIAは「teleport」で、空間移動の能力。ちなみに今回の主役の一人で、出来の悪い不良娘達を人間界になじむように訓練する教官役を担っていると考えています。終わりの見えない円環の中で延々と1から訓練し続けるのは相当苦しい世界線ですよね~。冒頭テレポートで消えますが「また訓練失敗だ~ もう知らん」ってな感じで能力使ってとんずらこいていると思われます(笑)

あばよ、と消え去るJURIA教官

そしてMAYAは「Mind Control」ですね。訓練場に人間たちを連れてきてしまってます。能力のコントロール下にある場合だけ、この場所に人が存在することが出来るようです。ちなみにMAYAは今回のMVでは一番の成長を見せることになります。

踊りのモチーフは貞子?

そして最後にJURINの「Time traveler」ですね。過去にいったり未来に行ったりすることができることがALPHAZアプリで言及されています。ちなみに、冒頭シーンのラストでJURIN姉さんが時を戻しますが、よく見ると車の影が走っており、ぶつかる前に、車が交差点を複数交差していたことが伺えます。

細かく止めると車の影のようなものが映る

さて、JURINの力で時が巻き戻り、各メンバーたちは人間界への侵入直後、一生懸命適応しようとする段階に移ります。
まずMAYAですね。歩き方がもう不良宇宙人です。人間の姿ですが全然能力を制御できておらず、コントロールした人間たちを手下として引き連れるようにやってきます。もはや違和感というより異常事態な気もします💦 左目がオレンジになっていますが、これが能力を制御できていない証になっています。ラストシーンでこれが青になりますが後述。

手下のように人間を引き連れるMAYA様
まだ能力がコントロールできておらず左目がオレンジです

続いてCOCONA。盗撮されていますね。
COCONAに違和感を感じ盗撮する男は、世間一般の方々が新しいものや自分と異なる個性や価値観に出会った時の反応として象徴的に表わされています。COCONAはダースベーダーの部下の粛清(古くてすいません)のように、相手をやっつけているのでしょうか? やはり能力を制御できていないようです。

怒りのせいか男を浮かすCOCONA
ダースベイダーは触らずにフォースで首を絞められます(引用元)

続いて、JURIN。さすがのリーダーも最初の段階では能力がコントロールできていないようで現実世界で人間たちの時間を止めてしまっており、一人だけ動いています。ちなみにこのタイミングではJURINの瞳孔は広がっているのがわかります。能力がコントロールできるようになると、瞳孔が猫の目のように縮まりますね。

時間を止め闊歩するJURIN
瞳孔がまだ丸い

続いて今回の主役でもある、トレーニング教官であるジュリアです。本来の姿は鬼教官として↓のようにいかつく厳しい感じですが、いち早く能力を使いこなしキュートに擬態してしまっています。

トレーニングシーンの冒頭で吠える鬼教官JURIAの本来の姿
RX-7と同様レベルの鬼擬態 額に星、胸はXを背負います

額には星、胸には交差点を象徴するであろうXマークを背負い、重要なミッションを担っていることを象徴しています。ちなみにBehindのMVで額の星を押すことで能力が発動することが示唆されていますね。

人に教えるにはまず自分から。「やってみせ」の五十六メソッドばりに、能力をコントロールできていることを背中で教えているわけです。教官としての姿勢が素晴らしいですね(笑) 
とにかく訓練を進めていかないといけませんが、出来損ないの娘たちがトレーニングに失敗して渋谷をぶっこわす場合に備えて、まず時間をコントロールできるJURINを迎えに来たわけです。
なお、XGのみんなは、傍にいるとお互いの能力を共有しあえる様子で二人で移動していきます。

11/28はJURIAの誕生日です

そして初めてのトレーニングスタート。二人が到着したてであることが乗り捨てられた車からもわかります。

後ろに見える乗り捨てられた車。時系列がつながっています

トレーニングは今のところうまくいっているようで、交差点ではXGの後ろで個性的な車が整然と信号を待っています。

順調なトレーニングと整然とし平和な渋谷

ちなみにHINATAは落ちこぼれなのか「うーん、制御できないよ~」って表情ですね(笑)

