妄想

いつか騎士様が目の前に現れて
「もう何も怖くないよ」
って ボクの頭を撫でてくれる
「遅く成ってごめんね でもこれからはずっと護ってあげるね」
ボクは大きく頷く
「君の不安を全てやっつけてあげるからね」
ボクは嬉しくて泣いて居た
やっと待って居た人に巡り会えた
ずっとこの人に付いて行くんだ
この人の隣 それがきっとボクの居場所だから

でも そんな人は居ない
ボクはよく知って居る
人間が支配するこの世界は
全てが金に換算される
時間も生命も物も 何もかもが金で測られる
だから 金に成らないボクは この人間が支配する世界では
何の価値も無い
何の価値も無いから 誰も助けになんて来ない
「価値の無い者は死んで良い」
それが 人間がいつも出す答え

ほら また溜息が聴こえるよ
お前なんか何の価値も無いよって
ボクはまだ小学生の頃から悟って居た
この世界には二種類の人間が居る
一つは 生きるべくして産まれて来る人間
もう一つは 死ぬるべくして産まれて来る人間
ボクは絶対的に後者だ
そして 人間はそれを望んで居る
これは 憎しみに包まれる夢
世界中の人間の憎しみが この子を殺すまで続く

その憎しみが お前達を殺し尽くすまで
この子の憎しみは絶対に消えないだろう

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