おそ松さん第二期22話感想

前回21話も最終回を彷彿とさせるような話でしたが、丸一話使った今回も一期で見たことのあるような既視感のある展開といいお話のテーマといい最終回っぽい流れがありました。

本文中の『』内にある日付つきの引用は当時ツイッターのものです(誤字脱字や二次創作的コンビ名などは訂正しています)。

海外旅行

ハタ坊のコネで突然ハワイへ海外旅行に出かける六つ子、トト子、イヤミ、チビ太たちレギュラーメンバー。しかし事故で飛行機は墜落。無人島に漂着してしまいます。

今回は珍しくカラ松のナレーションで全編進みます。中村氏の色んな声音が聞けるのでちょっとお得気分。

無人島へ漂着してからの各人の態度がいろいろ違うのが面白いですね。みんなの漂着直後の様子は以下。

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おそ松・チョロ松

落ち込んではいるものの割と暢気。真っ先にトト子ちゃんに媚を売りに行ったのもこの二人でまず仲間内の評価が気になるってところがらしいです。

一松・十四松

恐らく今回一番漂着生活を楽しんでいたのは間違いなくこの二人。元々二人は一般社会の目というものが自分たちに優しくないってのを自覚している人間。だから、そう言った社会の目がなく、しかも気の知れた仲間だけのこの島での生活はある意味パラダイスかもしれません。とても生き生きしていた。

イヤミ・チビ太・トト子

イヤミは周囲と協力するでもなく一人自分だけの為に行動。チビ太は真面目に漂着生活しようとしてるのに六つ子たちにペースを乱される。トト子ちゃんは相変わらず自分の手を汚そうとしない女王様。この三人は基本いつも通り。

トド松

流刑や戦力外など今期様々な逆境を耐えてきたトド松なら楽勝かと思いきや今回一番精神的ダメージを受けていたのが意外でした。

思えば彼が力を発揮するのは対兄に対しての反抗心がある時がほとんど。でもそのアグレッシブさはあくまで兄たちがいるからこそのものなのです。今回のように敵が外的なものであり、周囲(六つ子コミュニティ以外)の評価が得られない環境では全く力が発揮できないという……。

トド松にとって、どんなに自分が底辺でも兄たちより社会的に上という思い込みはかなり大きな拠り所で別の言い方をすればそれを社会的に認められている(とトド松が感じられる)環境でなければまるで自我を保てなくなってしまうのです。一見強メンタルに見えるトド松の思わぬ脆さを見た思いです。

デカパン

皆が無人島生活の事しか考えていない中ただ一人行方不明になった相棒のダヨーンの事を思う優しさを見せています。トド松に海に浮かぶダヨーンの衣服を見せられ「諦めたほうがいいよ」と言われても「希望を捨てちゃ駄目ダス!」と気丈に振舞ういい人。最後には気弱になったトド松に対してさえ「守ってあげるダス」と庇護欲を見せるデカパン。もっともその後「きもちわるい」とトッティに海に突き落とされますが(酷い)。

カラ松

一番最初に無人島で目覚め絶叫したものの、その後は終始冷静。助け合って生きる大切さを皆に求めます。今回はナレーション役なのもあり俯瞰的な立場で物語を見ているようです。

ただ皆に対して(思いやりの心を忘れてしまったんだ)というのは買い被りでは。最初からなかったよ(思いやり)。

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以上のように各々バラバラの行動をしていた各人ですが一つの目的の為力を合わせます。それは飛行時期の際一人でさっさと脱出したハタ坊への復讐。無人島を脱出する為力を合わせてイカダを作るのですが……。

イヤミ氏の裏切り!!(そう言えばイカダ作るシーンでイヤミはいなかった気がする。最初から協力する気もなかったようなので裏切りではないかもしれない)まんまと皆の作ったイカダを横取りするも結局島周辺の海に生息するサメたちに襲われてしまいます(サメでか過ぎ)。

(オレ達は悟った。この島から出るのは不可能なんだ。もうみんな死ぬしかないと)

カラ松による絶望のナレーション。ここが大事な肝ですね。脱出不可能な無人島でそこにあるものだけでなんとかしなくてはならないと。無人島で死を覚悟した六つ子たち他レギュラー陣のとった道は無人島への適応でした。

個人的に極限状態ではトト子ちゃんが皆のアイドルではなく対等な仲間になってるのが良かった。それにしても適応トト子ちゃん完全にもののけ姫だけどいいんでしょうか(まあこの後もっと酷いパロディが)。皆もそれぞれに個性を強調した極端な姿に変貌します。

争いあい奪い合っていた前半とうって変わり皆が平等に富を分け合い協力するコミュニティとなっていく様子が描かれます(なおこの後半においても前半の罪で投獄されてるイヤミはコミュニティには入らず相変わらず一人なのがなんというからしいですね)。