困った顔のHINATAさん

そして最初のトレーニングは無事終了し、また人間世界に戻っていきます。HARVEY登場。トレーニングも空しく、彼女もコンビニで暴走し、好きな商品を能力で集めちゃってます。おかしが食べたい気持ちが抑えられなかったのだと思われます。ちなみに、MAYA、COCONA、HARVEY、HINATAが問題児という設定かと思います。

海外生活が続くと日本のおかしを食べたくなる気持ちはわかります

そして、③でもお話しした通り、不良娘二人が通路でぶつかり一触即発になりますが、それに気づいた教官JURIAがさっそうと現れ、二人を連れていきます。MAYAはなんだか不満そうですが素直です。鬼教官が怖いのでしょう(笑)

現行犯で連れていかれる二人

向かったのはCHISAのいるオフィス。CHISAはその能力も使ってトップクラスに人間界になじんで出世しています。CHISAは一部VOXのプロデュースもやっていたので、将来はXG内で音楽的リーダーシップの一部を担っていくことも予測されますが、その未来を想像させるシーンですね。
「アドバイスくれよ」ってなもんで、CHISAの知恵も生かして、場所を変えて2回目のトレーニングが始まります。

相談に乗るCHISA、相談時に相手に体を向けるのは良い上司の証
HARVEYが訓練場へテレポート 一緒にいれば能力は使えるのです

そして2回目のトレーニングが始まります。ここでは落ちこぼれの4人にスポットライトがあたります。

自信満々のCOCONAだが後ろの空にはすでに…
「なめんじゃないわよ」てなもんで指を振り余裕の表情のMAYA
HARVEYも余裕をかましてます
残念ながら相変わらず全く能力を制御できていないHINATA…

さて、トレーニング中、車同士の衝突は発生しておらず、一見うまくいっているようです。MAYAも人間たちを従えていません。訓練の成果をみるためにも、XGのみんなは人々と一緒に踊るためにオフィスに戻ります。

みんなでオフィスにジャンプ

余談ですが、オフィスに戻る前と戻った後は、時間がかなり進んでいることがわかります。MV内ではトレーニングの再生時間は短いですが、本当は時間をかけて訓練していることを表現しているのかもしれません(実際にDance PracticeのBehindでは何日も訓練してましたね)。

右上の時計、トレーニング前は14:35
左上の時計、トレーニング後は11:30

そして、オフィスに戻ると、トレーニングの成果でしょうか? 人間たちに変化が起き始めます。なんとMAYAのマインドコントロールが解けて、正気を取り戻すのです。

マインドコントロールが解けて正気に戻るオフィスワーカーのみなさん

ここで初めて、XGの7人とオフィスの人たちが自分の意志で一緒に踊る機運が高まります。が、そこでみんなはたと気づくのです…「あれHINATAは?」

愕然とする教官 苦労がしのばれます

そう残念ながらHINATAは全く能力を制御できてなかったのです。オフィスに戻るどころか、本来の姿のままでかくなってしまってます。

リアル進撃の巨人HINATA 人間への擬態すらできていません
「だから苦手って言ったでしょ」ってなもんで、すました顔で開き直ります

ちなみに、マヤも人々へのマインドコントロールは外すことが出来たのですが、オフィスに戻ってきた段階では、まだ能力を完全には制御して一緒に踊るところまでは出来ていないようです。その証拠にこのシーンでのマヤの左目はオレンジのままです。

一瞬だがよく見るとオレンジのMAYAの目

ここでリーダーJURIN姉さんがすかさずフォローに入ります。これまでとは違ったエフェクトで能力を使います。そう未来の自分たちと会える能力を発揮するのです。ここまで頑張ったMAYAに対して、気づきの手を差し伸べ、人々と楽しく踊る能力を開花させる支援を行ったのだと考えています。

