あんこ
先日、映画「あん」を見ました。
ハンセン病療養所に暮らす元患者の映画です。私は「ハンセン病」について、恥ずかしながら名前ぐらいしか知りませんでした。最近までずっと隔離されつつ虐げられながら生きていたことを知り、胸が締め付けられました。彼らの送ってきた人生を想像してもその辛さは計り知れません。
元ハンセン病患者の徳江が、小豆から餡子をつくる過程が丁寧に描かれていたのが印象的でした。
このnoteでは、その「あんこ」について書きたいと思います。
あずき を もてなす。
どんな土地で、どんな風に吹かれ、どんな水に育まれ、小豆になったのか。鳥かごに入れられた小鳥のように、永久に出られない外の世界に思いを巡らせながら、ひたすら美味しいあんこをこしらえる日々を送る徳さん。
その姿はあずきへのおもてなしそのものでした。
小豆をつくりたい。
「あん」鑑賞後、一から自分の手であんこをつくりたくなりました。
よし!まずは小豆から育てよう!と思ったものの、うちの庭にある小さな畑は夏野菜でぎっしり。小豆のスペースは空いておりませんでした。せっかく今がちょうど種を植える時期だったのに、残念。
さぁ!あんこをこしらえよう!
徳江のあんレシピを再現してみました!▷レシピ
まず前日から下準備。小豆を一晩水に浸けます。
洗う→茹でる→渋切り→茹でる→渋切り→本煮→蒸らし→(水晒し→水切り)×3→蜜漬け→餡練り→完
この工程だけ見ると簡単そうですが、丁寧に観察することが大切です。放置、だめ、絶対。
最後はこんな感じです。水分がとんでいい感じの濃度になったらできあがりです!
さっそくできたてを味見。ひと口食べた瞬間、なにこれww(美味しすぎて笑う)となりました。
そりゃあ美味しくないわけがない。
言うまでもなく美味しいです。作った本人は愛着があるのでさらに美味しく感じます。ただ、写真のように水分少なめなあんこだと、時間が経つと乾燥しやすいことが判明しました。もう少し早めに火から下ろすことをおすすめします!
どら焼きになりたいと聞こえた。
せっかく時間をかけてつくった美味しいあんこなので、あんこが主役のお菓子にしたく、どら焼きにしました。(映画の中でも、どら焼き屋さんで徳さんのあんを使っています。)
皮はこちらのレシピを参考にしました。▷グレーテルのかまど
あんこは、小豆は、何になりたかったのか。
私たちは人としか会話することができないので答えはわかりませんが、映画の中で徳さんはこう語っていました。
「わたしたちはこの世を見るために、聞くために生まれてきた。だとすれば、何かになれなくても、私たちは、私たちには生きる意味があるのよ。」
何かになれなくても生きる意味がある。
今回私の手によって小豆からあんこへ、あんこからどら焼きになり、あずきは何かになることができました。幸せな人生だったと思います。
例えば何かになれなくて、あんみつに添えられたあんこになったとしても、あんみつのあんこはめちゃめちゃ重要ポジですよね。徳さんの言う「生きる意味」はこういうことなのかもしれません。
わたしは何になりたいのか。
ここまでかっこつけて語りましたが、私自身、人生迷子中です。どら焼きのような主役になれるのか、あんみつのように脇役として生きるのか、何もわかりません。自分の人生を舞台にすると既に主役なのかもしれません。。
「生きる意味」はなにか、私は一度も考えることなく26歳になってしまいました。それを考える必要がなかったということでしょう。本当に贅沢な人生です。
一晩置いた方がおいしい。(個人差)
翌日食べると、皮があんこの水分を吸収してしっとりさが増します。個人的にどらきんぐ(福岡で有名などら焼き屋さん)のような皮がもっちりしている方が好みだからかもしれませんが!
お抹茶といただきました。
皆さん、あんこを、どら焼きを、美味しくいただきましょう。(終)