与えられた場に適応し皆で協力し合う様子は何となく二期1クール目の雰囲気に通じるものもあります。1クール目って特に六つ子たちの単独行動が少なく六つ子がひと固まりで暮らしている印象があったし、キャンペーン回などまさに「ファミリー達よ!分けよう!分かち合おう!もう無意味な争いはたくさんだ!」というカラ松の叫びを体現した世界ではないでしょうか。

しかし、その当のキャンペーン回でも感想で書きましたがはたして皆が平等で平和な世界というのはギャグ的に面白い世界なのかどうか。そんな公平が成り立つのか? ……まあ答えは否なんですよ。ここからどんどん話がカオスになっていきます。

カラ松が無人島で見つけたトイレットペーパー。これを独り占めしようとしたことから一気に平和が崩壊するのです。思えば今回カラ松がナレーションに選ばれたのはこの【優しいオレ→トイレットペーパー独り占め】の落差を笑う為の前振りなんですよね(苦笑)。やたらと優しい優しい強調するから絶対どこかで落とすと思ったよ。

カラ松曰く自分も含め皆のお尻は限界寸前。今まで固い葉っぱやザラザラした葉っぱでお尻を拭いてきたツケが回っているのだと。あの六つ子たちがトイレットペーパーを横取りしようとしたトト子ちゃんに対し呼び捨てにして激昂するほどの取り乱しようです。

『要約すると自己責任アニメとして好き勝手なことをやるのは自由だけどそのあとの自分のケツは自分で拭こうな! って話な訳だ
トイレットペーパーだけに
14:25 - 2018年3月6日』
『トイレットペーパーでケツをケツっていうのが「責任を取る」っていう事の暗喩だとすると兄弟たちのお尻が限界に達しているの分かる
そりゃあなあ我々の欲望を満たすため日々体を張っているわけですから
いつもご苦労様ですよ
そりゃペーパー取り合いになりますよね 拭きたいよねお尻
14:47 - 2018年3月6日』

すぐ上のツイートの「ケツをケツ」は「ケツを拭く」の間違いです(すみません)。まさに最終回を目前にして今までやりたい放題やって来たことをどう締めていくかって話じゃないかと感じました。

これまではその場その場でなんとなくしのいで投げっぱなしオチにしてみたり、爆発させてみたり(固い葉っぱやザラザラした葉っぱでお尻を拭く状態)でお茶を濁してきたけれどいい加減キレイに(ちゃんとしたトイレットペーパーで)ケツを拭いて収拾をつけたい。そういう事なんだと思います。

無人島に突如現れた都合のいいトイレットペーパーはいわば1期25話でいきなり手紙が燃えたような飛び道具的な責任の取り方。それでももうお尻を拭くには手段を選んでいられないとばかりに皆は次々と覚醒していきます。

この後、ストリートファイター2、ドラゴンボール、セーラームーン、大魔神(思わず「古っ」と言ってしまった……)と矢継ぎ早にパロディが連続する様はさながら幻の一期1話。目的のためには手段を選ばずってとこも一緒ですね。

しかも最後ドラゴンボールパロでフュージョンもどきした六つ子たちが六つ子の力を合わせるぞーって展開はまさに一期最終回センバツのラスト(股間から光線出してたし……)。一期でのアレコレを総集編するような感じ。しかもセンバツの時とは違い六つ子の力はすべてをうやむやにすることに成功(?)します。

何もかも終わった後再び砂浜で最初に気がつくのはカラ松。この話の冒頭に戻ったかのようなループの中、残されたトイレットペーパーを見つけますが、結局トト子に横取りされます。

しかしながら、あれほど渇望したトイレットペーパーはトト子の望むダブルではなくシングルでした。これではダメだと絶望し結局皆倒れ込んだままこの物語は終わります。

おそらくですが「トイレットペーパー(シングル)」というのは一期最終回的な結末の付け方であり、二期はそれでは納得できないという制作陣の決意表明なのかなって感じました。今回はシングルでは終われない、ダブルを目指すんだっていう。

思えば前回のニート矯正施設の話にしても、一期であったような六つ子たちが社会に出ることを目標にするラストをつぶす話でした。今回の話も一期であったありとあらゆる「ケツの拭き方」を敢えて潰してくるようなそんな話かもしれません。

一期と同じような締めにはできない、するわけにはいかない。もっともっと皆が納得できるようなラストを目指したい。そういう話だとしたら嬉しいような寂しいような複雑な気持ちです。最終回の足音が聞こえてきますね。

まあそれはそれとして今回、一期ほどでないですが結構はっちゃけパロディ連発だったのでDVDに収録されるかどうかがちょっと心配(許可取ったのかなぁ?)。

そして来週の予告も何やら意味深な話ばかり。イヤミとダヨーンにスポットが当たるという事やその内容もやはり最終回直前の話としてはかなりの重要度をもってきそうです。しかも21話にあった「深夜の日松屋」が再び。期待して待ってます。

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