未来を見るリーダーの力を発揮

ちなみに実際のSARのDance Practice BehindではXGのみんながアイディアを出しながら振付をつくっていく創作の場が記録されているのですが、途中本番を迎え不安そうなMAYAを含め、JURINがみんなをリードする場面が描かれていました。まさかこれを再現したのか~、と想像してしまいました。

不安そうなMAYA
雰囲気を変えるリーダー

そしてJURINのナビゲートもあり、見事にXGはトレーニング場において、マインドコントロールではなく共感という能力を発揮しながら、自由意志のある人々と音楽を共有するのです。

見事にXGと人々がクロスする場となるスクランブル交差点

そして、これ以降のシーンは、JURINの力が発揮されていることを表現するように、過去(オフィス)、現在(交差点)、未来(駐車場)のシーンが、行ったり来たりクロスします。
なぜ駐車場のシーンが未来だといえるのでしょうか。駐車場は前述した通り、ガレージリズムの象徴たるディスコです。そのディスコでみんなが楽しく踊る後ろには、7台のカスタムカーが見えます。

ちなみにChoreographyのMVの方が、7台の車の位置がわかりやすい

この7台のカスタムカーのそれぞれを、XGひとりひとりが運転して駐車場へやってきたということでしょう。「カスタムカーの運転」は自分の個性の発揮と考えられます。そして「整然と置かれ、誇らしげにライトが光っている7台の車」は7人それぞれが独立した役割をこなしながら、調和が取れたことを象徴していると考えられます。
そしてこのシーンでMAYAの左目は青になり、能力を完全にコントロールできていることがわかります。みなが能力をコントロールできているということは、全員それぞれが各自の車を運転できるので、もうJURIAが誰かを送迎する必要もありません。ようやくJURIAも永遠とも言える教官としての役目も終えたのでしょう、能力を象徴する星も額から無くなっています。

教官JURIAはお役目御免 お疲れ様です
MAYAもメイクと目が直っています

そしてオフィスでもみんなで楽しく踊ることが出来ています。

止めるとやや盆踊り風味も

しかしながらトレーニング場に戻ると、一部の車が衝突していることがわかります。ココナの力で隕石は落ち、一部の車が空に浮かんでしまっていて、混乱が生じています。空に浮かぶ車は、HARVEYが自分なりの能力を生かして車の衝突を回避しようとしたのでしょう(高音ボイスを生かす表現なのかもしれません)。事故車が存在しますので、残念ながらこのシーンが正解の世界ではなさそうです。

楽しく踊れているが、一部の車は衝突している

そして相変わらずHINATAはしかめっ面をしています。まだ力のコントロールは不十分なようです。

最後まで苦戦するHINATA嬢

ということで、今回のループでは、XGは個性や能力を押し付けるのではなく、相互リスペクトをもって踊る能力を手に入れるという重要な一歩を歩んだものの、残念ながらまだ彼女たちなりの正解にはたどり着けませんでした。そして、それを把握したJURINが最後にまた世界をもとに戻すのです。よく見るとJURINの目の瞳孔は広がっています、これは能力を使いこなせない状況、すなわちスタート地点に戻っていることを象徴しているかと思います。

ゆっくりと瞳孔が広がり能力を制御できない状況に戻っていく

以上、ストーリーの考察はここで終了です。

MVにおいてはループは続きますが、我々にはループがいずれ終わり、X-POPが受け入れられていく未来が来ることがすでにわかっています。なぜなら、SARのリリース後、WOKE UP REMIXXがリリースされ、XGがHIP-HOPやK-POPの界隈の方々とコラボしている未来を目の当たりにしているのですから。
これもまたSARというアルバムに巧妙に仕込まれたストーリーですね。すごいぞサイモンさん・XGALX!

⑥残る謎(夢とは?)

さて最後に、残ったもう一つの謎の回収にもチャレンジしたいと思います。Xにてxg_tacopeさんやStorm_alphazさんが発見して頂いたように(ALPHAZ考察部すごいんです)、渋谷の各所にはさりげなく「夢」や「ドリーム」が描かれており、ラストの謎の文字は「夢」である説があります。

ラストのタイトルは夢?
夢、ラストタイトルにも似ている
夢のシーン
ネオンドリーム

2つまでは偶然ですが、3つは意図的だと考えていますので、わざとでしょう。こちらについて考察もしてみます。

白昼夢という表現があります。寝ているわけでないのに、現実と想像の狭間のようなイメージを幻想として見る現象です。時間がたっても昼のままの渋谷は白昼夢を象徴しているのかと思います。

サイモンさんの夢として始まったXGのストーリーは、XGのメンバーや関係者の力で少しずつ形になってきていると思います。今回のMVも表現したい世界観(夢)がMVとしてリリースされ、その想像していた世界がWOKE UP REMIXXのような現実のものとして形になってきています。このようにXGを応援する体験自体が、夢と現実がクロスオーバーする白昼夢的な体験とも言えそうです(そして世間もWOKE UPしていくのかもしれません)。

と同時に、ループ構造は、XGやXGALXが理想とする世界に向かって何度でもトライする、諦めない姿勢の表明でもあると感じます。そしてX-POPという世界観はXGだけでなく受けとめる側の存在ALPHAZが必要です。
「ALPHAZとともに一緒に夢を現実に書き換えながら、X-POPという垣根のない概念が普通になっていく世界をに挑戦し続けよう。それこそがみんなの「夢」である」 なーんて熱いメッセージがMVトータルとしてさりげなく込められているとも捉えられます。想像しすぎでしょうか(笑)

個人的には世界平和の為にもまじで大事な概念だと思っています!

⑦終わりに(IYKYKに向けて)

考察はいかがだったでしょうか。

最後に明日リリースされるIYKYKに向けて少しだけテーマの予想をしてみたいと思います。

IYKYKはm-floのprismという曲をリミックスしているとのことです。こちらでも書いたのですが、prismの歌詞には「惑星」「銀河」「多元的価値観」などXG的な要素が組み込まれています。wikiによると、m-flo自体もともとヒップホップ、ソウル、R&B、ジャズ、レゲエ、ボサノヴァ、ハウス、2ステップ、ドラムンベースなどの様々なジャンルの音楽を取り入れ、曲は宇宙などが舞台となっているとのことで、パラダイス・ガレージと同様X-POPの源流の一つなのだと感じます。
もしかすると、AWEは、SAR、IYKYKと、X-POPの源流が一つ一つ紹介されるというミニアルバムの構成になっているのかもしれません。

IYKYKの公式のメッセージはこちらですが、SARで違和感とともに受け入れられたXGの次のステージが表現されることが予想されます。

IYKYKリリース情報 分かる人には分かる

「分かる人には分かる」ということは、裏を返せば「分からない人には分からない」ということにもなります。

「光速を超える」という、飛びぬけた孤高の挑戦には、挑戦者のみが味わう他の人に理解されない孤独があるはずです。それでも理想を追い求め行動し続けることによってのみ、一部の人々が気づいてくれる(すなわちALPHAZが応援してくれる)、そういった喜びが作品では表現されるのではないでしょうか。少し寂しさも感じさせる今回のジャケットはそんな思いの象徴なのかと想像しています。

同じコンセプトが常にないのが本当にすごい

そしてprism、光を分散させるものですので、SARで手に入れた個性とスキルをより際立たせていくことが宣言されているとも考えます。XGの一人一人が独立し高いレベルにあるからこそ集まった時にも輝きが増す。そんなメッセージも込められているのかもしれません。ソロパートの技にも期待ですね。

最後に、一連の考察でもわかるように「SAR」も「IYKYK」もX-POPの源流をたどるような構成になっていると感じています。もしかするとAWEというミニアルバムには、「X-POPという考えはなにも新しいものじゃない。多様な音楽を垣根なく純粋に楽しむという考えは昔からあったんだよ」という先人へのリスペクトと、その大切な考えを改めて世に広めていく決意が込められているアルバムなのかもしれませんね。

以上になります。
正解かどうかはわかりませんが、いずれにしろIYKYK楽しみでしかありません。長々と長文にお付き合い頂き、ありがとうございました!


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